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プログラムと映像、音楽制作を様々な角度から比較してみた(歴史編)

Last updated at Posted at 2023-05-09

はじめに

絵や音楽は当初コンピュータとは無関係なものでした。
しかし時代が進むにつれ少しずつ関係が深まり、今やコンピュータが無ければ音楽も絵も作る事ができない場面も増えてきました。

プログラムの記事が多い中、ちょっと気になる分野として同じパソコンを使用して映像や画像を作る人や音楽を作る人が、プログラムを作るのとは違ってどんなことを考えてどんな環境で、どんな風に制作しているのかを比較しながら説明していきます。

当時の歴史だけで長分になったので歴史編とします。

簡単に自己紹介

私はプログラマであると共に、作曲したり採譜して演奏したり、画像や映像を作って印刷して配信や配布を行っています。
よく「多彩ですね」と言われますがそんなことはまったくなく単に「中途半端」なだけです。

中途半端ですがそれぞれの知識もあるため普段関わることは無いけどちょと気になるこれらの分野をプログラマと比較してみたいと思っていました。

よく 隣の芝は青い と言われますが 自分がやっているのとは別の分野は良いように見える というのもあるので実際はそうでもないというのも理解して頂ければ幸いです。

はじめるきっかけや動機

プログラマ

プログラマになろうとしたきっかけは

  • 機械にやらせれば楽できそう
  • キーボードをカタカタ叩いているのがなんかかっこよさそう
  • パソコンさえあれば良いので安く済みそう
    自分はこんな安易な気持ちで始めました
    実際はそんなことはないのですが後術する必要なものの説明で詳しく描きます

映像、画像

絵を描きたいなというきっかけは

  • 漫画を読んで自分もこんな絵が描きたいと思った
  • うまく絵が描ければ自慢できそう
  • 絵を描く環境さえ整えれば後はなんとかなりそう
    これも今思えばとんでもないことではじめていますね

音楽

音楽をやろうというきっかけは

  • バンドやってるのが格好良い
  • 好きな曲を演奏したい
  • 作曲したら儲かるんじゃね?
    いよいよ本性が現れ始めました
    ですが、どれもいざ始めようとしてそのハードルが高い事に気づかされます

必要な機材

長いこと携わってきたので当時と今でまったく環境が異なります
1980年代から2020年代と40年の開きがあるのですがそれも説明すると面白そうなので説明します。

プログラマ

1980年代

当時5万円出せばパソコンらしいものは買える時代でした。
時代はDOSやBASIC時代でパソコンを買えばとりあえず標準でBASICが付いてくるのでプログラムを組むことは出来ます。
BASIC言語学習とパソコンの内部BIOSの説明は付属の説明書で説明されていますが、それでも足りないので書籍を買いあさることになります。
結局毎月発刊されるマガジン系と書籍を20冊ぐらいでようやくやりたいことが進められる環境が整いました。
それとBASICは限界があるのでCコンパイラを買ったり、アセンブラやステップモニタを作ったりしてました。
C言語はともかくアセンブラを買うなんて今では考えられませんね。
当時はマシン語、直接CPUが実行出来るデータを16進コードで書くのは面倒なのでこれをマシン語とよばれる人様にわかりやすくするためのものがあるのですが市販品はないので自分で作ったり雑誌に付いていたものを打ち込んで作っていました。
CDやFDD、ましてやダウンロードはないので雑誌に掲載されている16進コードを打ち込んでいく作業です。
B5サイズの紙面に16進コードがびっしり記載されてあるのを20ページ打ち込むという力業が必要です。

そうやって作った自作ソフトはFDDにソフト(ソースコード)を入れて雑誌編集部に送ると投稿することができます。

2020年代

Windows時代なのですが安物であれば5万円あればとりあえずパソコンは買えそうなのが面白いところ。作ろうとしているアプリの動作環境や対象となるもので色々変わりますがコンパイラは無料のものから20万円ほどするものまで様々です。
環境さえ整ってしまえばあとは作る事が出来ます。
書籍としては初心者向けのもの、リファレンスマニュアル、それと自身が進めようとしている分野のことが詳しく説明されている書籍の3冊あれば安心です。

