はじめに
2018/09/08に開催された、XP祭り2018に登壇してきました。
今回はそのレポートと、ワークショップのふりかえりです。
登壇したセッションの簡単なまとめ
以下のセッションに登壇させていただきました。
1日に3回登壇したのは初の試み。楽しかったですが、夕方にはもうバテバテでした…
各セッションに参加いただいた方、ありがとうござました!
E-5 選り抜き「プロばこ」で学ぶ作業プロセス・デザイン・ワークショップ(プロジェクトマネージャ保護者会)
プロジェクトマネージャー保護者会(通称黄色い人たち)による「プロばこ」。2017年から6-8回程度(回数覚えていません)色んなところで提供させていただいております。
このワークショップは、プロジェクトをはじめるうえで必要な「プロセス・デザイン」を行います。
3~4人のグループに分かれて、各工程で行うべきことを自分たちで考え、組み立てるというものです。
途中で要求の変更があり、それに応じてプロセスを組み替えなければなりません。
その際に、どうやって品質を担保しながらやり方を変えていくか、というのを話し合いながら考えていく、という活動を経験していただきました。
今回は「選り抜き」版ということで、普段の120分のところを80分に圧縮して行いました。
時間が短く説明も不足している中で、顧客の要求変更にも負けず、皆さんにはなんとかプロセスを作り・組み立てていただきました。
ウォーターフォール型 または アジャイルなプロジェクトの両方で必要となる「プロセス・デザイン」を経験いただけたかと思います。
"プロばこ"は現在トライアル版で色んなところで実施しておりますが、そろそろエキスパート版を考えようとしているところです。お楽しみに。
LT祭り
LT祭り3番手として、「ふりかえりの場作り」の話をちょっとだけさせていただきました。
5分のうち1分が機材トラブルで時間を削られましたが、心穏やかに、機材トラブルを実況しながら5分間走り抜けられたのでよかったです。
ふりかえりがうまくいっていない人によく見られる症状や、それに立ち向かうための1つの原則、3つのプラクティスをお伝えしました。
気になる方はスライドをご参照いただけますと幸いです。
E-7 XP祭り2018:“ふりかえり” をふりかえろう~意見が活発に出るよい”場”とは何だろう~(森一樹さん)
本記事の本題でもあります。
このワークショップでは、以下のことについて皆さんに考えていただくものでした。
- 場とは何か
- よい場とは何か
- よい場はどのように形成されるか
- よい場をどのように作っていくか
このワークショップで皆さんに出していただいた情報をもとに、”場”とはなんだろう、というのを改めてふりかえってみたいと思います。
場について考える
場とは
ふりかえりの中でもっとも大事なものはなにか、と問われたら、私は「場作りである」と答えます。
では、場とは何か。
場は、「心理的なもの」「物理的なもの」の二つから形成される見えないものだと考えています。
1対1の関係から生まれる場、多人数の中で生まれる場、そして、空間によって生み出される場。
この場というものは、生き物のように変動していきます。
この場がよい方向に向かっていくと、発言がしやすくなったり、よいアイデアが出やすくなったり、と、ふりかえりをしたあとによい結果を残しやすくなります。
逆に、悪い方向に向かっていくと、個人批判をしてしまい空気が悪くなったり、誰も発言しなくなって膠着してしまったり、と、時間を無為に過ごしてしまう可能性が高くなってしまいます。
参加者・ファシリテーターの両方とも、特にファシリテーターがこの「場」を意識しながらふりかえりやワークショップを進めていくことで、参加者全員に有意義な学びやアクションが残ります。
よい場とは?
