はじめに

株式会社ナイトレイの森口です。
地理情報エンジニアとして、主に空間解析や可視化分析等の業務に携わっています。

普段は緯度経度などの位置情報が付与されている地理情報データ（またはGISデータ）を取り扱っていますが、この地理情報データを扱う際のトラブルの一つにジオメトリのエラーというものがあります。

ジオメトリとは

また、複雑な形状を持つ立体を構成する、基本的な幾何学図形のことをジオメトリという場合もある。2次元であれば点や直線、多角形、円、楕円、扇形、円弧、自由曲線などが含まれ、3次元であれば立方体や直方体、球、楕円体（カプセル形状）、円柱、三角錐、円錐、トーラス（ドーナツ形状）などが含まれる。

IT用語辞典 e-words「ジオメトリ」より抜粋

地理情報データにおけるジオメトリとは、ポイント（点）・ライン（線）・ポリゴン（面）やそれぞれの頂点を示しており、以下のような状態にある時にジオメトリのエラーが発生します。

例：

このようなジオメトリのエラーが発生していると、面積算出やオーバーレイ計算など空間解析に支障をきたす恐れがあります。
こういった状況に対してエラー箇所を特定し修正する手助けとなるのがQGISの標準機能である有効性のチェックです。

使用環境は
OS：MacOS
QGIS：3.22.11-Białowieża
です。

使用するのはこちらのポリゴンです。

プロセッシングツールボックスの検索窓に有効性チェックを入力、表示されるものをクリックするとポップアップウィンドウが開きます。

↓ポップアップウィンドウ

1.ツールの起動で表示されたポップアップウィンドウにて以下の設定を行います。

[以下はオプションであり、特に指定しなければ一時レイヤが出力されます。]

上記の設定が完了したら右下の実行をクリック。

実行後に画像のように出力レイヤが追加されます。

上記のように

の3つが追加されていますが、今回はレイヤに対してポリゴンは1つなので有効なジオメトリの出力レイヤは表示されません。チェック対象のレイヤに複数のデータが含まれ、尚且つエラーがないデータがあれば表示されます。

今回の出力結果である

について確認します。

不正なジオメトリの出力レイヤ
こちらは、チェック対象のレイヤの中でジオメトリエラーがあるデータ（地物）を抽出したものになります。もし、複数のデータでエラーがある場合はその件数分追加されます。
エラー部分の出力レイヤ
上記の不正なジオメトリの出力レイヤにおいてどの部分がエラー要因となっているかをポイントデータとして抽出したものになります。分かりづらいですが青い円の中心にあります。

このようにQGISの機能であるジオメトリの有効性チェックを用いることで、空間解析を進める上でのトラブルの一つに対応することができます。

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