LoginSignup
0
0

統計学実践ワークブックまとめ(第1~第4章)

Posted at

第1章 事象と確率

1. 事象と確率

  • 確率:試行によって起こりうるすべての結果を標本空間 $\Omega$ と定義し、$\Omega$ の部分集合から区間 [0,1] 上の実数への関数 $P$ を確率とみなす。
    • 次の性質を満たす:
      1. $A \subset \Omega \Rightarrow P(A) \geq 0$
      2. $P(\Omega) = 1$
      3. $A_1$ と $A_2$ が排反ならば $P(A_1 \cup A_2) = P(A_1) + P(A_2)$

2. 条件付き確率とベイズの定理

  • 条件付き確率:2つの事象 $A$ と $B$ があって、$P(B) > 0$ のとき、

$$
P(A|B) = \frac{P(A \cap B)}{P(B)}
$$

を$B$を与えたときの$A$の条件付き確率と呼ぶ。

  • ベイズの定理:$B_1, ..., B_n$ を互いに排反な事象で、$P(B_k) > 0$、かつ $\bigcup_{k=1}^{n} B_k = \Omega$ を満たすとき、事象 $A$ に対して、$B_j$ の条件付き確率は

$$
P(B_j|A) = \frac{P(A|B_j)P(B_j)}{\sum_{i=1}^{n} P(A|B_i)P(B_i)}
$$

このとき、$P(A)$ を事前確率、$P(B_j|A)$ を事後確率とよぶ。

3. 確率変数と確率関数

  • 確率変数:$\Omega$ を確率が定義されている標本空間とするとき、$\Omega$ から実数 $R$ への関数 $X$ を確率変数とよぶ。通常は $X$ と書く。

  • 確率関数:確率変数 $X$ をとる範囲を $\chi$ とし、このとき $X$ 上に定義された確率を確率関数という。

4. 期待値と分散

  • 期待値:確率変数 $X$ とその確率関数 $p(x)$ において $X$ の期待値は次の式で定義される。

$$
E[X] = \sum_{x} x p(x) = \mu
$$

  • 分散:$X$ の分散は次の式で定義される。

$$
V[X] = E[(X-\mu)^2] = \sum_{x} (x-\mu)^2 p(x)
$$

  • 分散の公式:分散の式を変形すると、以下の式が導出できる。

$$
V[X] = E[X^2] - E[X]^2
$$

  • 連続確率変数:確率変数 $X$ が連続である場合、確率密度関数 $f(x)$ を次のように定義する。

$$
f(x) = \lim_{\epsilon \to 0} \frac{P(x-\epsilon < X \leq x+\epsilon)}{\epsilon}
$$

  • 期待値と分散:連続確率変数 $X$ の期待値と分散は次の式で定義される。

$$
E[X] = \int_{-\infty}^{\infty} x f(x) , dx
$$

$$
V[X] = \int_{-\infty}^{\infty} (x-\mu)^2 f(x) , dx
$$

第2章 確率分布と母関数

1. 累積分布関数

  • 累積分布関数:確率変数 $X$ の累積分布関数は $F(x) = P(X \leq x)$ と書く。
    • これは $x_i \leq x$ を満たす、すべての $x$ について $P(x_i)$ を足し合わせたもの。

$$
F(x) = \sum_{x_i \leq x} P(x_i)
$$

  • 連続確率変数:連続確率変数の場合、累積分布関数 $F(x_i)$ は次の式で定義される。

$$
F(x) = \int_{-\infty}^{x} f(x_i) , dx_i
$$

2. 生存関数

  • 生存関数:生存時間を $t$ としたとき、$T$ 以上である確率を表すのが生存関数で、次の式で定義される。

$$
S(t) = P(T \geq t) = \int_{t}^{\infty} f(x) , dx
$$

3. ハザード関数

  • ハザード関数:生存時間 $T$ において、ある時刻 $t$ まで生存した個体が、その後の微小時間 $\Delta t$ の間に死亡する条件付き確率がハザード関数 $h(t)$。

$$
h(t) = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{P(t \leq T < t+\Delta t | T \geq t)}{\Delta t}
$$

