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ふりかえりはチームのグラデーションを上げる

背景

XP祭り2019@terahide27さん と一緒にふりかえり読本 実践編を見ながら、「ふりかえりって言葉が広いし誤解されやすくて使い方誤ると危ないよね」という旨のお話をしまして、そこから「ふりかえりって何だろうね、というのをお互いぶつけて広げてみよう」という趣旨の会を開きました。
そこに、1on1や心理学などに精通しているMRYYさん@terahide27 さんもお呼びして、三人でふりかえりについて約2時間半、話し合ってみたというものになります。

この記事について

この記事は、「ふりかえり」という単語や活動について、MRYYさん@terahide27さんとで議論した際に出てきた内容をまとめたものです。

ここで語られる内容は3人のあくまで議論の内容と意見であって、正しさを証明したり、何かを結論づけるものではありません。

目次

出来る限り意味の通じる構成にしましたが、議論が色んな方向に飛んでいるため、必ずしも各章は関連しません。

  1. 「ふりかえり」の使い分け
  2. 対象人数と指向性によるふりかえりの種類と分類
  3. ふりかえりのモデル
  4. 教育現場におけるふりかえり
  5. ふりかえりがなぜ反省会になるのか
  6. チームの話
  7. リモートでのふりかえり
  8. 組織の透明性をどう捉えるか
  9. 2025年のふりかえりはどうなっているか?

1. 「ふりかえり」の使い分け

1.1. 「ふりかえり」で連想するもの

「ふりかえり」というと、様々なものが連想されます。
扱う人によって、ふりかえりの意味が異なるため、注意が必要です。

1.1.1. Reflection

これは、一人で行う反省会のイメージであり、瞑想にも近いものです。
心理学やシステム療法を源流とするものであり、カウンセラーと一緒に行うものだったりもします

自分自身の気づきを理解へと変え、行動へと変える、という変化を起こしていく活動のことです。

1.1.2. Retrospective

アジャイル・スクラムでよく使われる活動で、「改善・カイゼン」の活動です。
複数人で行う、マイナスをプラスにする活動、プラスをよりプラスにする活動です。
自分・チームの悪いところにも向き合うため、Reflection同様、辛いところに向き合う瞬間もあります。

1.1.3. Postmortem

医療用語で「検死」。エンジニアリングでは課題対策会議と呼ばれたりします。インシデント発生後の対応や撲滅を検討する会のことを指します。

1.2. 「振り返り」で連想するもの

SIerの現場の中では「振り返り」という単語で「反省会」として使われることが多いようです。
また、アジャイルの「Retrospective」を知らないで「ふりかえり」を使っている人は、反省会の意味合いで使う傾向がみられます。

森が「ふりかえり」と「振り返り」をあえて明確に区分しているのは、「振り返り」に上記の「反省会」のようなイメージが強く定着してしまっているためです。平仮名のほうが柔らかいイメージを受けるため、ふりかえりとして記載しています。この考え方については、これだけ!KPT から感銘を受け、私もそれになぞらえて使っています。

1.3. 意味を混在してはいけない

Reflectionは、自分の辛い面と向き合う活動として行われる場合もあるようです。
Retrospectiveの活動の中でReflection的な質問をして、内面にまで追求すると、相手を深く傷つけてしまい、取り返しのつかないことになる場合もあります。
同列に語るのは危険です。

2. 対象人数と指向性によるふりかえりの種類と分類

2.1. ふりかえりの種類/事例

もう少し「ふりかえり」について広く深く考えてみます。
ふりかえりには以下のような種類・事例が存在します。

2.1.1. 未来会議

全社で行うもの。会社の未来を検討します。
※事例については『組織パターン』の版元「翔泳社」が実際にやってみた! 組織改革を目指した課題抽出&解決ワークショップを参照してください。

