はじめに
就活をしている方は企業を調べる時,よく上場という言葉を目にすることがあると思いますが,ほとんどの方は上場についてよく知らないと思います.私自身もこの記事を書くまでは「上場している企業は業績が良い企業」というイメージくらいしかありませんでした.この記事では上場について解説します.上場について理解するとともに,企業への理解もさらに深めていただきたいです.
上場とは
上場とは,企業が発行する株式を証券取引所で売買できるように,証券取引所が資格を与えることで,上場企業はこの資格を得た企業を指します.
株式とは
株式がわからない方は,株式会社の仕組みから理解する必要があります.この記事では深く解説しませんが,簡潔にまとめると以下のようになります.
・株式とは出資してくれた人に発行する証券
・株式会社とは株式を通して資金を集めて経営を行う会社
証券取引所とは
日本には東京・名古屋・福岡・札幌の4つの証券取引所があります.中でも東京証券取引所(通称:東証)が日本で最も大きな証券取引所となっています.東証の株式市場はプライム市場
・スタンダード市場
・グロース市場
の3つの区分があります.日本取引所グループによると,それぞれの区分についてのコンセプトは以下のようになっています.
プライム市場
多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
スタンダード市場
公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
グロース市場
高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場
このコンセプトに従って,具体的な基準が設けられています.区分を簡単にまとめると以下のようになります.
プライム | スタンダード | グロース | |
---|---|---|---|
概要 | 国内外の投資家から高い評価を受ける企業 | 十分な流動性が維持されている企業 | 高い成長性を有するベンチャー企業 |
規模 | 大 | 中 | 小 |
数 | 1,644 | 1,604 | 589 |
上場の凄さ
上場はどの企業でもできるわけではありません.証券取引所による厳格な審査をパスした企業だけが上場できます.日本における上場企業の数は,3950社で,日本にある株式会社のうちの0.2%程です.また,プライム市場には1644社,スタンダード市場には1604社,グロース市場には589社の会社が上場しています.このデータから,上場がどれだけすごいことかおわかりいただけたと思います.
上場によるメリット
1. 資金調達が容易になる
上場すると,証券会社を通して全世界の投資家たちが株式を購入できるようになります.
2. 社会的信用を得られる
上場すると,知名度が上がるため,信用を得やすくなります.その結果,上場企業には多くの就活生が集まります.
3. 会社の価値を把握しやすい
上場すると,株価を参考にして会社の価値を把握することができます.
上場によるデメリット
1. 社会的責任を伴う
上場企業は多くの人の注目を集めるため,何か問題を起こせばただ事では済みません.また,投資家に向けて様々な企業情報を一般に公開しなければなりません.会社規模が大きくなり,経営の自由度が低くなりやすいです.
3. 株式を買い占められる可能性がある
株式会社では,より多くの株式を保有する人に経営権があります.株式を小数の人に買い占められてしまうと,会社を支配されてしまうこともあります.
3. コストがかかる
上場するには,多くの手続きが必要であり,多額の費用がかかります.また,上場後も毎年証券会社に費用を支払う必要があります.
おわりに
上場について少しでも理解していただけましたら幸いです.気になっている企業が上場しているか,していたらどこの市場に上場しているのかを調べてみると企業の理解も深まると思います.また,上場企業のホームページには株主向けに作成したIR資料が掲載されています.このIR資料にはその企業に関することがわかりやすくまとまっているので必見です.
就活大変ですが頑張りましょう!!
参考文献
記事内のデータ及び文献は2024/07/26に閲覧したものを参考にしております.