  • ハザード関数を確率密度関数と生存関数で表す

$$
h(t) = \frac{f(t)}{S(t)} = -\frac{d}{dt} \log S(t)
$$

  • 導出
  1. 条件付き確率の定義により、

    $$
    P(t \leq T < t+\Delta t | T \geq t) = \frac{P(t \leq T < t+\Delta t \cap T \geq t)}{P(T \geq t)}
    $$

    $$
    = \frac{P(t \leq T < t+\Delta t)}{P(T \geq t)} = \frac{F(t+\Delta t) - F(t)}{S(t)}
    $$

    $$
    P(t \leq T)\text{:累積分布関数}
    $$

    $$
    P(T \geq t)\text{:生存関数}
    $$

    よって、

    $$
    h(t) = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{P(t \leq T < t+\Delta t | T \geq t)}{\Delta t} = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{F(t+\Delta t) - F(t)}{\Delta t S(t)} = \frac{f(t)}{S(t)}
    $$

  2. 生存関数 $S(t)$ の対数微分をとると、

    $$
    \frac{d}{dt} \log S(t) = \frac{1}{S(t)} \frac{dS(t)}{dt}
    $$

    したがって、

    $$
    h(t) = -\frac{d}{dt} \log S(t)
    $$

4. 同時確率関数と条件付き確率密度関数

  • 同時確率関数
    • 2つの確率変数 $X,Y$ について、$X=x$ かつ $Y=y$ となる同時確率関数を以下のように定義する。

$$
p(x,y) = P(X=x,Y=y)
$$

  • 右辺の式は以下を意味する

$$
P(X=x, Y=y) = P(X=x \cap Y=y)
$$

  • 周辺確率関数
    • 周辺確率関数 $P_X(x)$ は、全ての $y$ についての $P(x,y)$ の和を取ることで求められる。($y$を消去する)

$$
P_X(x) = \sum_y P(x, y)
$$

  • 条件付き確率関数
    • $X = x$ が与えられたときの $Y$ の条件付き確率関数は以下のように定義される。

$$
P_{Y|X}(y|x) = \frac{P(x, y)}{P_X(x)}
$$

  • 連続確率変数の場合
    • 同時確率密度関数は、範囲 $x_1 \leq X \leq x_2, y_1 \leq Y \leq y_2$ において以下のようになる。

$$
P(x_1 \leq X \leq x_2, y_1 \leq Y \leq y_2) = \int_{x_1}^{x_2} \int_{y_1}^{y_2} f(x,y) , dx , dy
$$

