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KiCadの基板を見た目良くFusion360にインポートする

Last updated at Posted at 2022-07-18

KiCadでPCBを作成し、Fusion360で設計した筐体と組み合わせることはよくあるかと思います。
その際、PCBの3DモデルをFusion360に読み込ませることができれば、部品と筐体との干渉などを確認できて便利です。
しかし、KiCadのPCBエディター(旧Pcbnew)からSTEPファイルやVRMLファイルを書き出してFusion360に読み込ませても、多くの場合は理想とかけ離れた見た目になります。

KiCadからSTEPファイルを書き出してFusion360にインポート
1.jpg

KiCadからVRMLファイルを書き出して、BlenderでFBXに変換してからFusion360にインポート
2.jpg

このような状況を解決し、下記のようにキレイにPCBの3Dモデルをインポートさせる方法を紹介します。
3.jpg

TL;DR

  • KiCadから直接書き出すより、FreeCADのアドオン KiCad StepUp 経由で書き出した方がキレイ
  • KiCad StepUpの導入方法が昔と変わっており、今はGitHubリポジトリから手動でダウンロードしなくてよい
  • StepUpは.kicad_pcb ファイルを直接読み込んでくれるが、シルクだけは別途KiCadから書き出す必要あり
  • PCBによっては読み込み時に激重になるので注意

バージョン

KiCad 6.0.1
FreeCAD 0.19
KiCad StepUp 2022/07/18時点の最新
Fusion 360 2.0.13615 個人用ライセンス

FreeCADとKiCad StepUpの導入

まずは公式サイトからFreeCADをインストールします。
choco install freecad winget install freecad brew install --cask freecadもいけるっぽいです。

FreeCADを起動します。

ツール > アドオンマネージャー からアドオンマネージャーを開きます。

kicadStepUpMod を選択し、選択をインストール/更新する を押してStepUpをインストールします。

スクリーンショット 2022-07-18 171543.png

再起動するよう言われるので再起動します。

初期設定

StepUpを有効化するために、KiCadStepUpワークベンチに切り替えます。

スクリーンショット 2022-07-18 171714.png

編集 > 設定 から、StepUpを使うのに必要な各種設定を行います。

デフォルトのワークスペース

必須ではありませんが、ほかの用途でFreeCADを使うことがないならば、
標準 > 標準 > 起動 > 起動後に自動ロードされるモジュールから、起動後に直接KiCadStepUpワークベンチがロードされるようにした方が便利かと思います。

image.png

3Dモデルのディレクトリ

KiCadの各種フットプリントの3Dモデルが格納されているフォルダを指定します。

KiCadを起動してフットプリント ライブラリーを開き、下記の変数に対応するパスをメモします。

${KICAD6_3DMODEL_DIR} ${KICAD6_3RD_PARTY}

image.png

FreeCADの設定に戻り、kicadStepUpGui > General > 3D Prefix working folder の中の
main 3D folder location${KICAD6_3DMODEL_DIR} の値を、
secondary 3D folder loc${KICAD6_3RD_PARTY} の値を入力します。

image.png

DXFの読み込み設定

インポート/エクスポート > DXFを開き、下記のように設定します。

  • 従来型の Python インポーターを使用 をオンに
  • インポート・オプション > 作成パート形状を単純化
  • インポート・オプション > ジオメトリーを結合 をオンに

image.png

仮に設定し忘れても、シルクのインポート時にエラーが出るので大丈夫です。

KiCad側の下準備

ここから先はPCBを変更するたびに行う作業です。

いざ、FreeCADに読み込み…と行きたいところですが、いったんKiCad側で下準備をします。

PCBエディターを開き、ファイル > プロット からシルクスクリーンのDXFファイルを出力します。

KiCadのバージョンが公式のガイドと異なっており画面が少し違いましたが、下記の設定でいけました。
エクスポート単位を mm にするのが重要です。

image.png

製造ファイル出力 を押してKiCad側の作業は完了です。

FreeCADにPCBを読み込み

一番の山場です。

外形とフットプリント

FreeCAD内にある下記画像のようなアイコンを押して、外形とフットプリントを読み込みます。

ksu Load KiCad PCB Board and Parts

.kicad_pcb ファイルを指定すると読み込みが開始されます。

基板によっては読み込みに時間がかかる場合があるようです。
私の場合は11分ほどかかりました。時間がかかる場合は下記のようなダイアログが出ます。
(追記: 基板外形のデータを修正したところ、1分以内で完了するようになりました。)

image.png

メモリもドカ食いされました。

image.png

PCBの外形と各種フットプリントの3DモデルがFreeCAD上に表示されたら成功です。

image.png

配線

FreeCAD内にある下記画像のようなアイコンを押して、配線を読み込みます。

ksu tools Add Tracks

.kicad_pcb ファイルを指定すると読み込みが開始されます。

配線がFreeCAD上の基板に表示されたら成功です。

image.png

シルクスクリーン

FreeCAD内にある下記画像のようなアイコンを押して、シルクスクリーンを読み込みます。

ksu tools Add Silks from kicad exported DXF

ここで指定するのは .kicad_pcb ファイルではなく、先の工程で出力されたDXFファイルです。
2つのDXFファイルのそれぞれについてこれを行います。

シルクスクリーンが基板の裏表に表示されていれば成功です。
(そもそもKiCad上でシルクを付加していない場合は、表示されていなくても正常です。)

image.png

書き出し

画面左側のコンボビューから、一番上層にある階段マークを選択した後に、
ファイル > エクスポート を選択します。

image.png

STEP形式で書き出してFusion 360に読み込ませると、冒頭の結果が得られます。
image.png

おまけ

Fusion360に基板を読み込んだおかげで、ピンヘッダと上の基板が衝突してることに気づけました。よかった。
omake.jpg

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