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(2018/9) Google Mapsの料金体系について

Last updated at Posted at 2018-05-23
  • 2018/9/11 現時点での価格表・FAQに合わせて内容を更新しました。

Google Mapsの料金体系が変更になります

既にご存じの方も多いと思いますが、**2018年6月11日(アメリカ西海岸時間)**からGoogle Maps APIの料金体系が変更になりました。

Screen Shot 2018-05-23 at 11.13.35 AM.png

Introducing Google Maps Platform

Google Mapチームに直接問い合わせて確認した点も含めて、どう変更になるのかを紐解いて行きます。

Googleの目的は何?

Googleに確認したところ、今回のアップデートには2つの目的があるそうです。

  1. キーなしで使っている人達の追跡
  2. Googleも無料で続けることが苦しくなっている

1. キーなしで使っている人達の追跡

Google Maps JavaScript API v3の場合、歴史的な理由からAPIキーがなくても地図を表示することが出来ます。
「歴史的な理由」というのは、Google Maps JavaScript API v3が登場した2007年ごろ(だったと記憶)は、
まだAndroidとかiOSとかはそんなに普及してなかったので、IPアドレスとかドメインをベースにアクセス制御ができる時代でした。

ところがAndroidとiOSの普及により時代が変わりました。
モバイルアプリ内でGoogle Maps JavaScript API v3を使うケースが増え、IPアドレスは変動するし、ドメインもないので、
これによって不正な使い方をしている人をGoogleがブロックしたくても、ブロックできないみたいなことが(たぶん)起こっているのが現在です。
これを解消したいというのが一番の目的のようです。

2. Googleも無料で続けることが苦しくなっている

地図やストリートビュー・航空写真の更新費用がかなりかかっていて、「無料」を続けるのもなかなか大変みたいです。
それを踏まえてヘビーユーザーを対象に何年か前から料金体系を変更してきていて、今回はそれをもう一歩踏み込んだ形です。
(それでも無料で使わせてくれているGoogleさん、ありがとう)

「無料枠」がどう変わるのか?

いままでは**「個別のAPIごとに」それぞれ無料で使える無料枠があり超過分だけを支払う**、という形態でした。
これが**「Google Maps API全体での無料枠」を超えた分だけ支払い**に変更になります。
この「Google Maps API全体での無料枠」というのが、毎月$200(米国ドル)までです。
例えば、APIの使用料が$210だったら、$10の支払いでいいのです。

$200のクレジットを受け取るためには、Google APIs Console で課金アカウントを紐付けする必要があります。

この時点では課金されません。
紐付けしない場合は、$200のクレジットは貰えません。

StandardプランとPremiumプラン

  • Standardプラン
    今まで無償プランで使っているユーザで、殆どの人はこれに該当します。
    2018年6月11日(日本時間では6月10日)までに、課金を有効にしてください。

  • Premiumプラン
    今までGoogleと有償プランの契約を結んでいる企業などです。
    この場合、特に何もする必要がありません。

  • その他
      Googleが特別に許可している非営利団体の場合、引き続き無料です。

課金アカウントを有効にしない場合どうなるのか

地図の解像度が下がる(もしくは一部機能が使えなくなる)、または他のAPIではエラーになる、などのことが起こる可能性がある、と書かれています。

APIキーなしでアクセスし続ける場合、どうなるのか

Google Maps JavaScript API v3の場合、「for development purposes only.」とウォーターマークが表示され、低解像度の地図画像になります。

StreetViewの表示はこんな感じになります。

他のAPI(WebServices APIなど)の場合、アクセスが拒否されます。

ただ、機能的にはちゃんと動いてくれますので、「開発時はお金をかけたくない!」という場合には、APIキーを設定しないのも、一つの手段としてはありです。実際、私はそうやってます。

Google Maps SDK for Android and/or Google Maps SDK for iOSの場合

Google Maps SDK for AndroidとGoogle Maps SDK for iOSを使用している場合、StreetViewを表示していなければ課金を有効にしなくても(今のところ)大丈夫です。
(Google Mapsチームの人は、それでも課金を有効にしておくほうが良い、と言っていました)

$200でどのくらい使えるのか

Google Maps APIの価格表の日本語版が公開されています。
https://cloud.google.com/maps-platform/pricing/sheet/?hl=ja

ここではその価格表を(2018/9/11現在の)スクリーンショットと共に読み解いていきたいと思います。

Maps

Screen Shot 2018-09-11 at 9.59.15 AM.png

  • Mobile Native Static Maps
    • Google Maps SDK for AndroidGoogle Maps SDK for iOSには、地図をキャプチャして静的画像データを生成する機能があります。Mobile Native Static Mapsとは、この機能のことを指します。
    • この機能を使用する場合、無制限に無料ですが、そもそもこの機能は、タイルを生成するためのものではなく、リスト内にGoogleマップのサムネイル表示するためのような使い方なので、この機能でGoogle Maps JavaScript API v3を置き換えられるわけではないです。
  • Mobile Native Dynamic Maps
    • Google Maps SDK for AndroidGoogle Maps SDK for iOSの場合、デバイス内で地図をレンダリングしますので、これを使用する場合、無制限に無料です
  • Embed
    • Google Maps Embed APIを使用する場合、無制限に無料
    • ただしできることが非常に限られています
    • もし一箇所の地図を表示するだけならオススメです
  • Embed Advanced
    • Google Maps Embed APIを使用していても「ルート案内」「ストリートビューモード」「検索モード」を使用している場合は、課金対象になります。
  • Static Maps API
    • 10万回まで無料(ブラボー)
  • Dynamic Maps
    • これがGoogle Maps JavaScript API v3new google.maps.Map()を使用して地図を表示する場合です。最大28,000回まで無料で、$7.00/1,000回ごとに追加です。
    • <script src="https://maps.googleapis.com/maps/api/js?key=..."></script>読み込まれる度に1カウントです。
    • (2018/07) 実験して確認しました。現在はscriptが読み込まれて、最初のmapインスタンスが生成されるときにカウントされます。公式FAQに書かれている通り、同じページ内で2個目のMapを作るときはカウントされません。
    • (2018/09) Google Maps API FAQから該当の説明が削除されていました。実験して確認したところ、現在は同じページ内で2個目のMapを作成するとカウントされます
  • Static Street View
  • Dynamic Street View
    • Google Maps JavaScript API v3のStreetViewPanorama
    • Google Maps SDK for AndroidStreetViewPanoramaView
    • Google Maps SDK for iOSGMSPanoramaView
    • 14,000回/pano となっているので、移動する度に 1pano としてカウントされます
    • (2018/09) FAQによるとインスタンスが作成されるごとに 1pano としてカウントされます

