筆者紹介
スタンバイでスクラムPOをしている者です。
主にスタンバイのSEO全体を管理、兼務出向先のLINEヤフーにて複数サービスのSEOアドバイザリーを担当、職場の許可を得て進めている副業でも大規模サイトのSEOコンサルティングを数社携わっており、社内外広くSEOやっています。
過去、いわゆる電博の広告代理店側でウェブマーケティングを広く経験してきており、かれこれトータル10年以上SEOを経験しております。年末ですし、ちょっとだけ真面目にSEOの話でもしてみようかと思いました。誰か読んでくれますよね。
俗にキャリアにおける30代はスペシャリティ、40代はオリジナリティと言います。40代に向けてまずはスペシャリティを磨き、徐々にオリジナリティを出せるように頑張っていこうと思っています。
大規模サイトSEOにおける3つの重要なポイント
あんまりウェブでも語られなさそうな【スタンス】【キーワード】【SERP】という観点からシンプルに3つにまとめてみました。
1. 【スタンス】問いを常に立て続けられるか
100万ページ以上を保有するような大規模サイトでは、従来のSEO常識は当てになりません。Googleのスターターガイドもすべてを鵜呑みにしない方が良いコトもあるでしょう。基本的には検証を通じて答えを見つける姿勢が求められます。
例えば:
- TOPページからの内部リンクは本当に高い効果を持つのか?
- sitemapファイル内のURL階層は浅い方が良いのか?
- 商品一覧ページの2ページ目以降から1ページ目にcanonical設定をするべきか?
※これホントによく聞くのですが、大規模サイトにおける一覧ページのページネーションのベストプラクティスは1つではないため、ウェブ情報を鵜呑みにしないで正解を導いてくださいね。
教科書通りの実装からスタートする、でも良いのですが、しっかりと現状の検索順位やクロール、インデックスの傾向に合わせて、問いを立て、検証し続けることが大切です。検索ユーザーが変化する以上、Googleも変化し、SEO担当者も変化し続けていかなくてはなりません。
例:
- 仕事を探しやすいエリアのカットは行政区画に通り細かくすべきなのか?
- クロール頻度の低いページは検索ニーズがそもそも無いのでは?
- 商品一覧ページのテーマと商品の関連性はSEO順位に大きく関係するのか?
余談ですが、外部SEOコンサルの方が求人アグリゲーションサイトのSEOを解説するウェブコンテンツを拝見させていただいてましたが、「あー言いたいことは分かる」と思いつつ、内情を知らない限り、正しくSEOを論じるのは難しいなぁと感じます(汗)特にスタンバイのSEOは、外から見るとやや謎めいているような、意図を掴むのが容易ではない気がしてます。
2. 【キーワード】マジョリティの気持ちを想像できるか
これは大規模サイトに限った話ではないですねw
「このキーワードを検索した際、多数派が何を考えているか?」は重要な問いです。Googleは検索者の大多数を満足させることを目的とした検索エンジンですし、特定キーワードに対して、マイノリティな検索意図を満たすよりも、マジョリティの検索意図を重視する方が理にかなっています。「こんなゴミ結果ならBingの方が良いじゃん」って乗り換えられたら困るんですね。
例えば、「事務 バイト 東京」というキーワードを対策する場合、以下のようなマジョリティの検索意図が考えられます:
- フルタイムではなく、柔軟な働き方を希望。
- 都内で接客不要、特別なスキルが不要な仕事を求めている。
- 地理的条件や通勤のしやすさを重視。
逆に、東京以外の求人や接客業寄りの内容は、マジョリティの意図から外れる可能性があります。したがって、いきなりマイノリティな検索意図をメインコンテンツに掲載してしまうとユーザーが求める内容と異なり、期待した検索順位に達しない可能性があります。
一方でマイノリティな検索意図は内部リンクやレコメンドなどで救ってあげると良いでしょう。
3. 【SERP】競合とのポジショニングを意識する
最後はテール系キーワードに多いかなーと思う話です。大規模サイトはテールまで狙いに行くのが自然なので3つ目に盛り込みましたが、SERP(Googleの検索結果画面)も見に行くとヒントがあります。
前述の通り、検索キーワードには様々な検索意図が隠れています。そのため、Googleの検索結果には、多様な検索意図を持つ検索者を満足させるための多様性が一定求められます。
意外と見落とされがちなのですが、1-10位までの検索結果画面には、必ずしも検索クエリに完全一致する内容だけが表示されるわけではありません。
例えば、「事務 バイト 東京」で検索した際、1ページ目の上位には「事務 バイト 東京」の求人一覧といった、検索キーワードドンピシャのLPが出がちですが、1ページ目後半に行くにつれ「事務 バイト 東京 未経験OK」のような検索キーワードを少し外したLPも含まれることがあります。
であれば、無理に検索キーワードドンピシャの求人一覧を磨き込むより、少し検索意図をズラした「未経験OK」を含んだ求人一覧の体験向上を引き上げた方が良いユーザー体験を提供できる確率が上がりますよね。
このように、SERPsを冷静に見ながら、自社・競合サイトのポジショニングや検索結果の傾向を踏まえ、自社サイトがどのキーワードで戦うかを戦略的に考える必要があります。
SEOerの生存戦略
SEOにおいて、Googleのアルゴリズムや検索ユーザーの意図に寄り添うことは重要不可欠です。検索エンジンに評価される構造や、ユーザーに価値ある情報を提供する施策は、成果を上げるための基本的な柱です。しかし、寄り添うべきはGoogleや検索ユーザーだけではありません。SEOに関わるすべての人々――チームメンバーやクライアント、関係者――に対しても、同様に配慮し、共に歩む姿勢が求められます。
1のスタンス部分でも述べた通り、SEOは単なる技術ではなく、多くのサービス関係者と連携し、地道な検証を通じて進化させるものです。ゆえに、SEO担当者は単なるGoogleのアルゴリズムを知ってる人、なんかSEOの引き出し多い人、ではなく、究極的には「一緒に働いていて気持ち良い人」であることこそが生存戦略において重要だろうなと思います。
特に事業会社では、SEO担当者が「単独の専門家」ではなく、「チームを繋ぐ架け橋」として機能することが求められます。マーケティング、プロダクト開発、営業、さらには経営層との連携を通じて、SEOを事業成長に結びつける役割を担うからです。一方でコンサル側でも、クライアントの事業背景や文化を理解し、ただの指示出しではなく、共に課題解決に取り組むパートナーである姿勢が求められます。
「一緒に働いていて気持ち良い人」であることは、最終的に信頼を生み、結果として長期的な成功に繋がる。技術だけではなく「人の仕事」であることを忘れず、相手に寄り添う姿勢が、時代を超えてSEOに必要とされる能力になることでしょう。