18
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

NRI OpenStandiaAdvent Calendar 2021

Day 2

aws-cli-oidcで一時的なAWSアクセスキーを使う

Last updated at Posted at 2021-12-01

昨年のAdvent Calendarで書きました「KeycloakのToken Exchangeを活用した一時的なAWSアクセスキーの発行 」の続編ネタです。この中で紹介した aws-cli-oidc というCLIツールの便利な使い方を紹介します。

aws-cli-oidcとは

AWS管理コンソールへのログインを、Keycloakなどの外部IdPとSAMLまたはOIDCで連携させている場合に、aws-cli などのAWS向け各種CLIツールで利用可能な一時的なアクセスキーを取得してくれるちょっとしたCLIツールです。このツールの目的や説明は昨年の記事を読んでいただければと思いますが、この手の他のツールと異なり、利用者のクレデンシャルを本ツールに渡さずにアクセスキーを発行できるところがポイントです。AWSと外部IdP間のフェデレーションには、OIDCまたはSAML 2.0が利用できますがその両方に対応しています(ただし、SAMLの場合は外部IdPがToken Exchangeに対応している必要があります)。
下図は両パターンのフローを表したものです。AWS STSに対してOIDCのIDトークンまたはSAML Assertionを含むSAML Responseを送ると、一時的なアクセスキーを返してくれるためこれを利用しています。

OIDCの場合

aws-cli-oidcのフロー(OIDCの場合)

SAML 2.0の場合

aws-cli-oidcのフロー(SAML 2.0の場合)

使い方

前提

  • 外部IdP - AWS間のフェデレーションが設定されている必要があります。
  • 外部IdP - aws-cli-oidc 間のフェデレーションが設定されている必要があります。

設定方法はお使いの外部IdPに依存するため本記事では割愛します。Keycloak用の設定については別途紹介したと思います。

インストール

aws-cli-oidcリリースページよりプラットフォームに合ったバイナリをダウンロードし、解凍して実行ファイルを配置するだけです。

セットアップ

aws-cli-oidc setupコマンドを実行すると、インタラクティブに設定が可能です。以下、セットアップ実行例です。

$ aws-cli-oidc setup
Using config file: /Users/wadahiro/.aws-cli-oidc/config.yaml
OIDC provider name:
Enter a value: IdP名
 
OIDC provider metadata URL (https://your-oidc-provider/.well-known/openid-configuration):
Enter a value: https://your-idp.example.com/auth/realms/example/.well-known/openid-configuration
 
Additional query for OIDC authentication request (Default: none):
Enter a value:
 
Successful redirect URL (Default: none):
Enter a value:
 
Failure redirect URL (Default: none):
Enter a value:
 
Client ID which is registered in the OIDC provider:
Enter a value: aws-cli
 
Client secret which is registered in the OIDC provider (Default: none):
Enter a value:
 
Choose type of AWS federation [oidc/saml2]:
Enter a value: saml2
 
The max session duration, in seconds, of the role session [900-43200] (Default: 3600):
Enter a value (Default is 3600): 43200
 
The default IAM Role ARN when you have multiple roles, as arn:aws:iam::<account-id>:role/<role-name> (Default: none):
Enter a value: arn:aws:iam::123456789012:role/developer
 
Select the subject token type to exchange for SAML2 assertion:
1. Access Token (urn:ietf:params:oauth:token-type:access_token)
2. ID Token (urn:ietf:params:oauth:token-type:id_token)
 
Enter a value: 1
 
Audience for token exchange:
Enter a value: urn:amazon:webservices
 
Saved /Users/wadahiro/.aws-cli-oidc/config.yaml

$HOME/.aws-cli-oidc/config.yamlとして設定は保存されますので、今後何か変更する際はこのファイルを修正すればOKです。

使い方(Basic)

aws-cli-oidc get-cred -p <IdP名>コマンドを実行するとブラウザが起動し、指定したIdPの認証を経て(ここでクレデンシャルの入力となるので、ツールにはクレデンシャルが渡りません)、一時的なAWSアクセスキーが標準出力でコンソールに出力されます(Linux、Macならexport、Windowsならset付きで)。後はこれをコピペして環境変数に設定すれば、aws-cliコマンドが使える、というものです。もちろん、世の中にある他のAWS用のCLIツールも使うことができます。

aws-cli-oidc get-cred -p myop
Using config file: /home/wadahiro/.aws-cli-oidc/config.yaml
Login successful!
Selected role: arn:aws:iam::123456789012:role/developer
PrincipalARN: arn:aws:iam::123456789012:saml-provider/myop
RoleARN: arn:aws:iam::123456789012:role/developer

export AWS_ACCESS_KEY_ID=ASIAT......
export AWS_SECRET_ACCESS_KEY=9bkS0whPelMYQ.......
export AWS_SESSION_TOKEN=FQoGZXIvYXdzENz.......

