ターゲット
STM32を基盤実装して初めて回路を作りたいと思っている人
よむとわかること
STM32の石を基盤実装して、Nucleoと同じように使えるようになるまでできます.
STMの石は色々ありますが、今回は446を使います
回路図 (F446)
解説
1.右上のコンデンサ群
こちらは「バイパスコンデンサ」になります。0.1uFくらいでいいでしょう。基盤にするときには、このコンデンサをVDD、VDDA、のピンそれぞれの近くに配置してください。
電源基盤からSTMマイコンに来る間に電源に乗ったノイズを除去するバリアの役割を果たします。
2.左上のST-LINK
左上に配置してあるのはST-LINKです。今回はV3を使っています。
ST-LINKはSTMにプログラムを書き込む装置で、
SWDIO,SWCLK,SWOの最低3ピンあれば書き込みできます。
TERATERMでシリアルを読みたいので、USART2もつないでいます。
MBEDの標準ストリームはUSART2なので1とか繋がないよう気をつけてください。
ST-LINKは、Nucleoを割ったやつでも代用できますが、おすすめしません。
理由は、「他人が書き込みしたいときピン配置が合わなかったりするから」です。
無駄な時間は減らしたいので、STDC14に合わせましょう。
STDC14はST-LINKV3のピン配置の規格で、この配置にしておけば完璧です。ST-LINKV3は秋月に売ってます。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-14361/
STDC14の実際の並びはこんな感じです
https://www.st.com/ja/development-tools/stlink-v3set.html#documentation
基盤に実装するコネクタは、これを使うと安くて方向間違えもなくぴったりです
https://www.digikey.jp/product-detail/ja/cnc-tech/3220-14-0100-00/1175-1630-ND/3883664
3. 右側R1,R2
R1,R2はそれぞれ10kΩでよいでしょう。
これはSTMの起動モードを指定する抵抗で、
BOOT0ピンをVCCにつなぐか、GNDにつなぐかを決めています
R2を取り付けると通常起動、R1を取り付けると特殊な起動をします。
普段R1は使わないですが、万が一のために場所だけ用意しましょう
詳しいことは省きますが、変なプログラムを書いてしまってSTMに接続できなくなったとき使います。
「DNP」は、場所だけ用意したよって意味です。
4. リセットボタン
NRSTピンをGNDに接続するとSTMマイコンがリセットに入ります。
Nucleoについてる黒いボタンと同じ動きです。適当にタクトスイッチとかつけましょう。並列についているコンデンサはチャタリング防止用です。
参考にしたやつがついてなかったからいいや!って思ってプルアップ抵抗入ってないですが、入れたほうがいいような気もします.
5. 下 VCAPのコンデンサ
ここが一番面倒な仕様です。
STM32というのはすごいマイコンで、万が一メインのVCCが電圧降下した場合バックアップ電源のVBATに自動で切り替わる機能、スリープモードなどいろんな電源機能があります。そのため、マイコン内部での駆動電圧は3.3Vよりも低い電圧で動いています。
ではなんで3.3V入力できているかというと、内部にレギュレータが入っているからです。このレギュレータを安定して動作させるために、
メインのパスコンと別につけなければならないのが、2.2μFのコンデンサです。
https://www.stmicroelectronics.com.cn/resource/en/datasheet/stm32f446re.pdf
この仕様については、データシート3.17.2節に解説があります。
STM32F303とかはVCAP端子ないので忘れやすいコンデンサですが、ないと不安定になるので気をつけてください。
逆にF7とかF0とかはもっと高機能な電源管理ピンがあるので気をつけてください。
STMの電源管理に興味ある人は、AN4488という日本語の電源のアプリケーションノートあるんでどうぞ
https://www.stmcu.jp/download?dlid=51505_jp
おわりに
これでとりあえずF446は動かせるはずです。
がんばって基盤を作りましょう!!!