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Rubyの標準出力をコンソールとファイルの両方に出力させる

Last updated at Posted at 2018-10-18

環境

macOS 10.13.4
Ruby 2.5.1

はじめに

まず、なにかしら出力させるRubyプログラムの簡単な例として以下のsample.rbを用意しました。

sample.rb
5.times do |i|
  puts i * 2
  sleep(1)
end

実行して、コンソールに表示される出力は以下になります。

$ ruby sample.rb
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標準出力をファイルに出力するには

リダイレクト

コンソールに表示される標準出力をファイルに保存したい場合、実行時に>(リダイレクト)を使えば簡単にできます。
試しに、output.txtに保存してみます。

$ ruby sample.rb > output.txt

コンソールには、なにも表示されません。
catコマンドでoutput.txtの中身を確認してみます。

$ cat output.txt
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ちゃんと保存されています。

$stdoutを変更

今度は別の方法を試してみます。

Rubyプログラム内で、標準出力の出力先を変更する方法です。この方法は$stdoutのリファレンスに書いていました。$stdout

標準出力です。 組み込み関数 Kernel.#print、Kernel.#puts や Kernel.#p などのデフォルトの出力先となります。 初期値は Object::STDOUT です。

自プロセスの標準出力をリダイレクトしたいときには、 以下のように $stdout に代入すれば十分です。

sample.rb
# 標準出力の出力先を変更
$stdout = File.open('output.txt', 'w')
# ここ以降は標準出力がファイルに出力される

5.times do |i|
  puts i * 2
  sleep(1)
end

実行してみます。

$ ruby sample.rb

今回もコンソールには、なにも表示されません。
同様にcatコマンドでoutput.txtの中身を確認してみます。

$ cat output.txt
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こちらもちゃんと保存されています。

本題

ここから本題です。

やりたいこと

ところで、標準出力をコンソールとファイルの両方に出力したい場合どうすればいいでしょうか。
両方に出力できれば、どこまで出力されているかを確認しつつ、ファイルにも保存できます。

調べてみた

ググってみると、同様の記事がありました。
Rubyでstdoutl/errを標準出力/エラーとファイルの両方に出力する
しかし載っているコードの記号がうまく表示されていなかったり、インデントが整っていなかったので、参考している元ページを見てみました。

参考にしたプログラム

どうやら、まつもとゆきひろさんが書かれたようです。でも2006年のもので結構古めです。
puts,printの出力をファイルにも出力するには
以下が載っていたプログラムです。コメントを加えてみました。

# Objectクラスのインスタンス(defaou)生成
defout = Object.new

# defoutのインスタンス変数としてFileオブジェクトを持たせる
defout.instance_eval{@ofile=open("/path/to/log/file", "w")}

# defoutに特異メソッドを定義
class << defout
  def write(str)
    STDOUT.write(str) # コンソールに表示
    @ofile.write(str) # ファイルに書き込み
  end
end

# 特異のwriteを定義したオブジェクトを$stdoutに代入
$stdout = defout

基本的には、$stdoutを変更しているのですが、
$stdoutのリファレンスには以下が書いています。

$stdout に代入するオブジェクトには write という名前のメソッドが定義されていなければいけません。

おそらく、標準出力のたびにwriteが呼ばれるのでしょう。
なのでwriteメソッドを定義しているようです。

試してみた

sample.rbを以下のように変更しました。
参考にしたプログラムの部分はメソッドにしました。

sample.rb
module Output
  def self.console_and_file(output_file)
    defout = Object.new
    defout.instance_eval { @ofile = open(output_file, 'w') }
    class << defout
      def write(str)
        STDOUT.write(str)
        @ofile.write(str)
      end
    end
    $stdout = defout
  end
end

Output.console_and_file('output.txt')

5.times do |i|
  puts i * 2
  sleep(1)
end

実行してみます。

$ ruby sample.rb
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コンソールには表示されました。
output.txtの方も確認してみます。

$ cat output.txt
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ファイルにも保存されています。
両方に出力させることに成功しました。

ppでエラー発生

sample.rbではなく、実際に本番のプログラムで使ってみるとエラーが出てしまいました。
どうやらppでエラーになっていました。Kernel.#pp
sample.rbでもppを使ってみて、エラーを再現してみます。

sample_error.rb
module Output
  def self.console_and_file(output_file)
    defout = Object.new
    defout.instance_eval { @ofile = open(output_file, 'w') }
    class <<defout
      def write(str)
        STDOUT.write(str)
        @ofile.write(str)
      end
    end
    $stdout = defout
  end
end

Output.console_and_file('output.txt')

5.times do |i|
  pp i * 2 # ppを使ってみる
  sleep(1)
end

実行してみます。

$ ruby sample.rb
/Users/username/.rbenv/versions/2.5.1/lib/ruby/2.5.0/prettyprint.rb:182:in `text': undefined method `<<' for #<Object:0x00007fbb9b0e1010 @ofile=#<File:output.txt>> (NoMethodError)

$stdoutに代入したdefout<<が定義されていないためのエラーのようです。

解決案

ところで、もとの$stdoutはObject::STDOUTがデフォルト値になっています。Object::STDOUTのクラスはIOです。
Object::STDOUT

ならdefoutは、ObjectクラスでなくてもIOクラスでいいのでは。IOクラスなら<<メソッドが定義されています。
でもIO.newのリファレンスには、引数について

[PARAM] fd:
ファイルディスクリプタである整数を指定します。

と書いています。

よくわからないので、サブクラスのFileクラスでやってみました。
File.newの引数には書き先のファイルパスを指定してみます。
そうなると、わざわざインスタンス変数でFileオブジェクトを持たせなくてもいいのでは。

最終的なプログラム

ということで結果的に以下のようになりました。

sample.rb
module Output
  def self.console_and_file(output_file)
    defout = File.new(output_file, 'w')
    class << defout
      alias_method :write_org, :write
      def write(str)
        STDOUT.write(str)
        self.write_org(str)
      end
    end
    $stdout = defout
  end
end

Output.console_and_file('output.txt')

5.times do |i|
  pp i * 2
  sleep(1)
end

一度何も考えず書いて実行してみると、writeの中でself.writeを呼ぶと無限ループになってしました。
それを避けるために、alias_methodで一度write_orgという同名のメソッドをつくってから、writeの中ではwrite_orgを呼ぶようにしました。
参考:Rubyの==演算子を再定義する(ネタ) - kitak's blog

正しく動くか実行してみます。

$ ruby sample.rb
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エラーは出ず、コンソールに表示されました。
output.txtの方も確認してみます。

$ cat output.txt
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成功しました。
本番のプログラムでも正しく動作しました。😀

最後に

どこか見落としがあるかもしれませんが、一応やりたかったことができました。
参考にしたものが古いバージョンだったので、もっといい方法があるかも。

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