映像、画像

1980年代

まだ画像を扱うのも大変な時代です。
なにせパソコンにマウスすら付属していません。
パソコンが10万円ぐらいで買えるのにマウスは別売りで 12,800円のものをワゴンセールで何とか買ってきて使いました。
しかしマウスはあっても絵を描くツールがありません。かろうじてあってもマウスに対応しておらず、カーソル上下と色を選んでスペースキーで点を1ピクセル打ってました。
不便そうに思えますがどうせ16色しか使えないので十分です。
その後、ソニー製のパソコンに絵を描くツールが付属しているという情報を入手して買い換えたりしていました。
絵を描いてもプリンターはインクリボン形式のものなので白黒でしか出せないので画面の中で自己満足するしかありません。

1990年代

Windows95でようやくフルカラー表示が当たり前になったので買換です。
このころバブルなのかなんなのかやたらとパソコンが高額な時代でした。
自分が性能に満足して購入を決めたパソコンで40万ぐらいのものです。(高い理由がいろいろある)
絵を描くソフトはDOS時代に使っていたソフトがWindowsに移植されていたのでそれを購入(12,800円)
この時期にペンタブレットが一般にも出始めていたので購入(12,800円)しましたが、対応ソフトが少なくて知り合いに譲りました。
ペンタブをあきらめてどうやって描くのかというと、紙とペンで描いた物を当時安くなってきたデジカメで撮影して取り込んでそこに色を加えていくという手法です。
どうしてスキャナを買わないのか?というと昔DOS時代に購入したがDOSで取り込んでもデータ量の大きさ(メインメモリが640kのパソコンに4Mの画像データが送られてくる)で使えなかったことと、このスキャナがSCSI接続だったのでWindowsでうまく認識できなかったとか色々です。

画像制作ソフトの性能はまあまあですがレイヤーが無いUndoがない、1日中使っていたら3回ぐらいフリーズして作業が台無しになる。と文句ばかりなのに未だにこのソフトの後継アプリを使っています。

画像は256kbyteに圧縮して電話回線を利用した草の根BBSなどにアップして「自分の描いた絵を見てくれ」と出来るのですが見る側も256kbyteの画像データを見るには何分間も電話回線を接続しておかなければならないので見る人は限られています。

自分が購入したパソコンが高い理由ですが、当時の仕様を見ても書かれていないメーカー非公認と思われる機能が満載でした。(テキストを音声合成で読み上げるソフトというかAPIに対応していたり、この時代に液晶付きUSBリモコンが付いていたりと)

その中でも異質なのが アナログ映像を取り込む 機能で自分が映像編集の欠片に触れた瞬間でした。まあ数日ためして無理だというのがわかったので数年封印してます。
何が無理かってまだ映像圧縮機能が無い時代なので無圧縮でデータが送られてきてそれを記録した結果HDDが数秒で満タンになるという状況だったのです。

Windows95も映像を扱うにはまだ早かったのでDirectX関係に対応しているソフトにスクリプトで映像処理を送って映像にするなんてのをするしかありませんでした。

2020年代

久しぶりに手がけようとするとあまりの違いにカルチャーショックを受けそうですが、フリーソフトどころかクラウド上でも絵が描けてしまう時代です。

もっとちゃんとした環境を整えるのならPhotoshopとかですが買いきり版がないので値段の比較が難しいです。
ペンタブはどうなったのかというとペンタブを買うぐらいならタブレットPCを買えば良いじゃないぐらいに筆圧対応のタブレットPCが充実しています。
Androidタブレットは安価ですが、筆圧対応じゃなかったりするのでWindowsタブレットの筆圧対応のものを購入しました。(中古価格10万円)

これに半額セールの5,000円で買ったアプリを入れて描く・・・ハズだったのですが忙しすぎて保留中です。

音楽

1980年代

1980年代のパソコンによる音楽制作環境はというと MML (Music Macro Language)が主流でした。
音はPSGと呼ばれるチップから出るファミコンのような音が発音出来る程度のものでした。
C4 と入力すると Cつまり の音が 四分音符 の長さで鳴るという仕組みです。
こんなので有名な曲の入力や作曲が出来るとは思えないかも知れませんが慣れれば意外と出来る物です。
投稿こそしていませんが有名どころの曲をMMLに変換すればそこそこ良い曲で演奏されます。

