LoginSignup
1
0

More than 3 years have passed since last update.

#Agile 459 10周年 参加レポート「基調講演 内から外へ、変化はあなたから始まる」

Last updated at Posted at 2020-11-21

祝 Agile 459 10周年 四国のいきいきとしたアジャイルの祭典!

この記事は、2020/11/21に開催された祝 Agile 459 10周年 四国のいきいきとしたアジャイルの祭典!のレポートです。
image.png

内から外へ、変化はあなたから始まる

セッションの概要はこちら

倉貫義人さん
株式会社ソニックガーデン 代表取締役
株式会社クラシコム 社外取締役

内から外へ

哲学的で抽象的で好きなテーマ。
基調講演は役に立つ話をしなくてもいい(とよく言われている)。
人生で経験してきたことを30分話して、そこから懸田さんと掛け合いで話せればと思っている。

はじまり

プログラミングを小さなころからやっていた。
それを仕事にしたくてSIerに入った。
SIerの中でのプログラマは非常に立場が弱くて、設計書通りにそのまま作るような仕事だった。
ずっとやってきたプログラミングと、現場のプログラミングが全然違うと思った。
大好きなプログラミングの仕事が大好きじゃなくなってしまうし、それをなんとかしたかった。
どうしたら現場やシステム開発を変えられるのだろうか、と悩んでいて、XPに出会った。
その時、血気盛んな平鍋 健児さんに出会った。
XPを広めていけば、自分のやりたい仕事や場所が出来るのではないか、と思い、コミュニティの活動をずっとしてきた。

外でコミュニティ活動をすればするほど、社内でやっていること(一般的な受託開発)とやりたいこと(アジャイル開発)がずれていく。
プロジェクトマネジメントや自分で案件を取ったりもしてみたけど、新規事業を立ち上げる方向へ。
自分で会社を作るという方向へ。
社内ベンチャーをうまくできたので、自分の会社として買い取る形で、今のソニックガーデンが出来た。

今は社員が50名ほどだが、昔は5名から始まった。
やっていることは自社サービスだが、受託開発をやっている会社。
変わった受託開発をやっていて「納品のない受託開発」をしている。

いろんなものをなくす

納品のない受託開発

見積・要件定義なし
ドキュメントなし
プロジェクトなし
契約時間なし

通勤のない働き方

働く場所の司馬倫差し
本社オフィスなし
申請・制限なし
勤怠報告なし

管理のない会社経営

上司・指示命令なし
承認決裁なし
部署・管理職なし
売上目標評価なし

色々なものを実験してきた。

書籍を読むと詳しく載っています。

「アジャイル開発」から「納品のない受託開発」へ

名前を変えた。
アジャイル開発はすごくよかったし、アジャイル開発に出会ってから、本気でアジャイル開発をやりたいと思っていた。
当時は知り合いもいない、情報もない。
そんな中でどうやって会社の中で出来るんだろう、経営陣にどうやって説明できるんだろう。
ある程度はできたけど、最終的にはうまくできなかった。
一発請負というビジネスモデルの中では、無理をしている。
最後に納品をしてお金をもらう、というビジネスモデルでは、開発側・エンジニア側からすると、納品するまでお金をもらえない。
すなわち、納品せざるを得ない。
何度も繰り返しアジャイルをするということは、本当によいものを作ること。
ただ、このビジネスモデルの中でうまくやろうとしても、絶対にうまくいかない。

だから、ビジネスモデルから変えていくんだ。

アジャイル開発はよいものだけど、手法でしか過ぎない。

方法の原理(本質行動学)

方法は、状況と目的から導き出される。
それを逆転させるとうまくいかない。

DXという方法について、DXから始めてもうまくいかない。
リモートワークもそう。
最初は方法を見ようとするけど、方法から状況を当てはめようとしてもうまくいかない。

アジャイル開発も、一括請負という状況と目的を変えない限りは、うまくいかない。
だから、ビジネスモデルを変えよう。

ビジネスモデルを変えるときに「アジャイル開発をやるモデルです」と言っても伝わらない。
お客様の言葉ではない。
お客様が求めているのは良いソフトウェアを使ってビジネスをしていくこと。
ソフトウェアの価値は、動いている状態に価値がある。
だから、表現を変えないといけない。

お客様からすると、何が一番大事かというと、
新規事業の場合、要件定義なんてできない。
最初から一つずつ作っていって、ピボットしていく、という話をすると、お客様はすごく納得する。
アジャイルと言っていなくても、とても伝わる。

自分がやりたいことはモチベーションになるが、それをやるには、相手が求めることをやらないといけない。
内からの視点ではなく、外からの視点でやらないといけない。

「会社を変える」から「自分たちが変わる」へ

会社を創業した話。
ソニックガーデンを自分たちの会社にした理由。
ずっとアジャイルできる仲間を探していた。
自分ひとりでやり続けることは難しい。だから、仲間を作る。
仲間を作るときに説得することもできるが、他の部署にいる人は仲間になるけど、結局一緒に仕事ができない。

