キー配列カスタマイズ楽しい!
この記事は DUMANG DK6 シリーズの楽しさを布教するポエム兼ビギナーズマニュアルのようなものです。
自作キーボード沼にハマりたいけれどハマれていない人の懸念点として半田付けが大きいのではないかと私は思うのですが、半田付け不要で自作キーボード気分を味わえるどころか、自分だけのレイアウトまでできちゃう(キーの割当じゃなくて配置ができちゃう!)夢のようなキーボード、それが DK6 シリーズです。
まずはこちらの記事をご覧ください。
究極の自作キーボードキット?深圳DUMANGキーボード – スイッチサイエンス マガジン
私のカスタマイズ例
全体配列 1 st. gen
わかりやすいように主なキーに無理やりオリジナルのキートップをはめて配置してみました。メインで使っているのが ErgoDox なので親指の enter, tab, space などの配置は ErgoDox の初期状態に近いです。右手の shift は写真でキー配列説明するためにおもしろ半分ではめてみたのですが、意外にこの大きさが親指の側面で押しやすくて新たな発見でした。
全体配列 2 nd. gen
大胆にリアレンジ!もしかして私……alt キー好きすぎ?
しかしこの配列、後述のように左右のボードをまたいでレイヤー切り替えできない状況では数字キーのシフト入力が大変です。
親指の側面をムニっと活用
自由度の高い親指の先で軽く enter, tab を、チョイト伸ばして alt を、そして親指の側面でムニっと shift を押します。
ターミナルを使っていると右手親指のキーは ctrl とのコンビネーションで入力できるので、ちょっともったいない気もしますが。
小指の付け根をムニっと活用
使用頻度が高い ctrl を小指の付け根でムニっと押せる位置に配置。これは Arabica3/7 の "pinkey" インスパイアドです。
レイヤードキーアサインの一部
直感的なようで直感的でない少し直感的なキーアサイン。
レイヤー0 | レイヤー1 | レイヤー2 |
---|---|---|
h | ← | home |
j | ↓ | page down |
k | ↑ | page up |
l | → | end |
, | [ | |
. | ] |
レイヤー切り替えには後述する Key / Layer Toggle を利用しています。
キー配置 | 短押し | 長押し |
---|---|---|
右親指 | enter | レイヤー1 |
右親指 | tab | レイヤー2 |
本当は主にカーソル移動で右手キーボードに複数レイヤーをアサインしているのでレイヤー切り替えは左手のキーで操作したいのですが、後述するように Windows 以外ではボードをまたいだレイヤー操作ができないのでやむなくこうしています。
入手方法など
2020-02-10 時点でどこもかしこも品切れ!ユーザ登録しておくと入荷時に連絡してくれるサイトもあるので、気になった人は登録しておくとよいと思います。
ただしこの DK6 はだいぶ癖が強いので、後述の「イマイチなところ」を読んでから購入をおすすめします。
入手方法 ~ 通信販売
私は秋月で通信販売購入しました。
秋月とスイッチサイエンスではキートップは104キー分が同梱されているようです。
- 秋月電子通商のトップページ - 青軸・82 キーの DUMANG DK6 mini
- スイッチサイエンスの商品一覧 - 赤軸・88 キーの DK6, 76 キーの DK6 Ergo
- 遊舎工房のトップページ - 紹介記事を見ると DK6 と DK6 Ergo が入荷したようです
ほぼ必須アイテム
現時点では Windows マシンが必須です!キーアサインは Windows アプリで設定します。のみならず、左右のキーボードをまたいでレイヤー切り替え入力できるのは Windows に限ります。 マジか……
レイヤー機能をまったく使わないという人はもしかしたらキーアサインは変更しなくても楽しめるかもしれませんが、ミニキーボード、Ergo 配列が好きな人はレイヤーの活用が不可避でしょう。
プラスであるとよいもの
- キートップ。特に Ergo っぽい配列にして元のキーサイズと違うアサインにする人は親指用に 1.5U, 2U くらいのサイズが10個くらいあるとよいと思います
- USB ポートに余裕がないノート PC の場合は USB ハブ。DK6 は左右独立接続なので USB ポートを2つ使ってしまいます
- USB Power Delivery 対応だとさらに融通が効きます
- 左右にポートが配置されているタイプだとケーブルのバランスがよいと思いました。でも左右に付いててさらに USB Power Delivery 対応な製品なさげ……
かゆいところに……ちょっと手が届きづらいファームウェア設定
レイヤー設定 | 動作 |
---|---|
To Layer | 設定キーを押すと指定レイヤーに切り替えて固定 |
Layer Toggle | 設定キーを押している間指定レイヤーに切り替え |
Key / Layer Toggle | 短押しでレイヤー1、長押しで指定レイヤーに切り替え |
