マイケル・ロップ氏の「リーダーの作法 ささいなことをていねいに」を読み解きながら、メモを残しています。
各章ごとにまとめていますが、章の原題ではなく私にとってのまとめをタイトルにつけなおしています。
この本との出会いと、アウトプットしながら読み解く経緯はこちらの記事で。
本文で登場する「ランズ」は、ロップ氏のネット上のハンドルネームです。
「はじめに」で、自身を「ロップ」とも「ランズ」とも呼ぶと宣言しています。
第II幕 Apple:ディレクター
「リーダーの作法 ささいなことをていねいに」は、大きくは3部構成になっています。
- 第I幕 Netscape:マネージャー
- 第II幕 Apple:ディレクター
- 第III幕 Slack:エグゼクティブ
今回は 「第II幕 Apple:ディレクター」の10章~12章 について学びメモを残します。
第II幕では、あなたの視点は、最近シニアマネジメントのポジションに移ったばかりの第一線の熟練マネージャーです。これまでリーダーシップを発揮してきましたが、いよいよ一つ上のステージに上がるときが来たのです。
ロップ氏の立場の変遷に応じて、ディレクター、シニアマネージャーなどいくつかの言葉が混然としています。しかし、シニアマネージャーとディレクターの 「実際にやることになった役割は同じ」 と言及されていることから、この第II幕では要するに、マネージャーをマネジメントする立場について語られると理解するとよさそうです。
自分で手を動かすのはもう終わりです。
おおっと!!!
私の思考体力は、どこまでついていけるかなぁ…。読んでみなければ始まりませんね。
第II幕 Apple:ディレクター
10章 青テープリスト
10.1 すべてが壊れている
10.2 壊れ度合い
11章 我慢の限界まで任せる
11.1 託すこと
11.2 シー、静かに
11.3 リーダーを増やすという大切な仕事
12章 採用するには
12.1 採用活動の第一のルール:50 %の時間を使う
12.2 採用活動の基礎知識
12.3 発見・理解・歓喜
12.4 時間の50%を使う話をもう一度
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10章 鳴くまで待とう、「青テープ」で
ロップ氏は、新しい仕事を理解するためにかかるタイムラグ的な90日をうまく乗り切り、かつその緊張状態の副産物を最大限生かす方法のシンボルとして 「青テープ」 を挙げています。
何かを始めてすぐ、右も左もわからない緊張感の中、ある種の感覚が研ぎ澄まされています。
とにかく、いつもより何割増しで違和感が目につく。 そしてとてつもなく不安になる。
…あるある、ありますよね、これ。
ロップ氏は経験則から、
- その違和感に対しより妥当な対処をする目が育つのに、90日くらいはかかる。
- だから待つしかない。
と続けています。そこで、どうするか?
- 気になるところにすかさず 「青テープ」でマーキングしつつ、あえて待つ。
- いわば課題を寝かせる。
そして…、
- それが本当はどういう問題なのか?
- 機が熟し、ある程度見極める目が育ったら、ここで対処する(直すのではなく、対処)。
- ある程度わかるようになってくると、必ずしも直す必要はないと気づくこともある。
- その場合も、どうして当初違和感を感じたのかは明らかにする(それも対処の1つになる)。
その時までは、我慢する。 しかしマネージャーにとってはどうしたって不安になる…。
そこで 「青テープ」(=マーキング) の出番だ! …ということのようです。
新しいことを始めるストレス状態では、慣れた人には見えない欠陥が見えやすい。
不安まみれかもしれないが、チャンスでもある。
これは私の実感とも合う示唆ですね。
11章 ものづくりを手放し、ものづくりのチームをつくる
ロップ氏は、自分がやっていた仕事を手放し、託す難しさと意義について、実感込めて綴っています。
慣れ親しんだ仕事を他の人に完全に任せることは、その人の能力をはっきりと信頼していることの証です。それこそが、チーム内の信頼を形成するための大切な方法の一つなのです。
本文中でロップ氏がリーダーシップのキャリアパスについて紹介しています。
私の場合は、これを見ることでようやく、本書における 「マネージャー」「ディレクター」「エグゼクティブ」 が、おおよそどの段階を指しているのか分かるようになりました。
No | 経験レベル | どんなプロジェクトを | 誰に任せる | プロジェクト管理は |
---|---|---|---|---|
1 | マネージャー | 明確に定義された 小規模な |
チームの誰か | しっかりやる |
2 | シニア マネージャー |
重要な | チームの誰か | ある程度やる |
3 | ディレクター | 大規模な | チームや 特定の誰か |
それほど必要ない |
4 | シニア ディレクター |
大規模で複雑な | チームや 特定の誰か |
それほど必要ない |
5 | エグゼクティブ | 大規模で複雑な | 機能横断的な 社内外のチーム |
それほど必要ない |
ものづくりを手放す理由は、それこそがものづくりのチームをつくる方法だから。
手放すことは難しいけれど、この本質を肝に銘じ、勇気を出してみましょう。
12章 採用はチームづくり、時間の50%かける価値がある
ロップ氏は、文化を築くのも守るのも仕事をする人間であり、健全で生産性の高いエンジニアリングチームをつくる上で、採用ほど重要な活動はおそらくないだろうと述べています。
「発見」「理解」「歓喜」 の段階をたどるエンジニア採用パイプラインですが、このプロセスを通じて磨かれるリーダーシップがあるそうです。
No | 段階・プロセス | 磨かれるリーダーシップスキル |
---|---|---|
1 | 発見 | 偶然の出会いから生まれたネットワークを継続する |
2 | 理解 |
自社のストーリーをいかに伝えるか 候補者のストーリーをいかに理解できるか |
3 | 歓喜 | 候補者が思い悩みリスクを回避したくなるより前に 候補者を喜ばせる最良の方法を見極める |
仮に優秀な採用チームがいる場合でも、全て任せてしまうことは避けたい。
採用を通じて健全で生産性の高いチームをつくることには、時間をかける価値がある。
ここまでの雑感
第I幕 Netscape:マネージャーのまとめをしてから、ずいぶんタイムラグがありました…。
そして、あらためて読み進め、何度も読み返しながら、ふと思いました。
私も 「青テープ」 だけ貼って、機が熟するのを待っていたのかもしれないな、と。
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