また、pbcopyのようなクリップボードコピーのCLIコマンドと組み合わせれば aws-cli-oidc get-cred -p myop | pbcopy のように実行することで一気にクリップボードにコピーすることも可能です(最後の環境変数設定用出力の部分だけが標準出力になっています)。

使い方(Advanced)

2ヶ月ほど前にリリースした v0.6.0では、credential_processに対応しました :tada:

credential_processを使うと、aws-cliなどのCLIツールが参照する$HOME/.aws/configファイルの中に外部プログラム呼び出しを記述することで、aws-cli-oidcなどの外部のCLIツールから直接一時アクセスキーを渡すことができます。つまり、一々コピペして環境変数に設定する、という作業は不要になるわけです

設定例

$HOME/.aws/configファイルに以下のようにプロファイルを設定しておきます。

[profile developer]
output=json
region=ap-northeast-1
credential_process=aws-cli-oidc get-cred -p myop -r arn:aws:iam::123456789012:role/developer -j -s -d 43200

各オプションの説明を補足しておきます。

  • -r: aws-cli-oidcでどのIAMロールとして一時アクセスキーを取得するか、IAMロールを指定します。
  • -j: credential_processに対応したJSONデータとして一時アクセスキーを標準出力に出力するようになります。
  • -s: 一度得た一時アクセスキーをOSのシークレットストアに保存するモードになります。-sをつけないと、例えばaws-cliのコマンドを実行するたびにcredential_processが評価される動きになるため、毎回認証が必要になりかえって使いづらくなります。そこで-sオプションで、一時アクセスキーが有効な間はOSの安全な領域にキャッシュするようにします。
  • -d: 要求する一時アクセスキーの有効期限(秒)を指定します。ただし、IAMロール側で制限されている場合はその期限を超えて要求はできません。

これで、あとはプロファイルを切り替えてaws-cliなどのCLIツールを実行するだけです!プロファイルの切り替えは色々方法がありますが、例えばexport AWS_PROFILE=developerのように環境変数でプロファイル名を指定します。その後aws sts get-caller-identityを実行し、想定したIAMロールでアクセス可能か確認することができます(この時、ブラウザが起動してお使いのIdPに対して認証が要求されます)。

$ aws sts get-caller-identity
{
    "UserId": "AROA4P2G6HA6APGGSL2BG:foo@example.com",
    "Account": "123456789012",
    "Arn": "arn:aws:sts::123456789012:assumed-role/developer/foo@example.com"
}

スイッチロールも簡単!

credential_processを使うと、スイッチロールも簡単にできるようになります。先程の設定例のdeveloperプロファイルから、adminプロファイルにスイッチロールする場合、以下のように$HOME/.aws/configファイルに書いておきます。スイッチロール先のプロファイルの定義にsource_profile=developerと書くだけです。

[profile developer]
output=json
region=ap-northeast-1
credential_process=aws-cli-oidc get-cred -p myop -r arn:aws:iam::123456789012:role/developer -j -s -d 43200

[profile admin]
output=json
region=ap-northeast-1
role_arn=arn:aws:iam::123456789012:role/admin
source_profile=developer

後はadminプロファイルに切り替えるだけです。これで自動的にスイッチロールが行われて各種CLIツールが使えます。以下のように、aws sts get-caller-identityでスイッチロールがうまくできているか確認することができます。

$ export AWS_PROFILE=admin
$ aws sts get-caller-identity
{
    "UserId": "AROAIY7G3JPSAU5P2AI1E:botocore-session-1638348595",
    "Account": "123456789012",
    "Arn": "arn:aws:sts::123456789012:assumed-role/admin/botocore-session-1638348595"
}

まとめ

というわけで NRI OpenStandia Advent Calendar 2021 の2日目の記事として、aws-cli-oidcについて紹介しました。credential_processを利用した使い方にすると、たまにブラウザで認証が求められはしますが、一時的なアクセスキーの存在を忘れて各種CLIツールを利用することができるようになりオススメです。AWSとフェデレーション済みの外部IdPがある方は是非試してみてください。

18
3
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
18
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?