はじめに
「いいふりかえりとは何か?」ということを題材に、2人で語り合ってきました。
星 永亮@ユアマイスターCTO(@inase17000)さんの一声に乗っかったことから、実現。
世の悩めるエンジニアやEMの方と、「いいふりかえり」ってなんだろうと、ゆっくりチビチビ語り合いたい。
— 星 永亮@ユアマイスターCTO (@inase17000) 2019年2月8日
「正しいふりかえり」ではなく、「いいふりかえり」
対談者プロフィール
- 星永亮(@inase17000)
- ユアマイスターのCTO
- ふりかえりはチームで実践している
- 森一樹(@viva_tweet_x)
- チームファシリテーター
- ふりかえりをもっと広めたい人
対談内容
いいふりかえりとは?
(星)ふりかえりをしたらいいことがあるよと思えること。
(星)学びがあったなぁ、と思えるようなふりかえり。
(星)マイナスも伝えられるようなふりかえり。
ふりかえりでネガティブ/自己肯定感が低い人にどうアプローチするか
(星)KPTをやっていても、どうしてもネガティブな方向へ行ってしまっていた。
原因は自己肯定感が低いからだと考えている。
私はもっとチームのいいところに着目したいが、問題が出てきてしまう。
そうした中で、Fun/Done/Learnをやってみた。
「学びはありませんでした」と言われLearnが出ないなど、1回目はうまくかなかった。つらいふりかえりだった。
そこで、チームみんなでふりかえりをカイゼンし、「Learnにふりきろう!」ということをやってみた。
その結果、Learnが出たものの、Funが出ない。
次は、「Funにふりきろう!」とやってみる。
そんなカイゼンの繰り返しをして、徐々に変わってきているのを感じる。
個人の成長が視点になってしまっているのをどうしたらいいか?
(森)個人の成長がふりかえりの中で考えられるのは悪いことではない。
個人の成長が「目的」なのか「手段」なのか、という違いがある。
チームは大きなゴール・ミッション・ビジョンを持っていたほうがよい。
そのゴールに向かって、日々・毎週のふりかえりで「こういう風になりたい」「こう成長したい」というアクションが出てくる。
そのとき、個人の成長はあくまで「手段」になるはず。
「チームの全体の力を挙げるために、だれか1人のスキルを上げるために全員でいっぱいインプットしてみる」といった具合。
目的として「個人の成長」になってしまうと、個人の思惑を持ってバラバラのことをしはじめてしまい、部分最適になりやすくなると思う。
性善説でチームをみたい
(星)いいことがあった、という観点でふりかえりをやってほしいと考えている。前のめりに参加してほしい。
(森)議論ではなく対話が大事、と普段伝えている。
対話は全員が参加して、アイデアを全員で作り上げていく。
そうした意識を持つため「自分ごと」のふりかえりにするためにDPAをやったり、前向きになるためにGood & Newをやったり。
場作りで、ふりかえりを作ることを意識している。
なかなか意見が出ない人にどうアプローチするか
(森)意見が出ないのは人の性格ではなく、環境が問題である場合もある。
その環境は、周りの人たちが作り上げたもの。
自分たちの行動を変えてみたり、ふりかえりをする(物理的な)環境を変えてみたり、いろいろアプローチしてみる。
また、人の思考タイプによっても意見の出やすさが違う。
コーチングの4タイプ(Controller, Promoter, Analyzer, Supporter)で分類すると、Analyzerの人は、頭の中で考え抜いて1つの結論を意見として言う傾向が強い。
逆に、Promoterの人は思ったことはどんどん吐き出す。
お互いのタイプの違いがあるということを理解したうえでワークをすると「急かさない」「ちょっと待ってみよう」という、互いを尊重した行動ができるようになる。
感動したふりかえりは?
(森)チームのふりかえりで、「流行語大賞を作ろう!」というアクションが自発的に出てきて、そして定期的に行われていった瞬間。
チームがチーム自身でチームの関係性を高める活動を行い始めて、自走を感じた瞬間だった。
あとは、プロジェクトのふりかえりの事例。
あるチームでは、3ヶ月毎週ふりかえりをして、自分たちのゴールがどんどん明確になっていったり、ふりかえりのアクションも具体的になっていった。
そんなチームで私がいる最終日に、「今後1年、10年の目標を立てる」ということをふりかえり/むきなおりとしてやったとき、
自分たちの力で、すばらしいゴールを立てていき、やる気に満ち溢れているのを見たとき、感動した。
また、別の事例で、新人の4ヶ月の研修のふりかえり。
新人が毎週ふりかえりをしていきながら、ふりかえりのやり方だけでなくコミュニケーションのとりかたもどんどんうまくなっていった。
そうして、研修最後のふりかえりで、自分たちの成長を確かめ、現場に行くためのアクションを立てていくのを見ていたとき、
「これだけ変わってくれた、成長してくれた」というのがふりかえりの中で見られて感動した。
マイナスを伝えられるようになるためには
(星)マイナスな出来事も、互いにフィードバックできる環境を作りたい。
(森)プラスを言える、マイナスを言える、プラスを受け止められる、マイナスを受け止められる、の4軸で考える。
チームが成長していく段階は、きっとプラスを言える→プラスを受け止められる→マイナスを受け止められる→マイナスを言える、の順番なのではないか。
3段階目に入っていると、マイナスを受け止めるときに、マイナスをプラスに変換して受け止めることもできるようになっているかもしれない。
失敗を祝う、学びを祝う、という考え方がチームにあると、互いにいいフィードバックをし合える仲になっていくかもしれない。
ふりかえりの中にどう入っていくか
(星)一緒にふりかえりの輪の中に入って、自分もどんどん意見を言いたいタイプ。
(森)一歩引いて、ほかの人たちの意見を最大化する(outcomeに倍率をかける)タイプ。
正解や間違いはない。ジャンルが違う、というだけ。
ふりかえりの意義について
(星)「もっとがんばれる」という応援や、「このままでもいいんだ」という安心感を与えたい
うれしい、楽しい、と感じるようなふりかえりにしたい。
ふりかえりのバランスについて
(森)3回はよいことをメインで考えて、1回は問題点に着目して、というようにバランスをとりながら進めていくことが多い。
個人の成長、という観点もあってもいいかもしれない。
3回はチームに着目して、1回は個人に着目する、とか。
子供とのふりかえりについて
(星)子供ともふりかえりはできるか?
(森)経験学習サイクルを回しながら、「ふりかえり」と言わなくてもふりかえりは出来ると思う。
「今日はどんなことやったの?」(経験)
「バスケットボールやったんだ。シュートうまくはいった?」(内省)
「すごいじゃない!どうやったらうまくできたのかな。ちょっと見せてみて!」(抽象化)
「かっこいい!もっとシュートをうまく入れられるようにするためにはどうすればいいかな?」(実践)
といった具合に。子供の成長を促すために、ふりかえりの考え方はきっと役に立つはず。
おわりに
プライベートな内容も含め(ここには載せていませんが)すごく濃い話をできたなと思います。
場を作っていただいた星さんに感謝です。