じゃあ、どうしたら一緒に仕事が出来る仲間が出来るか。
そこで、新卒の人たちを育てる。

アジャイル開発で育て上げる。
アジャイル開発という言葉を言わなくても、息を吸うようにアジャイル開発ができるようになる。
そうなると、いいチームができるようになる。

色んな人材を危ないプロジェクトに持っていかれたり、というのはあった。
会社員でいる限りは、いいチームができても、会社の意向で自分のチームはすぐに解散される。
自分が大事にしたいのは、所属したい会社ではなく、一緒の仲間だなと思った。

この人たちとなら、5年も10年も先も、一緒に仕事をしていきたい仲間だと思った。
そうするためには、独立するしかないと思った。

とはいえ、元々はNBOをするつもりではなく、子会社にするつもりだった。
子会社だと上場企業から独立するときのリスクは少ない。
好きなことを色々やらせてもらったけど、最後、資本主義の限界・壁にぶつかった。
ホールディングスで株式を持っている人たちが強い。
好きなものは作れない。

資本主義に逆らえないのであれば、自分たちも資本主義で戦うしかない。
だから、会社を買い取った。

自分たちの会社を作って、管理しない、とかをやっているけれど、
外発的動機付けと内発的動機付けを大事にしている。

ボーナスのような外発的動機付けよりも、「いいプログラムを書きたい」というような内発的動機を大事にすれば、よい成果が出せるようになる。
「嫌そうにしている人になんとかやってくれよ」っていうより、好きなことをやってもらいたい。

世の中を変えようとは思っていない。
自分たちがどうしたいのか、そのために何をするのか、を考えてきた10年間だった。

組織を変えるか、自分を救うか

独立前何をしていたかと思うと、組織変革をずっとやろうとしていた。
会社を変えないといけない、という使命感を持っていた。
この会社を変えるためにはアジャイル開発をするしかない、というのをずっと考えていた。
そのために組織を変える。
でも、すごく大変だったし、苦しかった。
その行為自体は尊いことだけれど、やりたいことではあったものの、自分に無理をしている感じがあった。

会社を変えなきゃ、世界を変えなきゃ、と思っていたときは、自分を救うために会社を変えなきゃと思っていたのかもしれない。
自分の人生を良くするために、会社を変えようと思っていた。
今思うと、大きなお世話だったのかなと思うし、望まれていなかったことを無理していたのは、大変だった。
組織変革が好きでやっている人ならいいかもしれないけど、無理している・使命感でやっているのであれば、「自分を救いたい」と思っているなら、自分を救ったほうがいい。
他の人のことを何かしようとしなくてもいい。

辛い思いをしている人がいたら、周りをどうこうするよりも、自分を救ってもいいんじゃないか。

「半径10メートル」から「XPコミュニティ」へ

アジャイルのコミュニティに参加したことが変化のきっかけだった。
現場にいながら、世の中をなんとかしなきゃともがいていたときは、半径10メートルが自分の世界の全てだった。
キャリアを見ても、周りの課長部長をみて、「ああいう働き方になっていくのか」と思っていたし、自分の人生も見えていた。
腐りかけていた。
でも、その組織に順応するしかないと思っていた。

今だとインターネットもあって、他の会社のことも知れるようになったけれど、当時は情報もなくて、自分の世界の狭さで絶望していた。

偶然、平鍋さんに出会って、XPに出会って。
アジャイルコミュニティは当時XPユーザー会くらいしかなかった。
最初行くのはめちゃくちゃ怖かった。
でも、足を踏み出してみた。
そのとき、大きく自分の世界が変わった。

色んな人がいる。多様な価値観を持っている。
色んな会社の人がいる。

脳のブレーキ

人間は無意識で「できないものだ」と思い込んでいるものがある。
目の前でやっている人がいると、「自分もできるんだ」と思える。
脳のブレーキを壊す瞬間があった。

本を書くって、全然違う世界の人だなと思っていたけど、会ってみると普通のおじさんだと思った。
雲の上の人だと思っていたけど、「自分でもできそうだな」と思った。
変わってもいいんだ、変えていいんだ、と思えるようになった。

自分の世界が変わった、と思っていたけど、
私の脳のブレーキが壊れただけで、観測すると、変わっていたのは自分だった。

変化はどこから始まるのか?

