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Agile Japan 2020 参加レポート「アジャイル開発の時代」

Last updated at Posted at 2020-11-18
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Agile Japan 2020

この記事は、2020/11/17-18に開催されたAgile Japan 2020のレポートです。
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アジャイル開発の時代

セッションの概要はこちら
資料はこちら

アギレルゴコンサルティング株式会社
シニアアジャイルコーチ
川口 恭伸 氏

お話ししたいこと

いい加減アジャイルの話は2日間聞いてきていると思うので、基礎的な話をしてみても…。。

見知らぬ人に、アジャイルって何かを説明してみる。

今日の目標

自分たちにとって当たり前になりすぎたアジャイルを、端折りがちな説明を端折らずに、ちゃんと説明してみたい。

  1. アジャイルってなんですか?
  2. うちの会社でもできるのかな?
  3. 上司を説得するには?
  4. 成果を出すにはどうしたら?

上記はバックログなので、できるところまで。

アジャイルってなんですか?

アジャイルの定義はアジャイルマニフェストにしかない。
来年二月で20周年。

1970s ソフトウェア工学の黎明
1991 バブル崩壊
2002 アジャイルマニフェスト
2009 リーマンショック
2010 クラウドが普及・DevOpsに盛り上がり

歴史の話はあんまりしない!

どうやってアジャイルマニフェストが書かれたのか?

アジャイルマニフェスト10周年 - アジャイルマニフェストはどう生まれたのか より

ボブ・マーティンがミーティングを招集して、こう言った。「私たちが言っていることって、似ているように聞こえるんだけど、これって偶然の一致なのかなぁ?」彼はマニフェストを書くことに関心があることを付け加えた。(私はマニフェストを書くことには全く関心がなかったので、マニフェストへの世間の反応は、私はボブ以上に驚いたんじゃないかと思う)。ボブはワンダフルな人々をミーティングに招待していた。"軽量プロセス"の提案者として、他の誰より知られた人たちだ。北米だけでなく、イギリスを基盤とするDSDMの代表とも話すことができた。Ari van Bennekum はオランダからこのミーティングのためだけに来ていた。XP、スクラム、クリスタル、アダプティブ、FDD、DSDM、軽量で実践的な開発といわれるひとたち (Andy Hunt, Dave Thomas, Brian Marick) が集まっていた。

「こんにちは、私は xx です」というやり取りが一周した後、車座に座って、お互いをしばらく凝視した後、誰かが言った。「我々は、アジェンダ(今日話す議題)をどうやって作ればいいんだろう?」すると、誰かがアジェンダ項目をインデックスカードに書くことを提案した。XPの人たちは研修用にインデックスカードを持ち歩いていたのですぐに取り出して書き始め、書き終わったものを中央の床に放り込んだ。急に、過半数の人々が床にインデックスカードを入れ始めた。残りの人も、同じようにやり始めて、アイデアが尽きたときには、床のインデックスカードは山になっていた。

誰かが尋ねた。「このカードをどうやってまとめて、アジェンダにするんだろう?」誰かが言った(私はこのときすでに、誰がなにを言ったかを記録するパワーはなかった)。「アジェンダの順番に意見がある人は、このカードを並べ替えよう。そうでない人は、ここを離れてもいい。」私はトピックの順番は気にしていなかったので、休憩をとった。私が戻ったとき、インデックスカードは壁にテープで貼られていた。

後で、誰かが「私は他のアジェンダ項目を考えているんだけど、どうしたらいい?」と言い出した。誰かが「アジェンダの空いているところ、好きなとこに貼りなよ」と答えた。

私はこの作業にずっと付き合ったのだが、それは、このグループの2つの特徴が私の心を打ったからだ。

リスペクト(Respect)
その部屋にいた全ての人が、他の人に対して、絶大な信頼を置いていたこと。だれもミーティングをハイジャックすることを試みたりしなかった。全員が他の人の意見を極めてじっくりとよく聞いていた。常に、話している人に最大の信頼をおいていた。
自己組織化(Self-organization)
そこは、最も優れた人々の自己組織化の場だった。それまで経験した他の場では、常に一人の人(または、もっと悪い場合は複数の人)がミーティングを "動かそう" とするものだった。偉い人が部屋にいて、お互いをよく知らない場合、まず最初に権力闘争が始まりやすい。そこでは、そんなことは一切起こらなかった。