最後のだけちょっと詳しく説明します。
短く押すとレイヤー1のキーを出力して、長く押すとレイヤーの一時切り替えになります。(DUMANG DK6 の基本レイヤーはレイヤー0です。) 割とキーアサインの融通が効かない DUMANG DK6 のカスタマイズの鍵を握る機能だと思います。私は親指にあたるキーは shift 以外すべてこの機能を使っています。
例えばあるキーを K/LT2 に設定すると、それだけでは長押ししている間に他のキーを押すと他のキーのレイヤー2が出力されるだけで、K/LT2 に設定したキーのレイヤー1に enter を設定すると、単押ししたときには enter として機能するようになります。
マクロ
数字キーを配置しないミニサイズキーボードでよくある構成にすると必然と数字は Layer 切り替えで入力するわけですが、左右のキーボードをまたいでレイヤー切り替えコンビネーション入力できない DUMANG では shift + 数字 の入力が大変です。これはマクロで解決できます。
- DUMANG app でキーを選択
Configure Macro
- リストから
5. Key Combination Mode
を選択 (マクロというより単なるキーコンビネーションを登録するにはこれが最適) Start Recording Macro
- 入力したい文字を入力
Stop Recording Macro
Save Macro To Key
これでキーリピートも有効なコンビネーション入力がマクロとして登録できます。
DUMANG DK6 のまだイマイチなところ
この夢のカタマリのようなキーボード DK6 ですが、自作キーボード界と比較するとファームウェアが機能面でまだ発展途上な段階です。ハードウェアとしてあまりに画期的なゆえか……
しかしマクロ機能はなんか充実しているようなのでワークアラウンドはできるかもしれません。いやしかしゆうてもマクロやろ……
長押しのカスタマイズ性が低い
同じキーへの長押し/短押し割当は長押しにレイヤー変更しか割り当てできません。
私は ErgoDox で /, z 長押しに ctrl のアサインを愛用しているのですが……できません。まあしかし Mac OS であれば Karabiner-elements の長押しを別のキーにアサインする機能で補完できそうです。加えて Mac OS は他の OS よりも command キーが多いので、複数 OS で同じキーボードを使うという人は /, z 長押しを command にアサインすると OS ごとの差異が小さくできてよいかもしれません。
いや本音を言うと Mac OS で最も使うであろうモディファイアの command キーは独立していた方が快適なのですが、それは DUMANG のせいではなく複数 OS 使う人の常でしょう。
Windows 以外の OS では2枚のキーボードをまたいでレイヤー変更できない
左のレイヤー変更キーと右のキーといった組み合わせが使えません。左の L1 と右の h で ← ということができない。
というかボードをまたいだレイヤー切り替えはファームウェアでは実現できてなくて(仕様上不可能?)Windows でも DUMANG app により実装されています。DUMANG app を起動していないとボードをまたいだレイヤー操作はできません。私はカーソルを基本レイヤーにアサインしていないので、文字列選択がちょっとやりづらいです……
マウスクリックはできるがマウス移動は設定できない
ちょっとなんでだかわからない……マウス移動はできないけれどクリックができて嬉しいシチュエーションというのが滅多にないと思う……
長押しのしきい値変更ができない
しかもこのしきい値が割と短いので Key / Layer Toggle の短押しレイヤー1出力が不発になりやすいと思います。
DUMANG app を起動していると長押しレイヤー変更が固定されてしまう不具合がたまに起きる
最近発生頻度は低いのですがファームウェアではなくアプリで起きているようで、発生したときに備えてレイヤー0にスイッチする TL0 キーを設定しておいて押しても復旧できません。アプリ再起動以外で対処できないように見えます。
キーカスタマイズアプリが Windows 版しかない
DUMANG のサイトには 将来は Mac 版もリリースするよ とあるので期待しましょう。
左右で USB ポートを2つ使ってしまう
これは前述のレイヤー切り替えがファームウェアだけでは左右のボードをまたげない問題にもつながっているので、次の製品では統合されることを期待しています。(気が早いて)
DK6 mini ってラインナップとしてどう?
- 手があまり大きくなくて ErgoDox くらいキーが多くても持て余すという人には Good
- mini と言っても省スペースキーボードと比較すると大きく、省スペースで親指を活用する Ergo ライクな配列にするには充分。Arabica3/7 のように小指の付け根で押す "pinkey" も同時に設けられる
- Ergo ライクな配列にしてかつ、レイヤー切り替えは性に合わない、という人はスペースが足りない恐れが強い。長押しのカスタマイズ性がよくないせいである