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モバイル新OSリリース前後の試験を考察する (Android編)

Last updated at Posted at 2020-12-04

iOS、AndroidのOSはほぼ毎年、メジャーバージョンアップが行われる。2020年を振り返るとAndroid11が9月8日に、iOS14が9月16日(日本時間9月17日)にリリースされたのだが、モバイルアプリ開発に携わっている者として、新OSへの対応は非常に頭の痛い課題である。
公開中のアプリの画面のレイアウトがおかしくなる、特定の機能が使えなくなる、最悪のケースではアプリが全く起動しない…といった事態も起こり得るため、事前の動作検証は必要不可欠である。

iOS14については以下の記事で書かせていただいたので、こちらはAndroid11に関して。
https://qiita.com/wataru_kojima/items/78eb906a8689d0283511

AndroidのOSアップデートに関するユーザー動向

以下はとあるアプリのAndroidのプラットフォームごとのユーザー比率である。
(GooglePlayConsole インストール済みユーザー を集計)

Android11share.png

  • Android11公開の翌日は0.2%
  • Android11公開の1週間後で0.4%
  • Android11公開の1ヶ月後で2.4%
  • 11月末時点では3.6%

となっていた。仮に10万ユーザーが利用するアプリだとすると、翌日で200人、1週間後に400人。これくらいの人数であったら、万が一致命的な不具合が出てしまっても、なんとか謝れば許してくれそうな感がある。とはいえ、1ヶ月後だと2400人…さすがにこれくらいの人数になってくると、無視はできなさそうだ。

iOS14.0の割合が、公開の1週間後には20.0%だったことと比較すると、だいぶ対応はゆっくりでも良さそうである。しかし、なぜiOSと比較すると、これほどまでにゆっくりした増加率なのか? それは、Android11が公開されたからと言って、全てのAndroidユーザーがAndroid11に移行できるわけではないからである。

実のところ、2020年11月30日時点でAndroid11をインストールできるのは、開発者向けベータ版を除くとGoogle製の端末しか存在しない。ちなみに、このアプリの11月30日時点のGoogle製端末のシェア率を調べたところ 4.23% であった。これを考慮するとAndroid11に移行できるユーザーのうち85.7%はAndroid11に移行していたことになる。

11月末時点でiOS14ユーザーが86.8%であったことを踏まえると、iOSもAndroidも、バージョンアップが可能なユーザーの移行傾向は、以下のようにほぼ同様であることがわかる。

  • Android11公開の翌日は0.2% → 移行可能ユーザーのうち4.7%がバージョンアップ完了
  • Android11公開の1週間後で0.4% → 移行可能ユーザーのうち9.5%がバージョンアップ完了
  • Android11公開の1ヶ月後で2.4% → 移行可能ユーザーのうち57.1%がバージョンアップ完了
  • 11月末時点では3.6% → 移行可能ユーザーのうち85.7%がバージョンアップ完了

いつテストをすべきか?

Android11の正式リリース版を待ってテストを実施する…という方針だと、さすがに後手に回ってしまっている感は否めないので、やはりベータ版でアタリをつけることになるだろう。
Android11ベータ版のファイナル(ベータ3)の公開は2020年8月6日…すなわち正式版の約1ヶ月前だった。また、このベータ3の公開時には Android 11 final Beta update, official release coming soon! とGoogleからのアナウンスもあったので、これでテストをすればだいたいOKなのでは? という判断もできた。

これまでのAndroidアップデートを振り返ると・・・

しかし、過去のAndroid beta版 (Final) の配信と、正式版のリリース日は以下の通りであった。

  • Android11 Final 2019/8/6 → 正式版 2020/9/8(約1ヶ月)
  • Android10 Final 2019/8/7 → 正式版 2019/9/3(約1ヶ月)
  • Android9 Final 2018/7/25 → 正式版 2018/8/6(12日後…!?)
  • Android8 Final 2017/7/24 → 正式版 2017/8/21(約1ヶ月)
  • Android7 Final 2016/7/18 → 正式版 2016/8/23(約1ヶ月)

概ね1ヶ月の猶予があるのだが、Android9は正式版リリースまでの期間がかなり短かった。では、どうするのが最善か? こればかりはなんとも言えない。Finalだというアナウンスを待つべきか、先行して検証すべきか…アプリの規模や、万が一不具合が出てしまった場合の影響度と検証にかかる労力やコストを総合的に考えて判断するしかなさそうだ。

Android12ではどうなるかは未知数・・・1ヶ月程度の猶予があることを祈りたいが、油断もできなさそうである。

Android11での不具合との戦いはこれからだ!

Google製のAndroid11は既にリリースされているが、他メーカー製の端末では、ようやく2020年12月からAndroid11へのアップデートが提供され始める。Android端末では「機種依存」「メーカー依存」といった不具合も出ることがある。Google製のAndroid11で動いたからと言って、他のメーカーのAndroid11端末で正常動作する保証はない。そう・・・Android11での不具合との戦いはこれからなのだ!

平和に2020年が終わるよう・・・ただただ、祈るばかりである。

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