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MySQL 8.0 GroupReplication Multi-primary modeでのバージョンアップ

Last updated at Posted at 2024-03-27

# 概要
本記事はMySQL 8.0 GroupReplication Multi-primary modeでのバージョンアップ手法について紹介します。
公式ドキュメントなどでも、さまざまな手法を紹介されていますが、以下のゴールを目指して採用した最適化した流れを紹介しようと思います。

ゴール

  • サービス停止なし
  • リスク最小限
  • コスト最小限

構成

MySQL構成

  • Group Replication
  • Multi-primary mode
  • 3node構成

LB構成

writer:

  • L4LBを利用(MySQL Routerは利用していない)
  • Active/Standby構成で1ノードに書き込みを寄せている
  • 1nodeは常にサービスアウトの状態
  • L3DSR方式

reader:

  • L4LBを利用(MySQL Routerは利用していない)
  • Active/Active構成で2ノードを参照する
  • 1nodeは常にサービスアウトの状態
  • L3DSR方式

( 余談 ) なぜMulti-primary modeを採用したか?

弊社のLBはL3DSR方式で実現し、LBのヘルスチェックを操作することによって、サービスアウト(コネクション ドレイン)が可能です。
そのため、ヘルスチェックが失敗しても直ちに接続切れません。
メリット:

  • 既存セッションに影響なく、新ノードへ接続を誘導できる
  • どのノードでも書き込み可能なため、FOのスピードを限りなく速くすることができる

デメリット:

  • サービスアウト直後は2ノード間で書き込む状態になるため、Conflict発生する可能性がある
  • そのためアプリ側には再実行ロジックを実装及び、定期的接続し直すような設定が必要

バージョンアップの流れ

1. 作業前の状態:

  • バージョンアップ途中で、writeの向き先を意図したnodeに向けるため、LBの優先順位一番高いnode1に向く
  • readはservice inの全てのnodeに向く

2. node3をバージョンアップ:

  • node3をバージョンアップ
  • node3でレプリケーションの動作確認を実施

Group Replicationでバージョンが混在する際、自動でread_only = ONとして立ち上がります。本手順ではMPモードを維持するため、都度OFFに戻しています。

3. node2をService Out:

  • node3をservice in
  • node2をservice out
  • readの動作確認を実施し、問題あった場合はロールバックする

3. node2をバージョンアップ:

  • node2をバージョンアップ

4. node1をService Out:

  • node2をservice in
  • node1をservice out
  • writeの動作確認し、問題あった場合はロールバック

5. node1のバージョンアップ

  • node3をバージョンアップ

まとめ

工夫したポイント

MySQL新バージョンでは前方互換性がない可能性があるため、以下のポイントでリスクを抑えています。

  • バージョンアップ途中はなるべくold -> newのレプリケーションを維持して、replication停止など防ぎます。
  • 影響小さい順にreplication -> read -> writeの順に徐々に動作確認してリスクを最小限に抑えます。
  • writeの向き先を切り替えるタイミングでは、過半数が新バージョンの状態になっているため、旧バージョンへのreplicationが失敗してもクラスタとしては問題ありません。
  • 向き先を切り替えるたびに、動作確認及び、既存コネクションが消えるのを待つため、24H猶予を持たせています。

おまけ

他のバージョンアップ手法との比較結果

No. 方法 Pros Cons
1 インプレイスでバージョンアップ - 手順がシンプル
- 追加コストが不要
- 環境変更が最小限
- ロールバックが容易
- エンドポイント切り替え不要
- 可用性が一時的に下がる
2 新ノード追加 & 旧ノードと入れ替え - 可用性維持
- ロールバックが容易
- テストが容易
- コストがかかる
- 設定の移行と同期が必要
3 新クラスタ作成 & 旧クラスタと入れ替え - 可用性維持
- 新旧のバージョンを比較テストできる
- 新しい環境を最適化できる
- コストが最も高い
- 移行作業が複雑
- ロールバックするには逆同期の考慮も必要

終わりに

環境によって、考慮する要素や優先順位の考え方などさまざまですが、参考になれると嬉しいです。

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