#はじめに
2018/02/17(土)に開催されたプロダクトオーナー祭り2018 ~世界を創るのは俺たちだ!~ に参加してきましたので、そのレポートです。
ワークショップの一部と、LTでの発表をさせていただきました。
プロダクトオーナー祭りは、コミュニティ「POStudy」が以下のような趣旨で行う、年に一度の大規模イベントです。YAHOO!のLODGEを使って開催されました。
アジャイルやDevOpsの時代の流れを汲んだプロダクトマネジメントについて、もっと探究したいプロダクトオーナー/プロダクトマネージャーの為のコミュニティが主催する、年に1度 参加者の皆さんで作るお祭りです! 今回が3回目の開催となります。
プロダクトオーナー祭りは、以下3つの目的を持って開催しています。
1.セッション/ワークショップ/パネルディスカッションという形での発表の場を提供
2.プロダクトオーナー / プロダクトマネージャーをキーワードに集う皆さまへ交流の場を提供
3.コミュニティとしての社会貢献
参加した講演
Product Backlog の管理だけじゃない⁈〜5年目だから分かる。本当の Product Owner の役割〜
発表資料の中でどの話が聞きたいかをアンケートをとり、アンケートの多かった内容を進めていくスタイルでした。決まった内容は「バーンダウンが0になるまで」。
内容をグラレコしましたので共有です。
#postudy
— びば(森のフレンズ) (@viva_tweet_x) 2018年2月17日
浅田さんのお話。
POとしてもチームに寄与していく意思! pic.twitter.com/41Hkkmvnin
「バーンダウンがなかなか0にならない」「バーンダウンなのにバーンアップする」というのは結構あるあるネタだと思います。講演いただいた浅田さんのチームでは、上記の悩みを抱えており、解決するために以下の2つの対策を行っていました。
- 大見積もり大会
- ふりかえりによる改善
まずは、大見積もり大会。
浅田さんのチームでは、1週間分のバックログのみにStory Pointを振り、毎週のタスクを行っていました。その結果、1週間分のバックログを見積もるだけだと、開発メンバー視点では少し先のバックログに影響するタスクの方式が定まらなかったり、ステークホルダー視点ではどこまでがリリース対象になるのかが不安、といった問題点を抱えていたそうです。その解決策として、1週間分のバックログだけでなく、2ヶ月先のバックログまでReadyな状態にしておく、というのを定期的に実施する、というものでした。大見積もり大会には1-2日かかる、とのことでしたが、この作業により、上述の問題も解決されたほか、毎週のスプリントプランニングで必要となっていた完了条件の確認や、仕様を実現するための方式の調査の時間が大幅に削減されたとのこと。2ヶ月先までReadyにするのは中々に大変で、心も折れそうになる作業だと思いますが、毎回それをやりきることが凄いと感じました。POがプロダクトを実現することに強いビジョンや意志を持って頑張らなければ、この見積もり作業自体が発生しないと思います。POがプロダクトのことを強く思っていますし、開発チームもそれについてくる、といういいチームなのだなと聞いていて感じました。
2つ目、ふりかえりによる改善。
これは毎週のふりかえりによって、終わらなかったタスクの分析を進めていった、というものでした。原因は突発的な割り込みや先行調査の長さ、などがあったということで、先行調査に関しては1つめの大見積もり大会で解決したとのこと。突発的な割り込みに関しては、自分達起因のものなのか、自分達ではどうしようもないものなのかを種類を分別することで、自分でコントロールできる割込を増やし、ベロシティの安定に努めた、という話でした。私にとって、「自分達でコントロールできる割込なのか、そうでないものなのか」という視点は今まで考えたことがない視点で、割込は全て一緒くたに考えてしまっていたので、割込が多いようなプロジェクト・チームにぶち当たった場合は是非使ってみたいと思います。こちらの話を聞いていても、POである浅田さんが開発チームと心理的にも近い位置で一緒に頑張っている感が伝わってきます。POもスクラムチームの一員として、チームの成果の最大化に取り組む、ということの大事さが分かる、非常に有意義な講演でした。
他の内容は講演では語られませんでしたが、プロダクトオーナーという視点から見て非常に有用だと思うことが記載されています。また生でお話を聞く機会を得られれば幸いです。
AI女子高生りんなが友だちとトモダチになるために 〜りんなの保護者がプログラムマネージャーとしてやってきたこと〜