2.1.2. TOCとしてのふりかえり

TOC = Theory Of Constraints / 制約理論
※TOCfE = TOC for Education のツールも含まれます
経営者の改善として行うもの。少人数のエクゼクティブ向け。
企業のサービスそのものを改善します。
ふりかえりというよりは、業務分析に近い、ヘヴィなものです。
以下のメソッドを活用します。

  • Five Tree Method
  • Three Cloud Method

ふりかえりに応用できるものとしては、以下の2つです。

  • ロジックブランチ
  • クラウド
  • アンビシャスターゲットツリー

2.1.3. ひとりのふりかえり

日記などの、出来事を記録する活動。または、Reflectionの活動。

2.1.4. チームのふりかえり

反省会やRetrospectiveのような活動もあれば、YWTのような学びのふりかえりもあります。

2.1.5. グループのふりかえり

Scrum of Scrumのような組織内でのつながりを保ったふりかえり。
または、プロジェクト横断的な組織内でのふりかえりを指します。

2.1.6. プロジェクトのふりかえり

プロジェクトが終わったタイミングで行うふりかえりです。

2.1.7. 組織のふりかえり

半期~1年など、組織レベルで過去の施策等の見直しを行います。

2.1.8. むきなおり / Futurespective

チーム・グループレベルでの未来の目標設定をする場です。

2.2. ふりかえりの分類

ここまでに出てきたふりかえりを人数と指向性によって分類したのが以下の表です。
ふりかえりに参加する人数の大小、ふりかえりの結果が未来指向か過去指向か、によって分類しています。
※すべてのふりかえりは基本的に過去のデータを使うので、結果がどうかで判別しています。
※複数チームの集合体をグループとしています

image.png

3. ふりかえりのモデル

picture_pc_8abb528c0e0849df4cfb1e35570487ad.png
(出典:アートウォール化するグラフィックファシリテーションを越えて - MRYY / note.mu

3.1. ふりかえりの行動モデル

※図の左上のモデルについて

期待(状況・観察)⇒行動⇒経験/結果⇒学習⇒… という学習ループ。
儀式・イベントとして実施している場合もあれば、自発的に行っている場合もあります。
それをコンテキストによってはふりかえり、反省、学習と呼んでいます。

3.2. ふりかえりの対象

※図の左上のモデルについて

ふりかえりの対象は様々です。
ふりかえりの分類と重複する部分があります。

3.2.1. 人の対象

  • マネジメント層
  • グループ
  • チームレベル
  • 一人

3.2.2. ふりかえりをする対象

  • 人・関係・プロセス・ツール(スクラムガイド)
  • 良かった点
  • 悪かった点
  • 改善
  • 観察(Observation)、感情(Feeling)、ニーズ(Need)、リクエスト(Request)(NVC / Non Violent Communication)

これらの対象を組み合わせ、場に応じて変化させていくことで、どのようなふりかえりをしたいのかを表すことができます。

3.3. ふりかえりの方法

※図の右下のモデルについて

ふりかえる方法には、行動・感情・価値観・信念のどのレベルまで着目するかによって分類できます。
Retrospectiveは行動・感情にフォーカスするものが主です。
例えば、KPTでは行動にフォーカスしますし、Timelineでは感情にもフォーカスします。
チームで扱うのは上位階層(行動・感情まで)であり、価値観・信念に向き合うのは病院やCBT(Cognitive Behavioral Therapy:認知行動療法)のレベルとなっていきます。

4. 教育現場におけるふりかえり

教育現場では「めあて」「まとめ」「ふりかえり」が使われています。
この場における「ふりかえり」は学び方を学ぶ、という意味合いが強いため、また別種のものです。
学校の先生にとっては、上記モデルの「学び方を知ってほしい」という「期待」から生じるものだと思われます。