そんな「場」について、総勢33名の参加者の皆さんのイメージを出していただきました。
私自身もいろんな場所で「場の大切さ」をお話ししており、その内容と重複するところが多くありました。ただ、今回は皆さんに前提知識なく回答いただいた結果であり、共通認識としての「よい場」というものが見つかった気がします。
出していただいた結果が以下のとおりです。
- 「空間」
- 飲食
- 軽食がある
- お菓子がある
- コーヒー
- 場所
- 距離感がいい
- 開放感
- 広すぎず狭すぎない
- ちょうどいい大きさのスペース
- みんなの声が聞こえる
- 開放感がある
- 開放的な空間
- 広すぎず狭すぎない
- 快適
- 身体的によい環境
- 湿度
- 温度
- まぶしくない
- 時間の流れがゆったりに感じられる
- アメニティ
- 設備が整っている
- ソファー
- 設備が整っている
- 可視化
- 話している内容が常に見える
- 集中
- ノイズが少ない
- 外部者に邪魔されない部屋
- 飲食
- 「構成」
- やり方が大体わかっている
- 「参加者」
- 参加者
- 必要なメンバーがそろっている
- 信頼できるメンバー
- ファシリテーターがいる
- 知り合いがいる
- 人数が少ない、適切(5-6人)
- 状態
- 仕事が忙しくない
- 疲れていないときにやる
- 参加者全員がふりかえりの準備をしてきている
- 集中
- 顔が見える(PCを開いていない)
- 参加者
- 「目的・ゴール」
- 目的が明確
- 「進行」
- 準備
- 準備が完了している
- 時間
- タイムボックスが守られている
- 休み時間が決まっている
- 目的
- 背景
- 背景や前提を共有できている
- 共有
- 目的意識が共通にある
- 場のゴールを全員が把握している
- 達成
- 目的が達成できる
- 合意できる
- 背景
- 準備
- 「雰囲気」
- 明るい・楽しい
- 笑いがある
- ギャグに笑ってくれる
- ユーモア
- 笑いがいっぱい起こる
- にこやか
- 沈黙がない
- 挨拶が気分よくできる
- 笑いがある
- 活気
- ザワザワ感がある
- ファシリテーターがとめるくらい参加者が議論をする
- 弛緩
- リラックス
- 話がしやすい
- 緊張しない
- せかされない
- 落ち着ける
- リラックス
- 態度
- 当事者意識を持っている
- 全員が協力的
- 全員で作り上げる
- 他人に興味を持つ
- 変えたい/変わりたい気持ちがある
- 聴く姿勢
- 誰かに依存していない
- オープンマインド
- 当事者意識を持っている
- 前向き
- 前向きな意見が出てくる
- 前向きな発言が多い
- ゆるすぎない
- 明るい・楽しい
- 「発言の場」
- 心理的安全性
- 発言の安全性
- 発言のしやすさ
- 何を発言しても大丈夫
- 自分の意見を遠慮なく出せる
- 気兼ねなく話せる
- 好きなように話せる
- 心からの発言ができる
- 安心して本音を言える
- 普段思っている心の内のものが出てくる
- 何を発言しても大丈夫
- ネガティブな発言
- よくないことも発言できる
- 悪いことを指摘できる
- 課題をいいやすい、嫌がられない
- 邪魔されない
- 偉い人が邪魔をしない
- 発言のしやすさ
- 受容
- 攻撃されない
- 失敗を責めずに対応策を考える
- 失敗しても大丈夫」
- 思いつきでも怒られない
- 間違った意見を言っても責められない
- 意見が恥にならない
- 馬鹿にされない
- 否定されない
- 否定から入らない
- 攻撃されない
- 多様性
- 年齢・役職に関係なく発言ができる
- 誰が言ったかよりも何が言ったかを重要視する
- 尊重
- 存在が認められている
- 互いが尊重しあっている
- 互いを認め合う雰囲気
- 他社の意見を認めて自分もしっかり主張
- 年齢・役職に関係なく発言ができる
- 譲り合い
- 一人が話しすぎない
- 誰か一人だけが演説をする状態になっていない
- 参加者全員が発言できる
- 全員が同じ量発言する
- 一人が話しすぎない
- ストレスフル
- プレッシャーがない
- 有効なアウトプットを必ず出す、とか気負わない
- 実現性はあまり気にしない
- プレッシャーがない
- コミュニケーションの共通言語
- 発言の安全性
- 傾聴
- 全員が話を聞いてくれる
- 出した意見をひとまず聞いてくれる
- 賛成・反対にかかわらず聞いてもらえる
- 突飛な意見も聞いてくれる
- 話を最後まで聞く
- フィードバックがある
- 反応がある
- 「こうしたほうがよい」という反応
- 反応がある
- 発言の方向性
- 個人的に捉えない/客観視している
- 人にではなく、物事に対して意見を言う
- 問題・課題のゴールが見える
- 活発だがあまり発散しない
- 議論の発展
- 多くの意見が出る
- 発展的な議論ができる
- ポジティブな意見が出る
- 別の人の意見、考えで刺激を受けてアイデアが深くなっていく
- 心理的安全性
- 「終了後の状態」
- 学び
- 人の発言にハッとする
- 刺激を受ける
- 自分だけではなくチームとして成長できる
- アクション
- ほかのチームに共有できる何かがある
- 次につながる
- アウトプットが多い
- 気持ち
- やる気が出ている
- ふりかえりが楽しみになる
- 学び
非常に多種多様な意見が出ましたが、違和感のある意見はまったくありませんでした。「心理的安全性」と一言にいっても、色んな要素が絡んでいることがわかります。
全体的に、「傾聴」や「攻撃されない」というところに「よい場」を感じた人が多かったように見受けられます。互いを「尊重」し、「傾聴」できるような場を最初に作れば、「攻撃」はしないようになります。最初の場作りでこの雰囲気が参加者全員に伝わるといいのでしょうね。
よい場を作るためには?
WIP。6チーム分の意見を集約するのに時間がかかっています...
今週中にはupします。