LINEのAI「りんな」に関する取り組みを紹介いただきました。りんなの「チャット」から始まり、「しりとり」や「電話」、「歌」も作ったりして、りんながより「トモダチ」になれるような仕掛けがたくさんされていました。
私は「しりとり」を3度ほど試したことがありますが、りんながエグイ攻め(る攻めだったかな)に遭い、撃沈。SNSでバズる程度に影響力が大きい施策をバンバン打っていけるのも、マーケティングというよりは偶然だった模様?りんながハッカソンから生まれた、という誕生秘話も興味深かったです。
An Agile Way as an SET at LINE
LINEのSET、伊藤さんの講演。SETとは、テスト自動化を専門的に行う人のことだそうです。1人チームなのに、施策を1週ずつ超高速に進めていくやり方が非常に参考になりました。テスト自動化の基盤をすぐに作って動かし(1週目)、全社のソースコードで起こっている問題を分析して経営層に訴求し(2週目)、テスト自動化を誰でも利用出来るように展開し、全世界のLINEの職場でテスト自動化を使うようなフレームワークを組んだり、と超高速で改善されていく様子を話していただけました。スキルを持っており、かつビジネス視点を持って「どうやったらビジネス的な価値を生めるのか」を追求し、経営層にも訴求して会社そのものを変えることのできるエンジニア、って世の中にどれほどいるのでしょう。伊藤さんのようにパワフルかつビジョンのある方とお話するのは初めてで、私自身が大きなモチベーションをいただくことができたと思います。
伊藤さんとはお話したのはこの場が初でしたが、とても面白い方でした。スクラムに関連する話も色々とお聞きすることができ、楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうござます。
— びば(森のフレンズ) (@viva_tweet_x) 2018年2月17日
実施した講演・ワークショップ
「プロばこ」で学ぶ作業プロセス・デザイン・ワークショップ
RSGT2018からの改善版のワークショップです。今回も私は「弱い営業」役として劇中漫才を勤めさせていただきました。
このワークショップではチームビルディングから始まり、プロジェクトのプロセスを自分達で合意形成や認識共有をしながら構築していく、というワークショップです。ワークの中では、実際の仕事と同じように、ある程度与えられた枠(制約・制限)に沿ってもらう中で、制約の緩和方法や、ルールの抜け道を探すなど、自分達なりの工夫を行ってもらい、その考え方や思考を吸収しあっていただきました。約2時間という非常に長いワークでしたが、お菓子を食べる余裕も無いくらい皆さんには脳みそフル回転で思考していただいていました。楽しんでいただけた方、学びを持ち帰っていただけた方、ありがとうございました。
このワークショップ自体が、参加したメンバーやスキル、前提知識によって毎回姿を変える内容ですので、講師陣(5名)全員が現状を把握しながら臨機応変に自己組織的に動いています。私も全体の場を常に見続けたり、残り時間と進み具合を前回の記憶と比較したり、といったCPU100%状態で、終わった後には何もしたくないくらいの疲労感でした…
とはいえ、やるたびに私も成長を実感できるワークショップですので、是非別の機会でも演らせていただければ嬉しいなぁと思います。
LT祭り
懇親会のLT祭りに登壇してきました。
今回発表した内容はこちら。
プロダクトオーナー祭り、ということでプロダクトオーナーネタを、いつものふりかえりネタに混ぜて。POは中々開発チームとは(心理的にも物理的にも)距離がある場合が結構あって、そんな場合にどうやって一緒にふりかえりでチームをよくしていくことができるか、という問いかけを投げさせていただきました。今回は私の中にも回答はなく、模索している最中であり、LT後に色々お話させていただき嬉しかったです。
ちなみに、LT祭りのトップバッターはサイボウズ天野さんの「こんなプロダクトオーナーは嫌だ」でした。一発目に全てを持っていくくらいインパクトの大きい発表ですので、是非どこかで再演していただきたいです。
おわりに
自身が講演もあったため、全ての講演を満足に聴くことはできませんでしたが、懇親会や控え室等で講師の方達とお話したり、懇親会で色んな方とお話でき、モチベーションアップにも繋がりました。有意義な時間を作っていただいたPOStudyの運営の皆様、そして素晴らしい講演をしていただいた皆様、また、一緒に楽しだ参加者の皆様、ありがとうございました。次回の祭りも楽しみにしております。