5. ふりかえりがなぜ反省会になるのか

「仕事を楽しくする」という考え方と「仕事は辛いものである」という相反する考えがあります。
後者の考えを持つ人が多いほど反省会になる傾向が強くなります。

「なんでふりかえりをしないといけないのか?」
「なぜ親しくなる必要があるのか?」
「仕事で感情を出すべきではない」
「プライベートの話は出すべきではない」
「コミュニケーションは仕事ではない」
※いまだに、私語厳禁という職場も…

こうした疑問や考えが浮かぶのは、業種や時代背景的な仕事における成果の出し方の違いにも影響されます。

TOCの「抵抗の6階層」にも似たような特色があります。

  1. 問題の存在に合意しない
  2. ソリューションの方向性に合意しない
  3. ソリューションが問題を解決できると思わない
  4. ソリューションを実行するとマイナスの影響が生じる
  5. ソリューションの実行を妨げる障害がある
  6. その結果起こる未知のことへの恐怖

6. チームの話

6.1. 経営陣の認知が組織に影響する

なぜ日本でAgile/Scrumの普及のスピードが遅いのか?

Scrumを崩すのは簡単で、「マネジメント層がAgile/Scrumに乗り気でないだけ」でよいのです。

マクレガーのX理論・Y理論。多くの組織体系はX理論により形成されており、その考えがそもそもAgile/Scrumと反発しやすい側面を持ちます。

「企業が成功したのは俺が関わったからだ」と考えるタイプの人か、「1人1人の活躍を大事にする」と考えるタイプの人か。前者のタイプも、Agile/Scrumと反発しやすくなります。

今の企業を支えてきた人(70~80歳)は高度経済成長期の真っただ中、頑張れば頑張るほど成果がでた時期で、がむしゃらにやってきた人たちです。こうした人たちは、前者の考え方のタイプの人も多いのです。

現在、DX(Digital Transformation)が流行りで、どんどん内製化に向かう傾向が強くなってきています。ただし、レイトマジョリティには熱意がありません。
意思決定に消極的で、マネジメントがボトルネックになります。
マネジメントが無関心になると、上記の理論から、組織が変われなくなってしまいます。

6.2. 分業とチーム

社会構成主義的な話も含まれます。

image.png
(出典:【基調講演】 あなたの欲しいのは DevOps ですか?それともビジネスの成功ですか? #devopsdaystokyo - 長沢智治

以前はIT/サービスが分離していましたが、今はITとサービスが融合して高度化してきています。
以前はキーパンチャーという仕事もありました。タイピングが出来るだけで専門性を評価される時代もありました。今はそれができるのが当たり前になっています。

高度化されていく社会の中、分業で出来る仕事はどんどん自動化されて減っていくのではないでしょうか。

こんな中、分業できないのが「知的労働」です。
単純労働であれば、出来る人とできない人で生産性は数倍程度です。ただ、知的労働は数千倍の差がでることもあります。

6.3. コミュニケーションで成果が上がる

モチベーションとエンゲージメントが成果に直結するということを今成功している会社は知っています。
興味や関心が楽しさになり、ワクワク、ウキウキして仕事をするようになります。
突出した凄い人が、瞬間最大風速で凄いものを作ることもあります。

ただ、モチベーションが高いだけだと、企業利益に直結する成果に結びつかない場合もあります。
エンゲージメントを高めて、方向をそろえる必要があるのです。

雑談(コミュニケーション)が多くなることで、モチベーション・エンゲージメントの双方が高まることもあります。

ただし、メトリクスを取っている前例が少ないので、コミュニケーションにせよふりかえりにせよ、マネジメント層を納得させるため、数値で示すのに毎回苦労する羽目になります。

6.4. チームでない人はいない

仕事では自己完結している人は少ないです。
自己完結している人は、ハートが強いか固着しているかのどちらかです。
(※CBTでも1人で完結しているとは見ずに、人間関係などに原因を探します)