世界を変えるのではなく、自分を変える。
肉体改造をするだけではない。自分の認識を変えるだけ。

最近は哲学書を読むのが楽しい。
仏教では「唯識(この世界は、自分の認識で成り立っている)」という考え方もある。

認識で、世界を変えられる。

何を変えるのか?というときに、「過去を変えられないけれど未来は変えられる」みたいな話があるけれど、過去も変えられると思っている。
未来はわからないけど、過去ならわかる。

今日話した話は、やっている当時はそこまでたいそうなことを考えていたわけじゃない。
過去は事実は変わらないけれど、解釈は変えることができる。
自分に意味があったものをどう解釈を変えるか。

「過去を大事にして、あったことをどう解釈するのか」というのはポジティブにできる。

Agile459は10年続いたのは紛れもない事実。
そこに関わることで、自分がどう変わったのか、というポジティブな解釈をすると、次のアクションをきっと前向きにできるはず。

未来も変えられるし、過去も変えられる。

変化は、過去であるし、自分から変えられるんだ。

倉貫さん・懸田さんの対談

Q. ソニックガーデン立ち上げのときの不安とどう立ち向かっていったか?

それまで転職したことがなかった。
初めてがNBO。不安しかない。
不安だったけど、安心して出来た部分の一つは、一緒に創業する仲間がいたこと。
「何かあったらみんなでコンビニの店長をしよう」と話していた。
人間が生きていくうえで一番大事なのは希望だと思う。
希望さえあれば生きていける。

社会人2-3年目のときに、半径10mに絶望して、コミュニティに行ったらちやほやされて。
フリーランスになろうと思った時もあった。
そのとき、お世話になった上司にこういわれた。
「辞めるのもいいけど、そのまま辞めたら面白くないぞ」と言われた。
「今、自分で仕事とれるのか?」
「今の上司から仕事取るしかないだろ」
「お前の同期から仕事貰うことになるぞ」
「一人で始めたら、ずっと一人になるぞ」

「辞めるなら、自分の名前で仕事を取れるようになれよ。」

そこから平鍋さんにお願いして記事を書かせてもらったり。
「XP行脚」に参加して、最終日に一番後ろに座っていた。
平鍋さんには1-2度しかあったことがなかったけど、こちらからは死ぬ気で相談に行ったら、めちゃくちゃ軽いノリで返された。
それまで脳のブレーキがかかっていたけど、壊してくれた。

こうなるためにやった、というわけではないけど、今から解釈を変えると、そういうことだったんだなって。

Q. 地方の働きたい人たちとの関係性をどうやって作っていったか?

初期のころは、アジャイルやRubyなどのコミュニティでイベントがあって、そこでお話をさせて貰って、懇親会に行って。
そこで「ソニックガーデンどうですか?」みたいな話をした。
今は大分オンラインだけで応募が来るようにはなっているけど…

地方だからといってエンジニアの質は低くない。
他の製造業とかだと、東京だからこそ情報が集まっていい仕事ができる、とかはあるかもしれないけれど、昔のメインフレームの時代と違って、インターネットに情報があふれている。
格差はない。

Q. 地方に行きたい、みたいな人はいるのか?

山が好きだから山梨にいく、とかスキーが好きだから長野に行く、とか、そういうのはある。

(懸田)「地方はこれだからこう変えなきゃ」って本当に思っている人は、コミットする。等身大の自分に気付くことが大事なんだね

人には、世のために働きたい人と、自分の真理を探究したい人の2種類いる。

最長と空海はよくケンカしたらしい。
世の中すべてを救いたいという最長と、自分のことを追求すべきだという空海。
認識が分かれば、すみわけが出来るはず。

(懸田)お互いが尊重して認める、というのが大事だね。

Q. 自分と全く違うタイプの人と関わるときはどうしているのか?

無理に付き合わない。
相手を無理に自分の考え方に染めようとしない。
相手を説得したり、何とかしようとするから苦しむ。
相手は相手のまま認める。

会社に入ってもらうために人を変えなきゃとも思っていない。あっているかどうか。

Q. ブレイクスルーなことをやる割に悩まないように見える

そういう風に見せているだけ。
気付いた結果を話しているだけ。
これからのことや今のことは常に悩んだりする。
アジャイル開発としての理想を知ってしまったけれど、理想ありきで経営できないタイプ。
今現実どんな状態なのかを見極めて、それで経営していく。
破綻しないように出来ることをやってきた。
理想はあるけど、現実主義者。
そのギャップに自分の中で苦しみながらやっている。
悟りを開きそう。

質疑応答

Q. こうあるべき、から脱するために何をしていますか?

「べき」という言葉を使っているタイミングは自覚的にある。
言葉は大事なので、使っているときに「あ、ちょっとちがうわー」って感じになって気付くことがある。
気付かないとわからない。
自分はそうだと思っている。

「べき」で動くのは相手にとっても、自分にとっても動くのが大変。
べきで動くより、自分のことをもっと知ること。
日々、修行してください。

(懸田)自分が何を選択するのか、というのを考えるといいと思っている。
自分がこういうのをしなきゃいけないなーというプレッシャーがあったときは、理由を考えて、自分が選択した結果だと考えるのが大事だと思っている。

Q. トライアウト期間について教えてください

短い人もいれば、長い人もいる。
仕事をしながら、だと長くなりやるい。

感想

  • 私も悩んできて、ずっと言語化出来てなかった内容だった。すごく腑に落ちた。
  • まずは、自分の世界の認識を変えること。そして、そのことを周りの人たちにも伝え続けることかな、と思った。
1
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
0