Zoomdataのその後・・
以前、Zoomdataなる可視化環境を紹介させて頂きましたが、今回はそのアップデート情報を纏めて紹介させて頂きます。
Zoomdata社の現在・・
Zoomdata社は、現在Log Analyticsという可視化情報をエンベデッドで効率的に提供できるソリューションを持つ、その方面では第一人者と言われる企業に買収され、引き続きデータの量や質に依存しない、極めて即時性の高い可視化表示や、共通なキーを起点に異なる種類のデータソースをJOINして、サイロの壁を越えた洞察が可能となるFUISON機能を提供しています。
最新のZoomdata社ホームページ
Logi Analytics社ホームページ
製品の方も、以前紹介した時点から進化を続けていて、現在では最新で2系統のバージョンがあります。
安定版リリース バージョン4.9(LTS対象)
開発版リリース バージョン5.1
バージョン4.9の方は、バージョン4で予定していた機能追加や更新・修正等が安定化したと判断され、今後は致命的なバグ等は出ない状況下において、一般的に安定板としてサポートされる形になります。また、これに対してバージョン5は、一見して判るようなGUIの刷新を含めて、かなりの部分に大きな手が加えられて行く位置づけのリリースとして、彼ら曰の「ラピッド・リリース」として、暫くの間は短期間に大きく進化していくリリースとして作業が行われる形になります。
###Zoomdata製品の日本国内での取り扱い・・・
現在、買収に伴う各種の作業を収束に向けて進めている最中なので、もう少しすると新しい体制が整ってくると思います。また日本を含むアジア地域においては、以前よりZoomdata社と強い協力関係にあったStrategyCore社が、Zoomdata社の地域窓口(各パートナー企業向けの)として対応する形になる方向で調整が進んでいます。
##Zoomdata4.9の概要
Zoomdata 4.9は、基本的には従来のリリースを踏襲しつつ、組み込み分析ソフトウェア向けの独自の柔軟なスケーラビリティを提供するという取り組みを継続し開発されています。
Zoomdataは、特殊な専用のクライアントアプリケーションを必要とせず、現在市場に出回っている一般的なウエブブラウザが有れば、多様なデータソースからデータを参照する形で各種の可視化チャートをブラウザ上へ表示できます。今回のバージョンアップでも、この基本的なコンセプトは変わらずにハイブリッドクラウド上に展開されるデータソース環境から、クエリベースで参照する形で圧倒的な即時性を実現しています(時間粒度もさらに細かい間隔で利用する事が出来るようになりました)
基本的なアーキテクチャとしては、従来より実装精度を高め続けてきたマイクロサービスアーキテクチャをより高度に見直しをかけ、ハイブリッドクラウド環境上でも適切に環境のスケールに対応出来るように更なる進化を遂げています。
###高可用性と水平スケーラビリティ:モノリシックとマイクロサービス
多くの組み込みソフトウェア製品は、モノリシックアプリケーションとして開発されており、一般的には機能が豊富で成熟してはいますが、最新のアプリケーション・スケーリングやこの環境でのデプロイを行えるケースは非常に稀であり、従来型のウエブアプリケーションのアーキテクチャは一般的に以下の2つのスケーラビリティモデルのみを提供しています。
####単一ノードの計算リソースを増やすことで垂直に拡張
この方法を選択した場合、容量を増やす事は可能になりますが、フェイルオーバーを同時に実現する事は非常に困難であり、現実的には不可能であると言えます。また、ロードバランサーの背後でソフトウェアスタック全体を何度も複製する事で水平方向に拡張して行く事は可能ですが、この場合には計算能力が確保と高可用性(HA)がを活用できるようになりますが、反面多大な費用と労力が掛かってきます。
一般的に、モノリシックアプリケーションは、予期しない需要に対応する為に十分迅速にスケーリングすることが難しく、さらに従来型でのHA展開は非常にコストが高くなる傾向が有ると同時に、そのシステムの維持が難しくなると言われています。
####分散マイクロサービスを使用したエラスティックスケール
一方Zoomdataの利用環境においては、最新のマイクロサービス・テクノロジーを活用する事で、一般的に言われる単一障害点(SPOF)を回避して高可用性を確保する事が可能になります。また、大規模データソース環境や、複数の種類が混在するような場合、またそのデータがクラウドサービス環境に存在する場合、状況に応じた柔軟で効率的なリソース配分や安定性、また稼働効率を高く維持し続ける為に、Zoomdata環境では各マイクロサービスをデプロイするインスタンスの数を選択出来るように進化させました。
##強化されたユーザ利用環境
バージョン4.9ではユーザの利用環境に関する改善を多数行っており、特にデータ検索、式エディタ関連のGUIやZoomdataの特徴的な、時間軸視点での洞察・分析をより直感的に実現できるようなタイムバーの仕様が変更さえれています。
####主な変更点
(1)タイムバーに標準で完全な日付範囲が表示されるようになりました。今までは、黄色で協調表示されていましたが、今回の仕様変更により時系列データのフィルタリングや各種のシュミレーション設定等が判り易くなりました。
(2)式エディターのGUIが変更され、先行入力/オートコンプリート、コンテキストヘルプなどの一般的な開発者向けヒントを使用出来る様になりました。
(3)データを再生する際のスムーズな再描画、およびチャートの拡張とカスタマイズを容易にするために、チャートライブラリの標準化とバージョンアップを行いました。
(4)Rawデータテーブルとマップマーカーに対して、最新のライブデータ更新を利用出来るようにしました。
(5)データに対して、ドリルダウンしてミリ秒(1/1000秒)レベルでデータを視覚化出来るように改善しました。これによりZoomdataの適用範囲をより多くのIoT、テレメトリクス、また臨床薬や医療のユースケースに検討して頂けるようになります。
##最新のデータソースへの対応
Zoomdataを使う利点の一つに、多種多様なデータソースの接続を一手に管理出来るメリットが有ります。スマート・データ・コネクタ(SDC)と呼ばれる機能がこの部分を担当し、その追加・更新も今回のリリースで実施されています。
(1)インタラクティブなアプリケーションと高い同時実行性に最適化された分散NoSQLドキュメント指向データベースであるCouchbaseのサポートを開始しました。
(2)異種データソースをオンデマンドで結合するエンタープライズクラスのデータ仮想化ソリューションである、TIBCO Data Virtualizationのサポートを開始しました。
(3)Google BigQueryのサポート強化や、幾つかのセキュリティ機能等を拡張しました。
*Solr:Kerberosのサポート
*Oracle:SSLのサポート
*Apache Drill:ユーザー委任等のサポート
等々
Sparkとの決別・・・
今回のバージョンアップに際して、前述の基本アーキテクチャの見直しや、各レイヤーにおける機能・性能向上を行っていく過程において、Zoomdataの初期より協働関係にあった、Sparkサーバとの緊密連携が処理の並行性やマイクロサービス互換のスケーラビリティーに対して、ある意味でボトルネックになってきた事を理解し、同じAPIを公開する形で、より強力で汎用性が高く保守や拡張が実施し易い、新たな独自のエンジンの開発を行いました。
このエンジンは、Zoomdataの特徴的な機能である、データ・フュージョンのバージョン3.6以降で利用されており、zEngineが全てのユーザからのデフォルトのクエリエンジンとして使用される事で、従来のエンジンでは計算が困難またはリソース集約型であるチャートタイプ(ヒストグラム、ボックスプロット/四分位、およびRawデータテーブル)をサポートする事が出来る様になりました。
##この後の予定・・・
次回は、最新安定版のZoomdataバージョン4.9を試用する際の手順等を解説したいと思います。