地獄の幕開け
ノートパソコンの裏面のネジが、外れていた。
――ただそれだけの、小さな、小さな出来事だった。
だが、それがすべての始まり。
まさかそこから地獄が展開するとは、誰が予想できただろうか。
結論から言っておく。
この記事はまだ完結していない。解決編ではない。
そして、ROMライターによる復旧記録を期待している人は回れ右だ。
イキった代償
事件は、ささいな「仕様変更」から始まった。
ノートパソコンを開け閉めするだけで、電源ボタンが物理的に押されるようになっていたのだ。
ボタンがケースに干渉し、パカパカするたびに電源がON/OFFされるという謎機能が爆誕。
当然、普通なら即修理すべき案件だ。
しかし、私はそれを面白がってしまった。
「馬鹿みたいだろw」
と、友人に見せながら、笑っていた――そのときまでは。
次の瞬間、パソコンは沈黙した。
画面は映らず、ファンは全力で唸り、光るのはキーボードだけ。
完全に、死んだのだった。
機種
- MSI GF63 Thin 10UC-629JP
最低限のゲームができる、薄型でコスパ良いやつ。
それが――死んだ。
症状
- ディスプレイ出力が来ない(=画面真っ暗)
- ファンが全力で回り続けている(うるせえ)
- キーボードだけは点灯している(ここだけ元気)
電源は入る、ファンは回る、でも何も映らない。
誰かのせいにしたいが自分の顔しか映らない
原因推察
この症状、どこかで見たことがある。
自作PCでCPU補助電源を挿し忘れたときのアレと瓜二つなのだ。
PCの起動プロセスはだいたい共通していて、めっちゃざっくり言うとこんな感じ
- CPU
- BIOS読み込み
- DRAM
- VGA(GPUとか)
- Boot
この順番でハードウェアに異常がないかチェックされながら進行する。
この一連の流れを「POST(Power On Self Test)」と呼ぶ。
POSTのどこかでコケると、ブートデバイスが選ばれず、OS起動には至らない。
で、今回の状況を振り返る。
- ファン → 全力で回っている
- ディスプレイ → 完全に無反応
- キーボード → 元気に光散らかしている
この時点で、マザーボード全体が焼き尽くされたわけではなさそうだと判断できる。
電源ラインや組み込み系はまだ生きている気配がある。
しかし、ファンに制御信号が行かず、最大電圧で回り続けるというのはPOSTの初期段階、
具体的には「CPU or BIOSが読めてない」時に起こりがちな現象。
つまり──
BIOSチップが論理的に死んでるんじゃね?
という結論に至った。
いや、マジで。
電源パカパカしてただけなのに、
罪、重すぎませんか?????
やったこと
さすがにBIOSチップを直接触った経験はない。
なので、まずは「ほんとにBIOSが死んでるのか?」を確信するために、いろいろ試してみた。
やったことは主にこの2つ:
- CMOSクリア
- M.2 SSDの確認
CMOSクリア
CMOSクリアってなんぞ?という人のために、ざっくり解説。
CMOSとは、**Complementary Metal-Oxide Semiconductor(相補型金属酸化膜半導体)**の略。
トランジスタ構造の一種……らしい。正直詳しくはよくわからん。
CMOSに保存されているもの
-
BIOSの設定情報
(ブート順・CPU設定・セキュリティ・ファン回転数など) -
時刻情報
(Windowsの右下にあるアレ)
この時刻情報がズレてると、通信エラーや証明書エラー、ファイルの保存時刻が逝かれるんじゃ。
1970年1月1日によくタイムスリップしたことない?
時刻情報が吹っ飛んだとき、UNIX系だと1970年1月1日を起点としてるんからなんだよね
まぁWindowsの起点は1601年1月1日なんだけど
グレゴリオ暦の整合性とか、VMS系の影響とか、大人の事情があるらしい。
時刻リセットしてるときは覚悟決めてマザボ弄ろうな!!先生との約束だぞ
CMOSは低消費電力型のRAM
CMOSは電源が切れたら内容が消えるRAMなんだけど、めちゃくちゃ低電力で動く。
なので、常時電流を供給するために**ボタン電池(CR2032など)**が使われてる。
つまり、CMOSクリアとは?
「ブートおかしいから、一回電池抜いて初期化しとくか」
ボタン電池を抜いてから電源ボタンを連打すると、トランジスタが放電されて初期化される。
最近のマザボは全部がRAMってわけでもなく、一部はFlash ROMで保持されてるけど、
それでも「おまじない」的に使われ続けているのがCMOSクリア。
昔からの名残で、「BIOS設定保存領域」=CMOS って呼び続けられているわけ。
で、結果どうなったかというと?
意味なかった
知ってた!!!知ってたけども!!!
...私は……楽をしたかった!!!!
M.2 SSDの確認
次に疑ったのはストレージ。
M.2 SSDをUSB化できるケースにぶっ挿して、他のPCで読み込めるかをチェック。
結果:
- データは全部残ってた
- 別デバイスから普通にブートできた
つまり、SSDは無罪。
「メモリコントローラが死んでたらブートすらできんから……(1敗)」
小まとめ:
BIOS → 死亡疑惑濃厚
CMOS → お祓いしても効果なし
SSD → 生存確認済み
残る道はひとつ……
ROMライター、出番だ。
これからやること
いよいよ次のフェーズ――
ROMライター、出陣。
クソ雑魚駆け出し赤ちゃんが、なぜかROM焼きに手を出そうとしています。
誰か止めてくれ
BIOSチップの型番特定は済んでいるので、あとは読み出して書き戻すだけ……
のはずなんだけど、ROMライターって意外と罠が多い。
特にクリップミスや電圧設定ミスで、BIOSチップを物理的に壊す可能性もあるので、
本当にやる場合は自己責任でお願いします。
私も一歩間違えば焼き殺しかねないので、記事にできるようがんばります……
誤りや指摘があればめっちゃありがたいです!!!