仕事をしていれば、誰かしらとの人間関係は存在します。この中で、やりとりな頻繁な人がチームと呼ばれます。

image.png

認知や関係性にはグラデーションがあります。
互いを認知しあって仕事をしているか、互いの関係性がどれほどか。
このグラデーションが濃ければ濃いほど、「チーム」と呼ばれるような関係性になります。
チームビルディングやふりかえりは、そのグラデーションを濃くしていくための方法です。

6.5. グラデーションを濃くするために

チームの中の多様性が強い場合、それぞれピント(見ている焦点)が違います。
このピントを合わせていくのがふりかえりの中でできるチームビルディングです。

倉貫さんのザッソウ本も、このピントを合わせるための活動かもしれません。
Management 3.0ではHappinessに着目しています。

7. リモートでのふりかえり

Q. リモートで思い通りファシリテーションが出来ません。顔・感情が見えない(声は聞こえる)状態でのふりかえりを行っています。アウトプットが少なかったり、30%の情報でコミュニケーションをしてる感覚があります。CRT(Current Reality Tree)で問題分析をしているのですが…。チームのグラデーションが薄い状態だと思われます。

7.1. ノンバーバルコミュニケーションを大事にする

Zoomなど、全員顔を見れる状態にします。
顔を見れるようにするだけで、話しかけるタイミングをつかみやすく成ったり、言いたいことが言いやすくなります。

7.2. リモートでの会話環境を作る

リモート環境の1人-多数のリモート状況ではなく、1人-1人-1人-…のリモート環境を作ります。
または、拠点ごとに多数-多数のコミュニケーション環境を作ります。
「リモート飲み会」のよくある失敗 - 「リモート飲み会」を楽しむためのアドバイス / Social Changeが分かりやすいアンチパターンです。

7.3. リモートのコミュニケーションをどのようにうまく取るか

ネットゲームでは、声・チャットのみのゲームでも、チームワークがうまい人もいます。
数十人規模のPVP(Player vs Player)でも、的確な指示でチームを勝利へ導く人がいます。
彼らは、チームが助かる情報を適切なタイミングで短くコミュニケーションする人です。

短く、何度も、という意味では、ザイアンスの単純接触効果も望めるかもしれません。

チームの中にもそうしたリモートのコミュニケーションがうまい人がいるはずで、上手い人のメソッドを習いましょう。
出来る人、うまい人を先生と見立ててチームに拡散し、次の先生を作り、広げるメソッド(MRYYさん命名:毛沢東メソッド)を使いましょう。

8. 組織の透明性をどう捉えるか

組織の焦りを表明すると、人が辞めていきます。
上から下への情報開示には注意が必要な場合があり、逆もしかりです。
上からは希望・期待を見せて方向付けすることが大事となるでしょう。

9. 2025年のふりかえりはどうなっているか?

生産性のとても高い人たちのふりかえりはどうなっているでしょうか。
ふりかえりの対象がValue Streamから人間関係へと変わっていくのではないでしょうか。
「行動」「感情」はふりかえりの場でわざわざ話し合わなくても大丈夫(常に改善されたり、記録されたり)になっており、「行動」「感情」の分析から、「価値観」「信念」へとダイブしていくようになるかもしれません。

そんな中、ふりかえりで語られるのは、Happiness(幸福)やJoy、Funになっていくでしょう。

(参考)おすすめ書籍

この議論の中で出てきた本たちです。

(参考)議論の様子

議論の様子です。断面ごとに。

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viva_tweet_x
チームファシリテーター。 ふりかえり・カンバンなど、チームをよりよくするための活動を推進しています。 社内外でのイベントレポートも行います。 twitter: https://twitter.com/viva_tweet_x speakerdeck: https://speakerdeck.com/viva_tweet_x
nri
NRIは「コンサルティング」「金融 ITソリューション」「産業 ITソリューション」「IT 基盤サービス」の4事業でお客様のビジネスや快適な社会、暮らしを支えています。※各記事の内容は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。
https://www.nri.com/jp/
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