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(書評)セイチョウ・ジャーニー "どうしていいかわからない"は、もう終わりだ

Last updated at Posted at 2019-01-30

はじめに

この記事は、技術書典5にてサークルGrowthfactionより発行された「セイチョウ・ジャーニー "どうしていいかわからない"は、もう終わりだ 」の書評です。

この記事では学びの抽出と、エンジニアとして活かせるものを私なりにピックアップしていきます。

セイチョウ・ジャーニー関連のつぶやきのまとめは以下にありました。こちらも参考になります。
書籍「セイチョウ・ジャーニー」まとめ #セイチョウジャーニー #技術書典

セイチョウ・ジャーニーとは

てぃーびーさん、HUmeharaさん、VTRyoさん、KANEさん、ゆのんさんによる、自分たちの成長の物語と、他27名による成長に関する考え方をまとめている技術書です。
タイトルはカイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで よりいただいているようです。
各々の成長に関する考え方が述べられており、どこかしら刺さるものがあります。人によって成長へのイメージはまちまちですが、違っているからこそ、いろんな観点からの意見が吸収できます。

特に心に残ったもの

てぃーびーさんの「ハイスコアボーイ」。成長のフローが、私のここ数年の成長の流れと同じだったので共感を覚えました。私の道のりがうまく言語化されており、「あぁ、こういうことだったのね」という腑に落ちた感覚。
書籍では以下のようにまとめられています。

ポジティブ・フィードバックで動機が育ち、
人のつながりでさらに動機を増やしつつ、上達の可能性を広げ、
自己目的的な活動に夢中になり、
振り返りを行い、上達していきました。

これを、私なりの視点で語ってみようと思います。

ポジティブフィードバックをしつづける

ある特定の物事(仕事でもいいし、趣味でもいい)に打ち込むことで、新しい気づきや学び(フィードバック)を自分自身や他人から得続ける、という状態です。「楽しい」という気持ちがあればあるほど、フィードバックを自分から得やすい状態になると思います。
自分で自分へのフィードバックをする、というのは意識的にやらないと難しいものです。ポジティブフィードバックを自分自身にするのは特に難しい。人間の持つ「自己防衛本能」がジャマをして、ネガティブなフィードバックばかりが浮かんでしまい、いいところはなかなか見つかりません。
この状態への対応の手立てとして、私は「自己承認を繰り返すこと」と表現しています。自分のいいところや、少しの変化を気づく訓練をし続けることで、自分のメンタル状態をよい方向へ持っていくことができます。また、「他己承認」による相手へのポジティブフィードバックが容易になり、チームビルディングに大いに役立てることができます。

ただ、こういった訓練をせずとも、「楽しい」というものに打ち込み続けることで、自然と自他へのポジティブフィードバックをしやすい・得やすい状況に持っていくことが出来るということがこの本から受け取ることができました。

手段が目的化するくらいトコトンやっている人は、とても楽しそうにしていますし、その分野でドンドン前に進んでいきます。
仕事の中に「楽しい」と思えるものがない人もいるかもしれません。それでも、自分が「楽しい」ことをしているときの心理状態や、自分へのフィードバックの仕方を思い返すと、仕事の中でも同様の効果を再現しやすくなるのでは、というふうに感じました。

人とのつながりにより可能性を広げる

Hideさんの章や、VTRyoさんの章でもつながりに関しての話が述べられています。
エンジニアに限らず、仕事をしていると、仕事だけのつながりで完結しがちです。1歩でも踏み出して声をかけてみるだけで、人のつながりは容易に広がっていくのですが、その1歩が、経験のない人にはとてつもなく「怖い」ものだったりします。また、そもそも仕事だけのつながりに閉じこもっているということに気づかなかったりします。