もうこの頃にMML+発音文字を入力して歌詞を歌うというパソコンがあったぐらいです。
CPUを100%使うので単音しか鳴らせないという弱点もありました。

1980年代後半

外部音源としてFM音源が登場して発音数や音色が増えたころ、譜面を意識したソフトも登場しましたがあまり流行りませんでした。原因としては譜面を表示するあまり操作性が悪くなったというところでしょうか?

肝心の音源も音色が少なくて使い勝手もよくありませんでした。

コナミが販売したゲームの外部音源SCCカートリッジ用ドライバと専用プレイヤーが有志によって作られていてコンピュータを使った音がまともになったなと思った頃にはこの界隈が終わった時期でもありました。

1990年代

このころ音楽機器メーカーが標準規格として GM というの作りました、結局これがメーカー毎に拡張されて GS だったり XG になるのですがインターフェイスとして MIDI が出来た事でコンピュータと音楽が密接した関係となりました。

楽器と楽器、楽器とパソコンがMIDIインターフェイスを使えば簡単につながり、鍵盤のMIDI-OutをパソコンのMIDI-Inにつなげば演奏データが取得出来て、パソコンのMIDI-Outと音源のMIDI-Inをつなげばパソコンからデータを送れば音が鳴る画期的なものでした。

音色は音源ごとに違うのですがGM規格128音がまあ同じ音であればどの音源でも同じように鳴るというもの。
出始めの音源SC-55を買ってさあコンピュータ音楽時代が始まろうという時代でした。

しかし立ちはだかる問題がありました、それは「パソコンにMIDIインターフェイスが無い」というものです。そしてインターフェイスがあっても対応しているソフトもない。

そんな時代に自分がとった手段、それは「MIDIインターフェイスとそれを操作する機能が最初から搭載されたパソコンを買う」でした。
簡単そうな答えに見えますが結構大変です。
操作する機能があるにはあるのですがなんと操作方法は1980年代のBASIC言語からのMMLによる操作でした。
普通に出力すると色々制限があるのでBASICで多少プログラムを作らないと行けません。

こういうこともあってかこの時代は音楽をやるためにプログラムを学ぶ作曲者も増えてきました。

1990年代後半

そんな時代もWindows95の登場でようやく改善されました。

Dos/V機に ある意味 標準でMIDIインターフェイスが搭載されました。
あまり知られてはいないのですが当時から人気のあったオーディオボード サウンドブラスター にこっそり搭載されていました。
サウンドブラスターは持っていたけどそんな端子はなかった?という人も多いと思います。
それもそのはず、基板に直接インターフェイスは搭載されておらず、基板の ゲームポート にこっそりと仕込まれていました。
そのためゲームポートMIDI変換ケーブルを購入してようやく使えるようになるのです。

と説明しましたがこの頃の自分はまだDos/V機ではなくPC-9821機でした。しかもノートパソコンです。

それじゃあMIDIインターフェイスは使えないよね?と思うかも知れませんが一部のPC-9821ノートにはMIDIインターフェイス信号が出ているのです。

実はPC-9821の一部の機種はプリンターコネクタの余っている端子にMIDI信号が割り当てられているのです。
用意するもの

  • PC-9821ノート
  • プリンターゲームポート変換ケーブル
  • ゲームポートMIDI変換ケーブル
  • MIDIケーブル
  • MIDI対応音源

こんなわけのわからない方法で接続したのは自分だけかもしれません。当時としては保証外なのですがこんな接続で3年間曲を作ってました。

画像と同じく草の根BBSにアップロードしてダウンローすれば他の人も聞くことが出来ましたが、聞く人も音源を持っていることが条件になります。
この方式の強みはデータ量の少なさです。1曲5分の曲でしたら72kbyteで演奏が可能でした。

