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ホラクラシーとブロックチェーン

Last updated at Posted at 2018-12-19

この記事はウェブクルー Advent Calender2018 20日目の記事です。
昨日は@yagiyuuuuさんの「新卒が便利と感じたEclipseのショートカット集」でした

はじめに

本記事でお話させていただくのは新しい組織形態として、昨今注目を浴びているホラクラシーと仮想通貨を支える技術として話題のブロックチェーンとの関係性について。

まずホラクラシーの説明をする前に重要なポイントに触れる必要がある。
それは会社が組織形態を持つ意味についてである。

会社という形態をなす意味とは

会社において一人の人がすべてのタスクをこなすことは難しい。小規模の会社であれば、可能な事もあるかもしれないが一般的には会社の規模がスケールすればすれほどタスクの総量も同時にスケールしていく、さらに各種タスクにおいて高度な専門性が要求される。
この仕事をすべて一人で行なうことは不可能であり、会社の中ではおのずとタスクは各個人に分散されていき、人々が深く絡みながら運営される。

また会社は資産を保有している。それは金融資産だったり、物的資産であったり、培ってきた専門性も情報的資産として保護されなければならない。

このような状況の中で、会社という形をとらない場合にどうなるだろうか?

すべての関係する個人個人と一つ一つのタスクについてどれだけの金融および物的資産を使用してよいか/どれだけの情報資産にアクセスできるか/どこまでが責任範囲となるか/どのような報酬であるか等を決めて契約する必要がある。

この莫大な契約コストを無くし必要な専門性を持ったメンバーを確保するために会社という限られたメンバーだけのグループを作ることで包括契約を行なっているのが会社の機能的な意味である。

裏を返せばこの契約が明確な形で、時間を掛けずに実行できるのであれば機能的な面においては会社という組織を保つ必要はなくなる。
それを実現するのがブロックチェーンである。

ブロックチェーン

ブロックチェーンの説明については、様々な書籍や記事で詳述されているのでここでは割愛する。

ブロックチェーンは、契約の簡略化(スマートコントラクト)を急激に加速させる。
ネットオークションはブロックチェーンのベネフィットを語る上で、いい例であろう。
例えばメルカリやヤフーオークションといったサービスは、ユーザとユーザを紐づけるプラットフォームを提供すると共に品物の授受と代金の支払いの信頼性を担保することで手数料を取得している。
ブロックチェーンにおいてはこの集権的な役割は不要である。ブロックチェーンのネットワークに一旦参加さえすれば、そのネットワーク内すべての個人が潜在顧客であり、取引時の金額の誤魔化しや物品の所有権に関する問題は発生せずに取引が出来る。
ブロックチェーンは価値の移動と所有権の記録を自動的にすべて改ざんなく実施してくれるので、相手のユーザが信頼に足るものがどうかは関係ない。

これは上記で述べた会社にも応用できる。

個人が必要な条件や役割を定義してそれをブロックチェーン内に発布すれば、あるユーザがこの条件を受諾さえすれば契約成立である。
タスクが完遂したかどうかにより、自動的に価値の授受が行なわれるので、報酬の未払いを心配する必要がない。
または会社側は必要なときに必要な専門性を持ったメンバーを確保できる。

ただ会社の形態そのものをなくすという現象にたどり着くまでには、相当の日数が必要であろう。
前段階的にこのアドバンテージを享受するために、組織内で広まっているのがホラクラシーというあり方である。

ホラクラシー

テクノロジーの発展と共に組織のあり方も変化してきた。一般的に知られている人が人を管理する集権的なヒエラルキー型組織、職能と関連性で二方向に管理されるマトリクス型組織そして中央集権的を排除したホラクラシー型組織である。

そもそもホラクラシーとは、1967年に発売された本(Arthur Koestler's 1967 book The Ghost in the Machine)の中で造成されたholarchyという単語からきておりholarchyというのはholon(それ自体が部分であるが、全体の一部としての性質も持つもの)同士のつながりを意味している。

組織の中でholonとなるのは役割(ロール)である。

ホラクラシーでは管理者を持たずに決められた範囲内のロールの中で、意思決定はそのロールをアサインされた個人が実施できる。
つまり決定権は細分され各ロールに紐づく形となる。

ホラクラシーを実践する際にまずサークルという構成単位を定義する必要がある。
これは関連する役割が集まった一つの役割の集合体でありこれ自体が大きな役割の一つである。
サークルも厳密に役割、領域、債務が定義される。

このサークル内に小さなサークルが紐付き組織を構成する。
ホラクラシー.jpg

つまりこの小さなサークルの厳密に決められた定義の中で、アサインされたメンバーは意思決定を出来るのである。

例えばデザインとコーディングが双方得意なメンバーがいれば、一つのサークル内ではデザイナーという役割を担い別のサークル内ではプログラマーという役割を担う。

こうすることで組織の意思決定をスムーズにし、柔軟な組織構成を組成できることで組織にダイナミズムを生むことが出来る。

ただし一般的な懸念として、ガバナンス(組織統治)を働かせにくいという問題がある。
こういった組織構成上一見するとルールがなく自由な組織に見えるが、むしろ個人の裁量は役割として厳密に細かく縛られる。
つまり役割自体についている裁量権は非常に限定的であり、全体の意思決定の総和は総じて正しいものという大枠に基づいて自律的なガバナンスが図られる。

また上記で述べた特徴から用意に推察できるが、ブロックチェーンと組み併せることでこの組織の効果を最大化することが出来る。
すべての役割の定義はブロックチェーン上で定義され、スムーズに役割のアサインやサークルの活動を把握することが出来る。
またどのようなアクションが行なわれたのかすべての記録を改ざんなく閲覧することが出来るため、この部分での透明性を確保できることにより中央集権を排除した分散型のガバナンスシステムを構築することができる。

最後に

まだまだホラクラシーという定義自体もあいまいな、醸成の必要な組織形態ではあるが爆発的に世の中の仕組みを変え、社会のスピードを加速させる可能性秘めている。
今後も様々なホラクラシーとブロックチェーンの融合した適用事例をウォッチしていきたい。

明日は @hiro_mori さんです。よろしくお願い致します。

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