はじめに
この記事は、Active Book Dialog(ABD)という読書手法を実際にやってみて、その進め方やカイゼンをふりかえったものです。
ABDの実施結果については特に述べませんのでご注意ください。
Active Book Dialog(ABD)とは
「未来型読書手法」というように謳われています。
1冊の本を複数人で分担して読み、その本のサマリを短時間で高密度に知ることができる手法です。
詳細は公式ページをご参照ください。
今回の会の概要
- 部内育成の一環として
- 参加者は若手層9名が主体。育成担当の管理者層2名、今回のテーマの有識者2名を含む計13名
- 2時間で実施
- 対象は社内の「API設計ガイドライン(約130ページ)」
進め方
私自身、ABDに参加するのもファシリテートするのも初めてです。
今回の参加者のうち2名は、事前に何度かABDを経験していたので、フォローをしてもらいつつ進めました。
今回はマニュアルに出来るだけ沿って進めてみて、すでに経験している2名の進め方との差分をとる、という目的もあります。
事前準備
以下の道具を準備します。
- B5用紙 6枚 * 人数分
- 今回は100枚程度用意
- A4用紙しか会社になかったので、B5サイズに裁断
- ペン(Pentel SignPen 黒)* 人数分
- セロハンテープ
- ガムテープ
- ABDマニュアル
- ABD対象の印刷物 * 2部
- ハサミ
チェックイン (20分)
何のために集まってもらったのか、今日は何をするのか、ABDの進め方を説明します。
ここで、13名のメンバーそれぞれに各10p程度の分量でABD対象を渡します。
コ・サマライズ(30分)
それぞれに分配されたABD対象を、B5サイズの紙6枚にまとめます。
まとめ方は以下のとおり。
- B5サイズ6枚まで
- 1枚の紙につき、6行まで
- 1行あたり10文字程度。大きく書く
書き終わったら、左から順番に並べます。
休憩(10分)
リレープレゼン(40分)
1人につき2分で発表していきます。
1分ごとに発表者に告知し、2分になるようにまとめてもらいます。
今回、多少伸びた人もいましたが、全体で見ると大きな延長もなく進めることができました。
そのあとは全員でコ・サマライズ結果を眺め、不明点があればレ点をつけてもらいます。(失敗1:後述)
ダイアログ(20分)
レ点がついているところに関してダイアログをして深めていきます。
前半に疑問がある人、後半に疑問がある人でグループ分けをしようと思ったのですが、前半に希望者が集中したため、13人でダイアログをすることにしました。(失敗2:後述)
レ点のある場所について疑問と「こうじゃないか?」といった対話を続け、不明点を3つほど解消して終了です。
改善点とわかったこと
失敗1について
そもそも黒ペンしか用意していなかったので、どれがレ点なのか非常に見づらい。ペンはProckeyのような複数色のものを数セット用意しておくべきでした。
失敗2について
今回、ダイアログを1グループにしてしまいましたが、1グループ13人だと発言しない人が出てきます。発言・対話を繰り返すことで本への理解を深めていく効果もあると思われますので、同じ議題だとしても、強制的に4-5名のグループに分けてダイアログすべきでしょう。
わかったこと
「レ点をつけてあとでダイアログする」という流れには、やってみた結果、レ点である必要性を感じませんでした。何か意図があっての行為かと思っていたのですが、これは付箋等でコメントを残したほうがダイアログにもうまくつなげられそうです。
コ・サマライズに関して、A4サイズの紙でやるか、B5サイズの紙でやるかの効果の違いは感じることができました。A4だと書きすぎてしまう人が出てくる。また、B5は「大きく文字を書いて、余白がストレスにならない」適度な大きさです。コ・サマライズ結果を並べるときにも、場所をあまりとらずにすみます。これは人数やテーマによらず、B5サイズの紙を用意したほうが今後もよいと感じました。
また、今回コ・サマライズをする際に、「ハサミでABD対象から切り取って貼り付けても可」という行為を許容しましたが、これはアンチパターンでした。リレープレゼンしているときに見ても細かすぎて見えませんし、全体を俯瞰しているときにも頭に入ってきません。表や図が多い本だとしても、その表や図を自分なりにサマリして書き写してもらったほうがよいでしょう。
今後のABD実施
今回、意図的に守破離の「守」を意識し、なぜこういう構成になっているのかを考察しながら行っていきました。その結果、手法の意図や狙いが理解できたように思います。自分たちなりの手法を生み出すことをABDでも推奨していますので、今回の実施結果をベースに、いろんなやり方を少しずつ取り入れてみて、自分たちなりの最高のABDを作れるようにしていきたいと思います。