2020年代

久々に再開するとまったく世界が変わっていました。まずは「MIDIによる外部音源は主流では無く DAW と呼ばれる音そのものを組み合わせて曲を作るのが主流」というところ。
当時としては多少なりWaveファイルを再生しながらというのはあったのですがパソコンの性能上の都合で簡単な物しか出来ませんでした。
しかし性能が向上した結果、データではなく音そのものを扱って曲を作るようになったようです。

では簡単かつ安く作ることが出来るのでは?と思うのですがそうはいきません。キーワードは ASIO です。自分も再開して初めて聞いた単語で困惑していました。要するに絵を動かしたりするにはCPUではなくGPUを使えばCPUに負担がかからなくていいね、っていうのの音バージョン。ASIOがあればCPUに負担なく音が再生出来ていいね、となります。

ではASIOを入手するにはどうすれば良いのか?というと 外部音源(オーディオインターフェイス) を購入することになります。せっかく音源から離れたのにまた音源を買わないといけないというジレンマがあります。この音源が何をしてくれるのかというとパソコンからUSBを通じて簡単な命令だけでCPUの負担が無く音を再生してくれるのです。

というわけで購入しました。19,800円
でも実際これが必要かどうかというと使用するソフトによるところが大きいです。結局のところ自分はASIO対応オーディオインターフェイスを必要としない仮想ASIOドライバを使用しているので不要でした。
ですが、パソコンと音源は離れておいた方がノイズが少ないし、無いよりあった方がCPUの負担も減るし買って損はないでしょう。

個人的な年表

プログラム関係

1980年代:BASICとアセンブラでなんとか組む
1990年代:C言語で組む
2000年代:VisualBasic 、Delphi、PHP、Javascriptで組む
2020年代:スマホアプリをKotlinで組む

画像・映像関係

1980年代:マウスを購入、自作、他作ソフトで16色の絵を描く
1990年代:Windows用ソフトで65535色で描く、ペンタブは挫折
2000年代:アニメーションはスクリプトによる独自なものに
2020年代:筆圧対応タブレットで簡単に作画が可能に

音楽

1980年代:PSGと呼ばれるピコピコ音で演奏
1990年代:FM音源などの登場で表現は広がるが入力環境は貧素
2000年代:MIDI関係の機器が増えWindows用のソフトが充実してきた
2020年代:ASIOドライバで様々な音を自由に使えるようになる

パソコンとのつながり ※個人的な見解

画像・映像関係

1980年代:専用モニタかTVの表示にとどまり一般的には認知されず
1990年代:CGや3DCGと呼ばれる分野が認知される
2000年代:ペンタブレットが登場してイラストレータがパソコンを使い始める
2020年代:パソコンがないとイラストが描けないかもしれなくなる

音楽

1980年代:音楽機器メーカーが独自に作っていた以外は認知されず
1990年代:MIDIインターフェイスとGM規格でパソコンとの親和性が深まる
2000年代:MIDI関係の作曲ソフトの充実で作曲家がパソコンを使い始める
2020年代:ASIOドライバを使用したDAWソフトを使って作曲するのが当たり前になる

さいごに

今となってはパソコンが無いと出来ないクリエイティブ作業ですが、もともとは画像分野は画像分野、音楽分野は音楽分野と完全にわかれていました。

プログラムを書く人がパソコンを所持し
絵を描く人はペン、トーン、ライトボックス
音楽を作る人は楽器、譜面

これがパソコンの性能向上やインターフェイスの登場で

絵を描く人は下絵を描いた後、スキャナで取り込んでコンピュータで描いていく
音楽を作る人は鍵盤からパソコンに入力してコンピュータで作曲していく

これが最終的には

絵を描く人はペンタブやタブレットで下絵からコンピュータで描いていく
音楽を作る人はパソコンだけで作曲していく

というスタイルにまで変化してきています

最初全く別の分野のように思われてきた要素も最終的にはパソコン上でやることになるのは面白いことですね。
そのおかげでプログラムを始めるのも絵を描くのも音楽を作るのもまずはパソコンが必要になりますし、1台あれば三様に使えるのでなんかお得感があるように思えますが、それは後半に苦労話として紹介したいと思います。

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