アジャイルの根本的にあるのがリスペクトと自己組織化。
これがなければアジャイルマニフェストは生まれなかった。

アジャイルマニフェストの4つの価値

上司へのリスペクト、自己組織化を理解をして進めていく必要がある。
マニフェストでまとまっている4つの要件

  • 個人との対話
    • コミュニケーション方法
  • 動くソフトウェア
    • ソフトウェア開発手法
  • 顧客との協調
    • ビジネスの進め方
  • 変化への対応
    • リスクへの反応の仕方

4点を大きく、全員が合意した。

アジャイルマニフェストの背後にある12の原則

出来てないと思ったら、非アジャイルマニフェストを作ってみるといい。
現状を分析すると面白いと思う。

https://kawaguti.hateblo.jp/entry/2018/10/31/114305

Agileの源流

野中郁次郎先生のThe New New Product Development Gameから。
ここから「スクラム」という名前を取った。

もう一つの原料はTPS(Toyota Production System)。
大野耐一さんのトヨタ生産方式の本

80sの影響は大きいはず。
多くはLeanという名前になってアジャイルと関わっていく。

アジャイルの源流がLeanかというと特定はできないが、交わっているのは間違いない。

山田登志氏さん
「自分で考える社員を作る」

スクラムガイド

透明性と検査と適応と言っている。
検査と適応が大きなテーマになっている。
一言で言えば「フィードバックサイクルを回す」

うちの会社でもできるのかな?

大丈夫 できるまでやればできる
by ハイキュー30巻

Linda Risingさんの答え「It takes a long time」
出来る、という後押しではなく、時間がかかるという風に言われた。

うちの会社には向いてないんじゃないか?

言ってこなくてもうすうす感じている人もいるはず。
世の中には「WF」「アジャイル」というものがあって、元々WFだ、という風に考えている。
(WFも最近言い出したはずなのに…)

分かり合えない感じがする。

アジャイルというのが新しい考え方なので、理解してもらうには時間がかかる。
分かってもらえるまでやれば分かる。

ファスト&スロー

  • System1: 直感的な速い思考
    • 大多数がこれを占める
  • System2: 論理的な遅い思考

System1を超えて、System2に行かないとアジャイルは理解されない。
「わかるわかる」「俺知ってる」はSystem1。
現場感覚・当事者意識がないと、System1になってしまう。
現場の人だとSystem1でもいいのかもしれないけど、それを乗り越えて説得していかないといけない。

例:はげちゃびん問題

認知心理学

分かりやすい説明を避けながら、実践に根差した話をする。
向こうの現場のコンテキストで話す
分かりやすい説明が生むバブル型理解

整理しよう

  • 成果を出したいのは同じ
  • 何が悪いのか分からない
  • やってみたいだけでは?
  • ほんとにうまくいくの?

Fearless Change

初期段階で大事なポイント

  • 予備調査(4)
  • ふりかえりの時間(5)
  • 小さな成功(2)
  • ステップバイステップ(3)

前提としてのエバンジェリスト(1)

情熱、熱狂、信条、決意は必須。

なぜ情熱、熱狂、信条、決意が必要なのか?

