自分が参加したアップデートミーティングについて、まとめの意味も踏まえて投稿します。
※一部自分の理解が不足しているところは、各種Webサイトをリンクとして補完しています
システム管理者の会って?
システム管理者を応援する、株式会社ユニリタ運営の会。
全日本能率連盟に登録されている、ITシステム管理者向けの認定資格「システム管理者(初級~上級)」を主軸に、2015年12月時点で約14,000名の会員が居る。
詳細はシステム管理者の会ポータルサイトを参照。
アップデートミーティング
システム管理者の合格者だけが参加できる会。
今回初参加です。(自分は2015年にシステム管理者バチェラー[中級]を取得したばかり)
**「学んだ知識をアップデートすること」**を目的に、毎回様々な内容を取り上げている。
過去のアップデートミーティングはこちら。
- 第1回 ITサービスマネジメント
- 第2回 新時代のエースに学べ。~セルフ・イノベーションを起こす力の源を探る~
- 第3回 最新データセンター見学と各社BCP対策意見交換会
- 第4回 フジテレビ様の現場が語る ITシステム運用のノウハウや取組み
- 第5回 山崎製パン様 運用事例
- 第6回 国分様 運用事例(非公開のようです)
- 第7回 「必要です!あなたの組織にサービスマネジメント」 代表取締役が語る ~ 外資系IT企業からの独立秘話 ~ ← 今回はココ
第2回のゲストは「株式会社ソニックガーデン 代表取締役社長CEO 倉貫 義人氏」だったんですね。
是非お話を聞いてみたかった・・・
必要です!あなたの組織にサービスマネジメント
アジェンダ
- ゲスト 「DIG2ソリューションズ株式会社 代表取締役 鈴木寿夫(すずきとしお)氏」の経歴紹介
- 参加者の自己紹介
- プロフェッショナルについて考える
- マネジメントについて
- 質疑応答
鈴木氏の簡単な経歴紹介
- 某世界的大手コンピュータ企業に入社後、2度の大きな買収を経験
- その企業では、現在主流となっているOSやネットワーク、DB等の基幹技術部分を担っており、当時はネットワークの技術者だった
- ずっと技術者であったが、2度目の買収の際、ひょんなことからマネジメントを行うことに
- 当時所属していた企業はITILのさきがけのようなものを実践しており、全くのゼロからITILを実践したわけではないが、初めてのことが多かった(特に、エンジニア⇒マネジメントへの意識変換が必要だったとのこと)
- その後、技術者としての作業よりマネジメントの作業が大多数を占めるようになり、だんだんとマネジメント側へ・・・
- マネジメントの魅力を感じ、2008年のリーマンショックと期を同じくして独立
参加者の自己紹介
- 今回は私を含めて6名参加
- システムエンジニアや運用、営業など、6名でも色々な職種のメンバーが集まっていた
- 各自の「アップデートミーティング参加の目的」、「各自が大切にしているもの」を発表
プロフェッショナルについて考える
辞書的定義
「ある学問的体系に基づいた高度技能を依頼人のために活用し、成果を挙げて報酬を得る、そのための倫理体系を持っている」
要約
- プロフェッショナルとは何かを参加者で議論
- 鈴木氏から上記定義の発表があり、それぞれの認識合わせを行った
- 一番大事なのは、プロは**「成果を挙げて報酬を得る」**ということ
- ITにおけるプロは、「ITという高度技能」を用いて報酬を得ている人のこと
- プロの条件として、**「時間管理」**は必須となる(成果と報酬に時間は欠かせないファクター)
## マネジメントについて
時間とお金
どちらにおいても、使い方にはパターンがある。
パターン | 効果 |
---|---|
投資 | ◎ |
消費 | △ |
浪費 | 罰 |
浪費するするのはもっとも愚かなこと。
プロの条件に時間管理が挙げられるが、時間が有効的かどうかを確認するには、**「記録」**するしかない。
時間の浪費について
- 「プロセスの欠如/欠陥」
- 繰り返される混乱
⇒ (標準的なプロセスへ)ルーチン化すべき!!
