はじめに
ラズパイの消費電力を「slee-Pi3」を使った間欠動作でどのくらい削減できるか検証します。
結論
1日当たりの消費電力量は、8分待機の間欠動作(1サイクル10分)で約79%削減、58分待機の間欠動作(1サイクル60分)で約97%削減されます。
詳細は、以下参照ください。
slee-Pi3はラズパイ専用の電源管理/死活監視モジュールモジュールで、以下のようにラズパイにスタックして使用します。
slee-Pi3は搭載RTC(Real Time Clock)によるラズパイの日時指定起動ができるため、間欠動作(定期的なON/OFF動作)により低消費電力での運用ができます。
例えば、「1時間に1回のペースでログ収集する」等の定時的な運用の場合には非常に効果があります。
計測器
zmart デジタル電圧電流電力量計のワットチェッカーを使用して計測します。
0.01Whから積算電力値を計測できます。
消費電力の計測
消費電力の変化を、以下の簡易的に以下のように切り分けて考えます。
- 起動時
- 通常稼働時(電源ONしているだけでアプリ等は起動していない状態)
- アプリ実行時
- シャットダウン時
説明
・起動からシャットダウンするまでの時系列と消費電力を簡易的に図示しています。
※実際の消費電力はこんなきれいな長方形にはなりません。
・起動時とシャットダウン時は消費電力は大きいですが、時間が短いため消費電力量(消費電力と時間の積)としては少ないです。
・アプリ実行時はCPU負荷が高くなるので、通常稼働時よりも消費電力量が多くなります。
次章以降で「起動時」「通常稼働時」「シャットダウン時」をもとに間欠動作での消費電力量を概算してみます。
※アプリ実行時も含めた消費電力については別記事にて紹介予定です!
「起動時」「通常稼働時」「シャットダウン時」の消費電力量を測定
ワットチェッカーを使って計測した結果は以下のとおりです。
ラズベリーパイは、RaspberryPi 3B、OSはRaspberryPi OSを使用しています。
また電源は12VのACアダプタを使用しています(slee-Pi3経由でラズパイに供給)
|ラズパイの状況|消費電力量|
| --- | --- | --- |---|
|起動時|0.04Wh|
|通常稼働時(1分あたり)|0.045Wh|
|シャットダウン時|0.01Wh|
間欠動作時の消費電力量について
「起動時・通常稼働時・シャットダウン時」とさらにslee-Pi3の機能によって実現できる「待機時(ラズパイスリープ時)」の状態を組み合わせて「1サイクル」とし、1サイクルあたりの消費電力量を計算します。今回、起動時とシャットダウン時の所要時間は合わせて約1分くらいでした。
待機時の電力量ですが、ラズパイ停止状態(電源OFF状態)でslee-Pi3+ラズパイに流れる消費電流は、何と10μA以下です。電流が小さすぎてワットチェッカーにて電力量の計測できなかったため便宜的に消費電流を10μAとし、待機時消費電力を120μW(1分あたり消費電力量0.000002Wh)として考えます。
参考:https://github.com/mechatrax/slee-pi3/wiki/ハードウェア#2-仕様
間欠動作なしの連続稼働
24時間(1440分)の消費電力量 = 1分あたり消費電力量 × 1440分
= 0.045Wh × 1440分 = 64.8Wh
1分通常稼働と8分待機での間欠動作
1サイクル(起動 + 1分通常稼働 + シャットダウン + 8分待機)の消費電力量は
消費電力量:0.04Wh + 0.045Wh + 0.01Wh + 0.000002Wh × 8 = 0.0950Wh
※起動時間とシャットダウン時間の合計は1分としてます
24時間(144サイクル)の消費電力量:0.0950Wh × 144 = 13.6802Wh
1分通常稼働と58分待機での間欠動作
1サイクル(起動 + 1分通常稼働 + シャットダウン + 58分待機)の消費電力量は
消費電力量:0.04Wh + 0.045Wh + 0.01Wh + 0.000002Wh × 58 = 0.0951Wh
24時間(24サイクル)の消費電力量:0.0951Wh × 24 = 2.2827Wh
#間欠動作時の消費電力の効果
間欠動作は待機時間が長ければ長いほど効果が見込めます。ラズパイの連続稼働が不要で、バッテリーなどでの運用が必要な方の参考になれば幸いです。
#変更履歴
間欠動作時における1分あたりの待機時消費電力の計算が間違っておりました。。。
以前は0.0072Whとしておりましたが、現状の0.000002Whが正しい情報です。
誤った情報を発信してしまい大変申し訳ありませんでした。。。