イノベーター
新しいものを受け入れてしまう。「あなただから受け入れられるんでしょ」となってしまう。

信頼貯金を殖やす

アジャイルに開発できている開発者と,そうでない開発者の違いは,技術スキルの優劣だけではないと私は考えています。うまく開発をアジャイルにできている開発者は,スキルを磨いているのはもちろんですが,それと併せて信頼貯金を増やすことも習慣の一つとして身につけているように見えます。

「貯金を増やす」と聞くと何だか打算的な印象を受けるかもしれません。しかし,実際に意識してみるとすぐに気づくことですが,打算的なだけでは信頼貯金を増やすことはできません。
というのも,信頼貯金とはあなたの周囲の人が持っている,あなたに対する信頼の蓄積だからです。預けるのも引き出すのもあなたではなく,あなたの周囲の人たちです。

お客様はもちろん,社内の同僚など,周囲を巻き込んで何か新しいこと,これまでと違うことを始めるにあたっては,一定の信頼貯金が不可欠です。「⁠それが正しいことだからだ」というだけでは,なかなかうまくいきません。

世の中が先に代わる

業務知識とIT知識を分けて考える時代は終わったんじゃないか

アジャイルの反対はWFではない

先日ふとSNSを眺めていると、「アジャイル」と「ウォータフォール」はあうあわないがあるので、使い分けるのが吉的な意見を見てなんだかもやっとした気分になった。 正直アメリカに来てから「ウォータフォール」を見たことが無い。確かに日本にいたときは使われていた。最近はさすがに「アジャイル」がだんだん主流になっていく流れも見える気がするが、 アジャイルが「主流」という感じすらしっくりこない。なんでだろう?アメリカでもアジャイルは「主流」ではない。

まず自分がアジャイルを体現しよう

コロナがなければ

危機の際に座席に立てるようにする。
好調なうちに仕込んでおく必要がある。
藁をすがるようにアジャイル、と言っているとうまくいかない。

上司を説得するには?

上司を首にしよう! ではなく
上司を味方にしたい。

著名人を呼んできてマネージャーの人と話したり、とか。
もしかすると相手によっては上司の方が方向を変えてしまうかもしれない。
上司の方がやったかのような実績になるかもしれない。
ちゃんと支援してくれる評判のいい管理者を探そう。

現場感覚や当事者感覚がない上司ではなく、評判のいい上司を探す。

Culture Bubble

あなたがリーダーになって、そのバブルを広げましょう。
横展開しようとするのではなく、ヒエラルキー型のバブルを広げていきましょう。
攻撃されるとバブルは割れたり、急速に広がるとバブルが割れる。
バブルが割れるとなくなることはないけれど、小さなバブルになってしまう。
今のバブルを守りながら、少しずつ進めていきましょう。

成果を出すにはどうしたら?

いい質問です

わたしは当事者でありたい

一つのやり方がモブプログラミング。
モブプログラミングスタートアップマニュアルを更新しました!

タイピングに集中している、というのがポイント。
ドライバーに声を出して表現すると同時に、チームの他の人にも表現していく。
全員がアイデアを完全に理解することができる。

ドライバーが回ってきたら、なるほどそういうことね、という風にできる。
アウトプットとインプットが同期して出来る。

プログラミングが出来なくても大丈夫。
必要に応じてキー操作レベルからドライバーできる。
相手のレベルに合わせてモブは始められる。

大丈夫、できるまでやればできる。

教育心理学概論より

人は何も知らないからこそ学ぶのではなく、何かが分かり始めてきたからこそ学ぶ

明日はもっとうまくなれる。
明日はもっとうまくなろう。

長く続けるにはどうしたらいいのだろう?

  • 当事者であろう
  • 次の実験をしてみよう
  • 説明を端折るのを我慢しよう

1分1秒を大事にして、一歩ずつ進んでいく。
適切なサイズの問題を作り続ける

RSGTという継続

私たちはRSGTを10年続けてきた。

変えないことを大事に敷いてきた。
安定したチームと、実験はひとつだけ。

ここ5年は安定してきて、Scrum Fest Osaka, Sapporo, Mikawaもやってきた。

感想

  • 話のスピードが速く、色んなところにぽんぽん飛ぶ、けれどいろんな示唆に富んだ発表でした。
  • It takes a long time。やるまでやればできる。凄くいい言葉です。
  • 自分がはげちゃびんにならないように、は毎回川口さんの話を聞くたびに思わされます。
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