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Pimax 8KX のレビューとセットアップ方法

Last updated at Posted at 2020-09-27

Pimax 8KXとは?

https://www.pimax.com/products/vision-8k-x
VRヘッドセットです。

8kx_DELUXE_900x.png

片目解像度真の4K (3840*2160)、視野角200°誇る、2020年9月現在スペックが一番高いコンシューマーグレードなVR HMDです。公式サイトで1299ドル(HMDのみ)。

比較対象として、現時点のメジャーのVRヘッドセットのValve Indexは 1440*1600、来月発売のOculus Quest 2は1832*1920。スペック上どれくらい解像度が高いのか想像できますね。化け物です(誉め言葉)。

Pimax社の8Kシリーズは他にも8Kと8K+があり、8Kと8K+も4Kパネル装備してますが、実際受信するシグナルの解像度は2560*1440で、それをアップスケールして4Kのパネルで表示する形ですが、8KXは初めて3840*2160のシグナルをそのまま表示できるようになるので、初のネーティブ4K VR HMDになりますね。

8KXはモード二つあり、ネーティブ4K (75HZ)とアップスケール4Kモード(90HZ)で、アップスケールモードの場合は8K+と全く同じ機能になるかなと思います。

本文はちょっと長めになりますが、できる限り詳しい情報を伝えたいのでよろしければどうぞ。

筆者について

一般VR大好きプレイヤーです。バーチャルの世界に行けるということでVRを始めて、ほぼ毎日VR被ってます。常に更なるハイクオリティVRを求め続けている。

今まで所持したことあるHMDは

HTC Vive, PlayStation VR, Oculus Go, Oculus Quest, HTC Vive Pro, HP Reverb, Valve Index, Pimax 8KX
Viveの時代からずっとVRと共に生きていました。

使用するVRコンテンツ

9割VRChat、他はSteamVRとOculus Storeのゲーム漁ります。合計VR時間3000超え。

VRは完全に趣味ですが、それなりにVR触ってきたのでレビューの客観性を多少高めるのではないでしょうかと思います。

Pimax 8KX 使用感

基本的に今メインで使ってるIndexと比較します。

画質

さすが4Kパネルですね、画面の真ん中がとても綺麗で、ピクセルのドットが全く見えないと言っても過言ではない。頑張って探せばピクセルっぽいのが見えるかもしれないけど、正直全く気にしないレベルです。SteamVRのデスクトップオーバーレイで、デスクトップの文字が全てストレスなく綺麗に読めて、輪郭もくっきりです。VRChatだと結構距離が離れてる人のネームプレートも読めるようになります。Indexより一層シャープというイメージですね。今回のVR元年2020年、人類はスクリーンドア問題解決できました。
Ei0y1pmU8AI2MeI.jpg

片目の解像度の数値が非常に高い8KX。

視野角

PiToolで視野角の4段階調整ができて、斜め200°まで表示でき、実際テストしてみたどころ、最大で水平視野角は170~180°くらいですね。それでもIndexの斜め130°、Vive Proの斜め110°よりは遥かに広く、メガネ掛けたまま8KXを被り、視野はメガネフレームの外まではみ出てるので、文句なく充分広いです。他のHMDよりも解放感が感じられます。VRChatやっているのなら「ここまで見える!」とフレンドに広い視野角を自慢していきましょう。
垂直の視野角はIndexと大差感じられませんでした。
Ei1bUCPVoAYnyF3.jpg

上:8KX、下:Index、 8KXのレンズが左右に広がってて異様に大きいということがわかりますね。

画質のスイートスポット

画質のスイートスポットとは、画面がくっきり見える中心から広がる範囲です。非常に残念ながら、8KXのスイートスポットは非常に狭く、確かにレンズ中心の画面がとてもシャープで綺麗ですが、中心から離れていくと、画面がすぐぼやけてしまい、文字がだんだん読みにくくなります。これは実際テストしたわけではなくあくまで体感ですが、Indexの130°の視野角の中の100°までがスイートスポットで、中心から離れた物でもそこそこ鮮明に表示されるが、8KXは視野角の180°の中の70°までしかスイートスポットがなく、レンズの中心から視線が離れたら文字はすぐぼやけてしまいます。

レンズの外辺部の画面の歪み

レンズの中心から視野角(体感)130°離れていくと、画面に歪みが発生し、レンズの外辺部の画面は多少左右に圧縮されているように見えます。これはIndexにも観測できる問題ですが、Indexは画面の歪みが非常に少なく、本当に端っこにしか発生せず、探さないと気にしないレベルですが、8KXは視野角が広い分、割りと目立ちます。これは多分ソフトウェアの問題で、ゲームとドライバーが広いHMDを想定してない故に発生してる問題だと筆者は思ってます。

