ヴァル研究所 Advent Calendar 2017の7日目は、下記のIoTハンズオンを設計したときの裏話を書こうと思います。
IoTで母乳育児? MESHボタンで授乳をカウント&シェアするイベントレポート
https://comodo.life/everyday/article-374.html
##忙しい方向け今北産業
- LINEとIFTTTの認証時には「LINEに設定してあるメールアドレスとパスワード」が必要
- 日常的には必要性が無いためか、LINEユーザーの3割(体感値です)はメールアドレスを設定していない
- LINEを使うハンズオンの参加者には「メールアドレスは設定してあるか?」「パスワードは覚えているか?」を事前に確認すること
##きっかけ
昨年のアドベントカレンダーに書いたような一連の活動で、何故か社内の一部で「MESHとIFTTTに詳しい人」のイメージが付いていました。
そんな折で、とあるクライアントより「IoTハンズオンイベントを企画したい」との依頼が舞い込み、ハンズオンの設計、ファシリテーター(進行役)を担当することになりました。
まず設計としてやったことは下記の2つでした。
- クライアントの考える「IoTでやりたい事」をどうやって実現するかというIoTの仕組みの設計
- エンジニアではない「一般的なリテラシー」の参加者でもできるIoTハンズオンイベントの設計
##IoTの仕組みの設計
クライアントは「パパの授乳」を促進するきっかけとしてIoTを活用したいと考えていました。
必要なのは、
- パパ、ママお互いの授乳の様子(授乳したこと)が離れていても分かる**「コミュニケーション手段としてのIoT」**
- 10日間のチャレンジ期間中、各家庭での状況が分かるようにする**「可視化手段としてのIoT」**
と考えたので、MESHの「ボタンタグ」を使って
- 1回押すと「ママが授乳したよ」という内容のLINEメッセージをパパママお互いのスマホに送信
- カチカチと2回押すと「パパが授乳してくれたよ。ありがとう」という内容のLINEメッセージをパパママお互いのスマホに送信&Google Drive上のデータベースにも記録
- データベースに記録された「パパが授乳した回数」は特設サイトで各家庭ごとに可視化される
という仕組みを考えました。
メッセージの送信先はいろいろと選択肢があったのですが、
- パパが仕事で不在でもメッセージを受け取れる(MESHからの通知を受けられるのはBluetoothの届く範囲内のみ)
- このメッセージのやりとりを専用グループに送ることにすれば、あとからタイムラインを遡って振り返ったりできる
- 普段から夫婦がコミュニケーションに使っているツールをそのまま使える方がいい
などの観点からLINEメッセージを使うことにしました(この選択が後の悲劇を招くのですがw)
##IoTハンズオンイベントの設計
ハンズオン前に最も警戒していたのは「リテラシーの差によって各参加者間の足並みが揃わないこと」だったので、対策として手順を一つ一つ解説しながら進めて進行側で作業ペースをコントロールすることを考えました。
スクショを撮っては貼り撮っては貼りで全ての手順を載せた資料は50ページ超にもなり、リハーサルも実施して準備は万全かに見えました。
※手順を一つ一つキャプチャして進行資料を作成##ハンズオン当日に潜む悪魔
当日のイベントレポートには和気あいあいと進めた様子が書かれていますが実際はかなり大変でした。
一番問題になったのは**「LINEとIFTTTの認証に手間取る参加者が出たこと」**で、この認証時にLINEに紐付けたメールアドレスとパスワードでログインすることが必要だったのですがここが盲点でした。
LINEアカウントにメールアドレスを紐付けている参加者ばかりではなかったことと、LINEを利用する中ではほとんど使わないためかパスワードを覚えてない参加者がいた事で、進行に大きな影響が出てしまいました。
確かに、LINEは電話番号やSNS連携で利用登録ができるため、機種変更時にアカウントを引き継ぐ目的以外ではメールアドレスを設定する必要性はないので、LINEを使ったハンズオン参加者にはメールアドレス設定を事前にお願いしておく必要がありそうです。
##まとめ
- LINEユーザーはメルアドとパスワードを設定しているものだと思いこんでいたせいで、イベント当日に詰みました
- 「ノンプログラミングで誰でもできる」というツールの場合でも、前提がエンジニア目線であることに意外と気付けない
- エンジニアではないユーザーの参加するハンズオンは、前提が合ってないことがあるので特に気をつけよう