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Agile Japan 2020 参加レポート「基調講演:New Normalの観点から可視化されるDX推進の課題と経済産業省の政策展開 -- 「2025年の崖」問題に対してアジャイルへ期待するDXの本質 --」

Last updated at Posted at 2020-11-17

Agile Japan 2020

この記事は、2020/11/17-18に開催されたAgile Japan 2020のレポートです。
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基調講演:New Normalの観点から可視化されるDX推進の課題と経済産業省の政策展開 -- 「2025年の崖」問題に対してアジャイルへ期待するDXの本質 --

経済産業省 商務情報政策局情報経済課・アーキテクチャ戦略企画室長 和泉憲明氏

アジェンダ

  1. DXレポートの策定とデジタルに関する政策的意図
    実感のない環境変化:クラウド化の加速

  2. 新型コロナウイルスと不幸な脅威と表出した本質
    アジャイルが本質。従来のアジャイルではなく、コロナ下を経験したからのアジャイル

  3. DX推進政策は第2幕へNew Normalに向けた政策展開

1. DXレポートの策定とデジタルに関する政策的意図

日本ITの平均成長率について

日本のデータセンター業が平均成長8.1%。ただ、サーバー市場規模が縮小。
データセンター業が伸びれば、そこに納入するサーバーは増えるはず…なのに増えていない。
分析してみると

  • ①ユーザーはクラウドホスティングサービスを求めている
  • ②AmazonやGoogleはサーバを自作している
  • ③海外目がクラウドベンダーへの国内進出の数値は含まれていない

それでも落ち込んでいるのはなぜ??

2019年は、メインフレームの売上が30%増。これはおかしい。
クラウド・IoT・AIの活況化や、受託型から提案型へのシフトがあるものの…
海外クラウドベンダーの使いにくい部分を使いやすくするような事業が増えてきている。
既存のビジネスがメインフレームみたいな話になってしまっている。

Alibabaは1日で4.16兆円売り上げを上げるようになってきた。
中国ではEコマースが活況になってきていて、Alibaba一強の時代ではなくなってきている。

中国ではオンラインが当たり前の世界になってきている。
AliPayはインドに食い込んでいる。インドは中国製アプリの利用を禁止したものの、AliPayだけは禁止できなかった(すでに5.7億口座があったため)

中国は平均年齢28歳、平均成長率は15%。
米国は平均成長率6%。
日本は平均成長率1%。大丈夫か日本?

こういう現状を踏まえ、DXレポートを書いた。

DXというコトバ

DXというコトバの意味解釈をするときに、用語定義をしてもDX全体を理解することができない。

DX推進の具体例:パリの地下鉄

自動運転になっている。観光地として、自動運転で車両と運転士がデカップリングされているので、オペレーターの権限で増便できる。
混雑を一瞬で解消できる。観光地としてのモビリティインフラとしての価値がある。
これが、DX。
自動運転というテクノロジーに目が行くけれど、どういう効果があるかが大事。
自動運転自体は20年前から行われていた。
ソーシャルなところに効果が出るのがDXではないか。

政府としての定義は、以下のようなもの

  • 環境変化が激しい中で、データとデジタル技術を活用する
  • ゴールは競争上の優位性を確立する
  • 変えられるものはなんでもカエルが、顧客や社会のニーズをベースにする

なぜ「DT」ではなく「DX」なのか

Transformation = Trans + formation
Trans = ひっくり返るほどの変化。それは「X」が使われる。
完全な変化を意味することがポイントである。

DXレポートで紹介した事例

事例:宮崎大学医学部
ナースが携行をスマホネイティブで実装
ナースのミスがなくなる。今まではナースが電子カルテに入力していたが、ナースの入力業務がかざすだけ、撮るだけになる。
ナースの離職率が3割まで減った。働き方改革になった。サービスレベルの向上にもなった。
紙カルテを電子化するのではなく、プロセスを再設計した。

電子化するだけであればDigitization(単なる電子化)。
ナースの働き方改革はDigitalization(個別業務のデジタル化)。
医師全体に配賦し、ナースとの連携も改革。これがDigital Transformation(組織横断/全体の変革)。

IT市場の限界、デジタルに込めた政策意図として

今までは言われたものをデータ化していた。それではDXではない。
経営が使いこなすのが大事。
経営がどの指標を使うのか、どこに着目するのかが重要。
次の打ち手を重ねていく。現場のITではなく、経営レベルのITをデジタルとしている。

2. 新型コロナウイルスと不幸な脅威と表出した本質

緊急事態宣言のあとに、経営(トップ)が意思を示したらワークスタイリングが大幅に進んでいった。
トップが気合を入れて話すと、数値に如実に影響が出る。

コロナ前は、2025年の崖としては「2年で計画、5年で実施」を想定していた。
3-4月にゲームソフト市場が急増。時間に余裕ができたので、ゲームをすることができるようになってきた。
ゲームがIT市場を下支えしているが、ゲーム以外はマイナス成長になっている。
そのため、今すぐアクションンしないといけない状況になってきている。

まずは現状分析し、廃棄による既存システムをスリム化し、空いたお金で投資する。
それが出来るのが頼られるCIO

コロナ渦で表出した課題

大規模なソフトウェア開発を委託・受託することが、従来の契約形態だと困難。(オレゴン大学の実験)
DXの本質を考えると、必然的にアジャイルに期待することになる。

カーシェア:年間急成長しているが、毎年の利用者の約半数が走行距離0での返却。
どうしてそういうことが起こっているのか?手元のデータでは説明できない。
アンケートを取ったら、意外な使われ方をされていたことが分かった。
家の鍵がないときに緊急退避したり、コインロッカー代わりにしたり、防音室代わりにしたり。
ニーズがあるところにすぐに出す、アジャイルがよいのではないか。

3. DX推進政策は第2幕へNew Normalに向けた政策展開

DXについて5%の企業が上を目指しているだけで、95%はメタボの状態。
水面下にはDXには全く興味のない企業が多い。
色んな政策を売っていきつつ、崖に落ちたシステム

アーキテクチャが重要になってきた。
デジタルの進歩が速すぎて倫理が追い付かない状態。

これまでの政府のやり方

  • 農薬の販売:売る人はたくさん売ったほうがいい。ただ、使う人は大量にまいてしまうかもしれない。それに対して、政策として必要以上の薬品販売を規制する。
  • これだと7年くらいかかる。遅すぎる。

これからの政府のやり方

  • 農薬を売るのではなく、機能を売ってもらう
  • サービスとして、害虫駆除などを賄ってくれる。
  • そうすると、少ない農薬でいかに効率的に撒くか、という話になる。
  • 政策としても、施策は必要なくなる。

New Normalの世界では

経営トップのビジョン(アーキテクチャ)が鍵
経営トップが目標を出して、そこに向かっていくことがとても大事。
社員一丸となってそこに向かっていただきたい。

読んでほしい本

小さなチーム 大きな仕事

  • 失敗した人が次に成功する確率は、初めて挑戦する人と同じ
  • 成功した人が次も成功する確率は、失敗した人よりも高い

感想

  • 物凄い情報量だった。政府が本気でDXのことを考えているんだ、ということが伝わってきた。
  • ITの成長率が著しく悪い、ということに少しショック。
  • 経営レベルから変わろうとしたときのインパクトの大きさは、コロナ渦でのワークスタイリングの変化で自身も感じている。そうした変革を担ったり、後押しをする存在にならないといけないんだな、と実感しました。
  • アウトラインが分かったので、もう一度ビデオでじっくり見てみたいと思います。
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