まずはイントロダクション的な記事となります。
世界におけるリテールテック、すなわち小売業にて使用される技術の潮流
について、小売業者の視点で記述します。
賛否あるとは思いますが、主に店頭で利用されるか後方で利用されるか、顧客向けか従業員向けかの4象限で分類されることが多いです。もちろん各技術、従業員向けで開発されたものが顧客体験価値を生んだり、店頭後方両方で使われたりといったこともありますので、あくまで概念として捉えていただければと思います。
この中から、いくつか世界的に有名な技術をピックアップして紹介します。
#レジカート お買い物セルフレジ
カートにレジがついていたり。
お買い物しながら専用端末で商品スキャンできたり。
皆さんも体験されたことがあるであろう、お買い物における慢性的なレジ待ち。
小売業における重点課題の一つでしたが、近年カートや手持ちのレジ端末を導入して、レジ待ち時間をなくす動きが盛んです。顧客側が自分で商品スキャンを実施しながら買い物をして、レジに並ぶことなく精算することが可能となっています。
レジ応援(レジ以外の部門の人が、混雑した場合に緊急的にレジに入る)時間の削減というメリットは店側にありますが、やはりレジ待ち時間がなくなるという顧客体験的な部分が本質と考えています。
さらにこの技術が極まると下記のようになります。
##Amazon GO
ご存知の方も多いかと思いますが、2018年にオープンしたAmazonの店舗です。
この店舗はレジがありません。アプリをダウンロードしたスマートフォンを、セキュリティゲートにかざすことで入店でき、その後店内のカメラと、商品棚のセンサーで顧客の購買情報を読み取り、自動で生産される仕組みとなっています。
リテールテック関連の展示会に行くと、類似の技術を紹介されている企業さんもいらっしゃる状況であり、日本でも今後実証実験は加速するものと思われます。
#Eコマース フルフィルメントセンター
今や我々の生活になくてはならないEコマース。コロナ禍により、その潮流は一気に加速し、物販系でのEC化率は2020年で8.08%と前年6.76%、前々年6.22%という傾向から見ても大きく伸長しています。
そのEコマースを支えるのがフルフィルメントセンター化です。特に、店舗併設型の小型物流倉庫はマイクロフルフィルメントセンターと呼ばれ、店頭の商品在庫保管機能と、店での商品受け取り(ピックアップ)、消費者への商品配送というラストワンマイル機能を兼ね備えた設備です。
世界的に見て最も進んでいるのは以下の企業かと考えています。
##Walmart.inc
walmartは世界最大の小売業です。
さらに言えば、小売業の枠を超えて営業収益で世界最大の企業です。
amazonの成長を見て、いち早くEコマース事業に力を入れ始めたことで、アメリカで多くの小売業が経営破綻に追い込まれる中、今なお規模を拡大し続けている企業です。
いち早く、マイクロフルフィルメントセンターに投資し、さらにEコマースのアプリ(Walmart app)と店舗での受け取りシステムを整備したことで、高い利便性を顧客に提供し続けていることが、成長の要因と言えるかと思います。
店舗併設型物流拠点
EC注文商品のカウンターでの受け取り
EC注文商品のドライブスルー
#結びに
このように、一般的に言われているリテールテックは、企業が莫大な投資をかけて、トップダウンで推進していく傾向が強いです。アメリカの小売業は日本に比べて10年分進んでいると言われており、日本も今後同様の傾向で追随していく可能性が高い、さらに言えば追随し始めているというのが現状という認識です。
一旦視点を高くしたところで、明日以降は少し身近な課題解決、ボトムアップな話を書いていきたいと思います。引き続き読んでいただけると嬉しいです。