セイチョウ・ジャーニーで述べられているように、勉強会に参加してみたり、Twitterで面白そうな人をフォローしてみる、というだけでも勝手に輪は広がっていきます。自分と似たようなことをやっていたり、もっと先を行っていたり、逆方向に行こうとしている人など、多種多様な人たちと、望むだけつながることができます。発信をしている人たちは、相手から声をかけてくれる、というのを嬉しく感じる人たちが多いので、ちょっと勇気をもってSNSで声をかけてみるだけでも、膨大な情報量が勝手に流れ込んできます。
その情報を元に、自分の考えを再構築し、ぶつけてみる。そういうフィードバックループをまわすことで、自分自身をどんどん先へと進めていくことができると、私も信じています。

自己目的的な活動をする

先ほどの「手段が目的化」する状態であり、結果そのものを追い求めるだけでなく、その結果を出すためのプロセスすら楽しみ、刺激とする考え方だと理解しました。自分が楽しいと思えるもの(プログラミングでもいいですし、心理学など特定の分野の勉強でもいいでしょう)について、学ぶこと自体や、自身や他者からのフィードバックを得ながら前に進んでいく過程そのものも楽しむ。勝手にモチベーションが上がっていきます。

チームビルディングや新人の教育をした経験から思うのは、「このフェーズに移行していくのがハードルが高い」ということです。「仕事は苦しくつらいもの」というバイアスにかかっている人たちが(周りにはなぜか)多く、そもそも楽しんではいけない、というような考え方をどう壊していくかが、育成者側から見た鍵となります。自分自身がそういった価値観に陥ってしまっている場合は、人とのつながりにより、自分の知らない「多様性」を経験することで、固定概念を壊すことが可能になるのではないでしょうか。

ふりかえりを行う

ふりかえりは、私にとってはライフワークであり、仕事の一部であり、自分の強みであり、自分の価値観のひとつであり、好きなことのひとつです。
私は、ふりかえりによってポジティブフィードバックを得、それを発信することで新たなつながりを得、ふりかえり自体が自己目的的な活動となりました。
そう考えると、私の成長の起点はふりかえりですね。

成長の始まりは「"ふりかえり"からはじまる"わたし"のカイゼン・ジャーニー」でお話したのですが、旅路の起点は人それぞれ、ということも改めて理解できました。

私にとってのセイチョウ・ジャーニー

最後に、私にとっての成長の考え方を書いておこうと思います。

成長とは?

成功や失敗、すべての事象からもたらされる変化を自覚すること。変化があったことを自覚したとき、はじめて「成長」できる。変化を自覚する頻度を短くすればするほど、日々の仕事の中で成長の連続であるということが分かり、モチベーションがどんどん向上していく。

成長にとって重要だと考えるものは?

自分や他人のどんな小さな変化も見逃さない、気づくための感覚を磨くこと。よかったこと、悪かったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと。どんなことでも自分の中で反芻し、次へと活かす「ふりかえり」のサイクルを細かくまわすこと。
そして、変化・成長があったことを前向きにとらえ、次の変化・成長のための一石を投じつづけること。

充実とは?

自分にとって「楽しい」「嬉しい」ことが、他者にとっての「楽しい」「嬉しい」につながったと感じる瞬間のこと。双方がwin-winな関係を作り上げるためのプロセスすら、楽しく前向きに進んでいくことで充実を感じる。そうして1つの物語が完成した瞬間、達成感とともに、成長と充実を大きく感じる。

充実にとって重要だと考えるものは?

自分を開示しつづけること。自分はこういう人間である、自分はこういうことができる、こういうことがしたい、こういう貢献がしたい。そうして開示しつづけてフィードバックをもらい、自他共に認めた状態へと、自ら持っていくこと。ジョハリの窓の「未知の窓」を広げ続け、成長しつづけモチベーションを高く保ち続ける。そして、win-winな関係を作り上げることでエンゲージメントを高く保ち続ける。自分の目指す世界と、仕事の中で目指す世界が一致したとき、常に充実を感じ続けることができると考えている。

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