IPDの設定

スイートスポットが狭いとIPD(両目の距離)ももっと正確に設定しないといけません。筆者のIPDは64mmで、Vive/Vive Pro/Index使用時64mm設定したらストレスなく使えたのですが、8KXの場合64mm設定してもちょっと合わないと感じられました。ネットで調べたところ、PimaxのIPDフィードバックはそこまで精確ではないらしく、ソフトで調整する必要もあるかもしれないということでした。他にPimax所持してるフレンドに聞いたところ、特にIPDは問題なかったみたいなので、多分わたしがIPDに敏感なだけという可能性もあるので参考までに。

Indexと比べて全体的に冷たい色になってて、鮮明さが欠けます。PiToolで調整したら多少良くなりますが、「綺麗な色」とは言えません。色に敏感な人がIndexに慣れたら、8KXの色はちょっと物足りないと感じると思います。とは言え、問題になるほどではないので、じきに慣れると思います。

マイク

ボイスチャットでフレンド数人に聞いたところ、Indexよりはちょっとノイズが入るらしい。

ヘッドホン

8KXにはスタンダードヘッドホン版とデラックスヘッドホン版があり、筆者が購入したのはスタンダード版で、はっきり言って使い物になりません。自分でヘッドホン用意してください。

パフォーマンス

4K*2個分のパネルに描画し続けないといけないということで、公式の推奨グラボスペックはRTX 2080ですが、筆者のPCはi9-9900k, RTX 2080tiで、解像度ネーティブ4Kに設定した時もなかなか75Hz出せませんでした。SteamVR起動しただけでグラボメモリが10GB一瞬で食われます。特にVRChatだと、平均的に30~40fpsしか出せず、20人以上のインスタンスに入るとフリーズする可能性があります。解像度を下げればもちろん動きますが、それなら4Kパネル勿体ないじゃないですか!ということで、8KX買う予定の石油王はRTX 3090、最低でもRTX 3080買ってくださいとだけ言っておきます。

セットアップとバグ

Valve Index等SteamVR系統のセットアップ難易度を1とした場合、Pimaxは10です。(Oculus Questは0.3)。それなりのVR知識がないと8KXの性能は引き出せません。というか使えません。バグが多いのはもはやPimax PiToolの伝統長き特徴で、今になってバグは多少修正され使いやすくなってるが、初日で筆者はベースステーションとの接続不能、スピーカーの音質低下バグに遭遇しました。他にPimax所持してるフレンドの話によると、マイク無音バグ等「定期的に新しいバグに遭遇するから楽しみにしてて」すら言われているが、「今のところは割と安定してる」のフレンドもいるので、そこは多分運ですね。Pimax買う前はいいことたくさん行って徳を積んでおきましょう。

装着感

快適と言うほどではないが、悪くない。長時間被ってても痛くならないと思います。重量のバランスと快適性はIndexのほうが上だけど、大差はなく、ストレスにならないと思います。

Pimax 8KX セットアップ

満足できる体験ができるまで、PiToolとSteamVRと戦う心の準備してください。8KXをそのまま使うと、なんとSteamVRで実際4Kは出せません。筆者は以下のサイトを参考しながらセットアップしました(英語)。重要な部分を抜粋して記述します。
https://community.openmr.ai/t/how-to-make-your-pimax-image-picture-screen-clear-crisp-increase-clarity/29688

SteamVR使用経験があることを前提に解説します、初めて買ったVRがPimax 8KXという猛者はいないと思うが、もしSteamVR入れてない場合は入れてください。
https://store.steampowered.com/app/250820/SteamVR/

PiToolを入れます。PiToolとはPimax HMDを制御するソフトとドライバーで、Pimaxの設定の変更もここでやります。
https://www.pimax.com/pages/pitool
262版からGPUを活用する最適化されてたので、是非262以上のバージョン入れましょう。(2020/09/27現在はV_1.0.1.263、263版提供されてます)

HMDの電源を入れ、PCに接続し、SteamVR起動せず、PiToolでコントローラーと(もし所持なら)トラッカーもペアリングします。コツは一個づつ電源を入れ、ペアリングすることです。特にトラッカーは、ペアリングが完了するまで別のトラッカーの電源は入れないほうが賢いです。

ペアリング出来たら、PiToolからSteamVR起動して、ルームセットアップ行います。PiToolのルームセットアップはする必要がありません。

この時点ですでに使用できると思いますが、実は4Kの画質が出せてないので、SteamVR閉じて、コンフィグと格闘していきましょう。

PiTool側

日本語対応してるので、そこまで使いにくくないと思います。
画質の調整はデフォルト1のまま、視野角は大きい/普通をおすすめします。
固定注視点レンダリングは、性能を引き換えるために、レンズ左右外辺の画質を下げる選択肢です。筆者はオフにしてますが、性能が足りないPCはバランス、あるいは画質優先にしてもいいかもしれないが、左右外辺の画質非常にぐにゃぐにゃになにます。