- 「会議の過剰」
- 理想的に設計された組織は、会議のない組織
⇒ DIG2ソリューションズではこれに近い形で実現している - 仕事上、成果が無ければ、温かな会話や感情も無意味である
⇒ 馴れ合いは生産的でない、ということ
- 「ナレッジの不足」
- プロセスから学んだ結果を生かす必要がある
⇒ ナレッジとして蓄積する
努力ではなく、成果に焦点を合わせる
(※努力の時間は成果にならない)
時間 ≠ 成果
時間 × 戦略 = 成果
- 戦略:目標、集中と選択
- 成果:直接的な成果(売上、利益)、価値への取り組み(定性的な部分)、成長/変革(育成)
マネジメント
- 定義できなければ測定できない
- 測定できなければコントロールできない
- コントロールできなければマネジメントできない
**「何を」マネジメントしたいのか「定義」**するところから始まる。
これがマネジメントの根幹であり、全ての事柄に共通する。
資源と能力について
マネジメントの本質は、資源を確保するのではなく、能力をコントロールすること。
例)プロジェクトがうまく回っていない
ヒトが足らないから、ヒトを投入する:×
何故回っていないのか、能力の本質を見極め、必要なアクションを起こす:◎
時間の浪費をいかに防ぎ、どういった効果を出すのかを意識すること。
品質管理について
- 品質が分かるのは、ユーザの目に触れてから分かるもの(ローンチ後、ユーザに価値を提供して初めて分かるもの)
- 品質を管理するものとして、ITILに関する説明
- ITILとは、ベストプラクティスを寄せ集めたものという位置づけであり、全てを実践しなければならない、というわけではない
- ITILのプロセスにおいて、価値を決めるのは**「サービスストラテジ(戦略)」、品質を組み込むのは「サービスデザイン」、品質をテストするのは「サービストランジション(移行)」**
- ITILでは以下図の通り、「サービスデリバリー」と「サービスサポート」に分類されている
サービスデリバリー(ユーザの目につく部分に関するもの)
- サービスレベル管理
- ITサービス財務管理
- キャパシティ管理(容量/性能)
- 可用性
- ITサービス継続性
サービスサポート(運用的な部分)
- インシデント管理
- 問題管理
- 変更管理
- リソース管理(CPU、メモリ等)
- 構成管理
システム管理とは、ITサービスのプロバイダーとして、ユーザへサービス(=品質)を提供する全てを管理することと捉えること!!
プロフェッショナルとして知っておきたい今後の動向
- GD-ロジックの世界は既存のITILの範囲である
- サービスマネジメントの未来としては、SD-ロジックの世界として、モノとサービスを分けた考えではできない
- IoTのように、第四次産業革命が起きようとしている
- サービスサイエンスという分野も研究が進んでいる
質疑応答
- 今のプロジェクトは既に本番稼動しているが、ITILプロセスを適用することはできるのか?
⇒可能。ITILでいう**「継続的サービス改善」**として、「問題や課題」となっている部分に対して何をすべきか検討しましょう。 - マネジメントするための定義はどうやって決めれば良いか?
⇒まずは基本に立ち返り、「問題や課題」を炙り出しましょう。そこから**「何を管理すべきか」**を決定すれば、おのずと定義は導き出せるはずです。 - これからITILを学ぶにはどうしたら良いか?
⇒V3のサービスストラテジ+2011 Editionがお勧めです。
所感
- サービスマネジメントというと、すごく勤勉なリーダーがするというイメージになりがちでしたが、結局は「何が問題」で、それをどう解決するか、というだけなんだと思いました。
- 現在のITサービスは非常に早いスピードで進化しているため、管理しないという選択肢は無いのではと感じました。
- 鈴木氏が仰っていた、「マネジメントにゴールはなく、自分もまだまだ勉強中。だから面白い。」という言葉が印象的でした。マネジメントっていうだけで拒否反応を示すのは違うなぁ。
- あと、当日の雰囲気は、DIG2ソリューションズ社の会議スペースで、コーヒーやお菓子を振舞っていただき、リラックスした感じで良かったです。