Routes

Screen Shot 2018-09-11 at 10.20.03 AM.png

ルート検索は、Googleのコンピュータを使うから全体的に価格が高いですね。

Places

Screen Shot 2018-09-11 at 10.26.05 AM.png

Google Places APIの料金体系はちょっと複雑です。

Places Auto complete

Googleに確認したところ、

  • オートコンプリートリクエスト(文字単位)となっているのは、[REST APIのPlace Autocomplete」(https://developers.google.com/places/web-service/autocomplete?hl=en)
  • オートコンプリートリクエスト(セッション単位)となっているのが「Google Maps JavaScript API v3が提供するAutoComplete検索枠」

のようです。

「per session」のsessionは、検索枠をマウスでクリックしたときから、検索ボタンを押したときまでを1セッションとして定義している、とのことでした。

Places Details

Google Places APIを使う場合、オートコンプリート、テキスト検索、クエリ検索で条件に該当する場所を探し、その中から選択した場所について「営業時間」「電話番号」など詳細な情報を取得する、という使い方をします。
それがPlaces Details(プレイス詳細)です。

このPlaces Detailsは取得したい情報を指定するフィールドによって、データ料金が発生します。

var request = {
  placeId: 'ChIJN1t_tDeuEmsRUsoyG83frY4',
  fields: ['name', 'rating', 'formatted_phone_number', 'geometry'] <-- これ
};

service = new google.maps.places.PlacesService(map);
service.getDetails(request, callback);
  • 基本データ
    • address_component, adr_address, alt_id, formatted_address, geometry, icon, id, name, permanently_closed, photo, place_id, plus_code, scope, type, url, utc_offset, vicinity
    • これらのフィールドを指定する場合は、「プレイス詳細+基本データ」の行に該当します。
  • 連絡先データ
    • formatted_phone_number, international_phone_number, opening_hours, website
    • これらのフィールドを指定する場合は、「プレイス詳細+基本データ+連絡先データ」の行に該当します。
  • 雰囲気データ
    • price_level, rating, review
    • これらのフィールドを指定する場合は、「プレイス詳細+基本データ+雰囲気データ」の行に該当します。

料金表には書いてなかったのですが、ドキュメントページには次のような注意文が書いてあります。
Screen Shot 2018-09-11 at 11.08.00 AM.png

もしfieldsに何も指定しない場合、または省略した場合、全ての該当する可能性のあるフィールドが返され、それぞれ課金されます。これはPlaces Detailsリクエストに適用されます(Google Maps JavaScript API v3で提供される Place AutoComplete Widgetによるリクエストを含む)。

なんと!! ちゃんと必要なフィールドだけを指定するようにしておきましょう。

Find Places

  • 条件に基づいて該当するPOIを検索してくれるAPIです
  • fieldsの指定のルールはPlaces Detailsと同じです。
  • もし該当するPOIがあるかどうかだけを調べるなら、「ID only」検索をすると良いでしょう。

その他

  • 表に書かれている通りです。

$200を超えないようにするにはどうするか

  • **「一箇所を表示するだけ」**の地図なら、Google Maps Embed APIがお薦めです。なんていっても無料ですから。


  • **「徒歩やルート情報も表示したい」**というなら、Googleマップの埋め込み機能がお薦めです。


  • **「アイコンは変更したい。そこは譲れない」**というなら、「Google Static Maps API」を使用してとりあえず地図を表示して、本当に地図を拡大/縮小したい人だけGoogle Maps JavaScript API v3で地図を開くようなリンクを用意するといいです。


  • **「アイコンは変更したい。そこは譲れない、でもプログラムから操作する必要がない」**というなら、Googleマイマップがお薦めです。ブラウザ上で地図を簡単に作れて、<iframe>として埋め込むことができます。


  • **「対象とするブラウザがAndroidまたはiOS」**なら、いっその事割り切って、全部Google Static Maps APIにしてしまいましょう。地図をクリックしたら、https://maps.google.com にリンクするようにすれば、Googleマップアプリがインストールされていれば開きますし、なければブラウザでGoogleマップが表示されます


  • もし住所がわかっているなら、事前にGeocodingしておきましょう。プログラムで毎回行うのは、非効率です。


  • ストリートビューも本当に表示する必要がありますか?再検討してみてください。


  • **「いやいや、やっぱり全部使いたい。でも$200は超えたくない!」**という方は、一日あたりの使用量を設定することができます。
    Screen Shot 2018-09-11 at 11.54.16 AM.png
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