  • $X$ に関する周辺確率密度関数 $f_X(x)$ は次のように定義される。

$$
f_X(x) = \int_{-\infty}^\infty f(x, y) , dy
$$

  • $X=x$ で与えられたときの $Y$ の条件付き確率密度関数 $f_{Y|X}(y|x)$ は以下のように定義される。

$$
f_{Y|X}(y|x) = \frac{f(x, y)}{f_X(x)}
$$

第3章 分布の特性値

1. 同時分布の特性値

  • 共分散:2つの確率変数 $X$, $Y$ の間の関係性を示す指標であり、次の式で定義される。

$$
\mathrm{Cov}[X, Y] = E[(X - E[X])(Y - E[Y])]
$$

  • 公式:上記の定義を頑張って計算すると以下が導出できる。

$$
\mathrm{Cov}[X, Y] = E[XY] - E[X]E[Y]
$$

  • 相関係数:各確率変数を標準化して計算したものを相関係数といい、次の式で定義される。

$$
\rho_{X,Y} = \frac{\mathrm{Cov}[X, Y]}{\sigma_X \sigma_Y}
$$

2. 条件付き特性値

  • 条件付き期待値:$X$ が与えられたときの $Y$ の条件付き期待値は次の式で定義される。

$$
E[Y|X] = \int_{-\infty}^{\infty} y f_{Y|X}(y|x) , dy
$$

  • 条件付き分散:$X$ が与えられたときの $Y$ の条件付き分散は次の式で定義される。

$$
V[Y|X] = E[Y^2|X] - (E[Y|X])^2
$$

3. 期待値と分散の性質

  • 期待値の性質:確率変数 $X$, $Y$ と定数 $a$, $b$, $c$ について

$$
E[aX + bY + c] = aE[X] + bE[Y] + c
$$

  • 分散の性質:確率変数 $X$, $Y$ と定数 $a$, $b$ について

$$
V[X + Y] = V[X] + V[Y] + \mathrm{Cov}[X, Y] \text{(独立なら共分散=0)}
$$

  • 条件付き期待値の性質:確率変数 $X$, $Y$ について

$$
E[E[X|Y]] = E[X]
$$

  • 条件付き分散:確率変数 $X$, $Y$ について

$$
V[X] = E[V[X|Y]] + V[E[X|Y]]
$$

第4章 変数変換

1. 重積分の変数変換

  • 1次元の場合:1変数関数の積分では変数変換 = 置換積分。$t_1, t_2$ を $x(t)$ がそれぞれ $x_1, x_2$ になる $t$ の値とし、$x = x(t)$ と変数変換すると、以下のように表せる。

$$
\int_{x_1}^{x_2} f(x) , dx = \int_{t_1}^{t_2} f(x(t)) x'(t) , dt
$$

座標が変換された伸縮率を調整するために $x'(t)$ が必要。

  • 2次元の場合:$x, y$ から新しい座標 $u, v$ に移ることを考える。ここで新しい座標系が $x, y$ と $u, v$ の関係を以下のように表せるとする。

$$
\Phi(u, v) = (x(u, v), y(u, v))
$$

このとき、$x, y$ でみた時の積分領域 $D$ が、$u, v$ では $E$ になるとする。また、変数変換をしたものを $g(u, v)$ と表す。

$$
g(u, v) = f(x(u, v), y(u, v))
$$

変数変換.jpg

このとき、重積分

$$
\iint_D f(x, y) , dx , dy
$$

は、ヤコビアンを用いて $u, v$ での重積分として、以下のように表せる。

$$
\iint_D f(x, y) , dx , dy = \iint_E f(x(u, v), y(u, v)) |J(u, v)| , du , dv = \iint_E g(u, v) |J(u, v)| , du , dv
$$

ヤコビアンと呼ばれる関数 $J(u, v)$ は以下の行列式で表す:

$$
J(u, v) \equiv \frac{\partial (x, y)}{\partial (u, v)} = \det \begin{vmatrix}
\frac{\partial x}{\partial u} & \frac{\partial x}{\partial v} \
\frac{\partial y}{\partial u} & \frac{\partial y}{\partial v}
\end{vmatrix}
$$

💡行列式の役割は体積拡大率を表すもので、ヤコビアン行列は変換することで比率が変化した面積(体積)の倍率調整の役割を果たす。

2. データの変換

  • 対数変換:対数変換(Logarithmic Transformation)は、データの分布を正規化したり、外れ値の影響を軽減したりするために使用される。特に、右に歪んだ(右裾が長い)データ分布に適用されます。

    • 数式
      通常の対数変換は次の式で行う: $y = \log(x)$
    • 条件
      • $x > 0$、データが正である必要がある
  • Box-Cox変換: Box-Cox変換(Box-Cox Transformation)は、データの分布を正規化するために使われます。対数変換の一般化バージョンであり、対数変換を含む様々な変換を行います。

    • 数式

$$
y(\lambda) = \begin{cases}
\frac{x^{\lambda} - 1}{\lambda} & \text{ if } \lambda \neq 0 \
\log(x) & \text{ if } \lambda = 0
\end{cases}
$$

  • 条件
    • $x > 0$: データが正である必要がある

※ロジット、プロビット変換は第18章で記載する。

参考文献

  • 日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック
  • データ解析のための数理統計入門 (著者:久保川 達也)
  • 数研講座シリーズ 大学教養 微分積分(著者:加藤 文元)
  • 統計学のための数学入門30講 (科学のことばとしての数学)(著者:永田 靖)
0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0