デフォルトの色は結構鮮明さ欠けてて、スクリーンのコントラスト+2、明るさ-2で多少よくなります。自分の好きな数値を見つけてください。

VRChatする時は、ワールドによって描画がおかしくなったり、見えるはずのものが見えなかったりする場合、Hidden Area Mask (HAM) をオフにしてください。HAMをオンにした場合、画面外のピクセルをパフォーマンス向上のために描画しない手法ですが、VRCのワールド(とくに大きいワールド)によっては、オブジェクトが不自然に消えてしまうことがあるので、筆者はオフにしてます。
Smart Smoothing、フレームレート低下時、次のフレームを予測して低コストでフレームレートを補完する手法で、できる限りフレームレートを維持する機能ですが、その効果は個人的あんまりが好きではなかったのでオフにしてます。好みの問題なので試してみてください。
Parallel ProjectionはワイドクリーンのHMDに対応してないゲームプレイする時のダブル映像バグを回避するオプションです。VRChatは多分対応してるので筆者はオフにしてます。

設定できたら適応と保存しましょう。

SteamVR側

SteamVRのコンフィグ調整します。なに?SteamVRの設定だから設定パネルで調整できると思った?甘いですね。
8KXはSteamVRの予想以上に解像度が高く、公式的な方法だと4K解像度まで設定上げられません。(maxRecommendedResolutionによって制限されます)

まずSteamVRの設定ファイル「steamvr.vrsettings」を見つけましょう。これはバージョンによってパスが違うらしいですが、筆者の「steamvr.vrsettings」は「C:\Program Files (x86)\Steam\config」にありました。ちなみに「default.vrsettings」ではなく、「steamvr.vrsettings」なので名前を間違えないようにしましょう。

バックアップ取って、メモ帳とかのテキストエディタで開きます。

GpuSpeedのブロックをこのように変更します


  "GpuSpeed" : {
    "gpuSpeed0" : 2000,
    "gpuSpeed1" : 2000,
    "gpuSpeed2" : 2000,
    "gpuSpeed3" : 2000,
    "gpuSpeed4" : 2000,
    "gpuSpeed5" : 2000,
    "gpuSpeed6" : 2000,
    "gpuSpeed7" : 2000,
    "gpuSpeed8" : 2000,
    "gpuSpeed9" : 2000,
    "gpuSpeedCount" : 10,
    "gpuSpeedHorsepower" : 2000,
    "gpuSpeedRenderTargetScale" : 1.5,
    "gpuSpeedVersion" : 2
},

"steamvr"のブロックに「maxRecommendedResolution」と「allowSupersampleFiltering」を変更します。この設定が存在しない場合、追加してください。

"system.generated.reactor steamvr.exe"の「resolutionScale」を変更します。"system.generated.reactor steamvr.exe"がない場合、"steamvr"ブロックの下にこのように追加します

例としては以下になります


"steamvr" : {
  "background" : "#FF000000",
  "maxRecommendedResolution" : 16384,
  "allowSupersampleFiltering" : false,
  "playAreaColor" : "#00000000",
  "showAdvancedSettings" : true,
  "showMirrorView" : false,
  "supersampleScale" : 1
},
"system.generated.reactor steamvr.exe" : {
  "motionSmoothingOverride" : 0,
  "resolutionScale" : 100
},

他の設定を触らなくて大丈夫です。
ここで注意するべきなのは「supersampleScale」です、こちらはSteamVRのスーパーサンプリング設定で、設定パネル内でも変えられますが、PCによって、まずは1ではなく0.5から試してみてもいいかもしれません。高すぎる数値設定すると、重すぎてフレーズする可能性もあります。

そしてなんとSteamVR起動する毎に、GpuSpeedの値がだんだん元の値に戻されます!!
解決方法としては、「steamvr.vrsettings」を別のとこに保存して、画質が下がったなぁと感じたら、あるいは数日に一回手動で上書きしたほうがいいかもしれません。

最後に

セットアップの難しさやスクリーンの特性上、Pimaxシリーズは非常に人を選ぶVRということです。解像度の高さと視野角の広さも本物で、他のVRに完勝するかわりに、筆者的にスイートスポットの狭さと外辺画面の歪み、バグの多さになかなか耐えられませんでした。Pimaxの選ばれし者になれるかどうかは「広い視野角にどれくらい価値を見出せるか」によりますね。Pimax 8KXは決して悪い商品ではないのですが、Indexと比べて得るものより失うもののほうが多いと個人的に思ってしましました。

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