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UiPathでのテスト自動化のステップと実践 その1(開発編)

Last updated at Posted at 2025-07-28

UiPathは、一般にRPAによるビジネスプロセス自動化ツールとして広く知られていますが、近年は 「エンタープライズ自動化プラットフォーム」へと進化を遂げ、強力な「テスト自動化」 機能も提供しています。

このテスト自動化は、テスト管理を担うTest Manager、テストを開発するStudio、テストを実行するTest Robot、実行基盤であるOrchestratorを組み合わせたUiPath Test Suiteによって実現されます。

さらに、UiPath Test Cloudは、アプリケーション テスター向けに設計されたクラウド サービスです。自前でテスト環境を用意することなく、必要なときにいつでもクラウド上でテストを実行できる環境を提供します。

UiPath Test Cloudの詳細情報は、以下のページよりご参照ください。

UiPath Test Cloud の全体構成

UiPath Test Cloud でのテスト実行に直接関係するツールは、UiPath の 6 つのツール (Studio、Orchestrator、Robot、Test Manager、Autopilot、Agents) で構成されます。

名前 説明
Studio アプリケーション テストとオートメーション テストの両方を含む、テスト オートメーションの開発用の IDE。ローコードまたはフルコードアプローチでテスト ケースを作成可能。
Orchestrator Test Manager または CI/CD パイプラインを使用してテストをパブリッシュおよび実行するツール。
Test Robot Orchestrator に接続し、テストを含むオートメーションを実行するツール。
Test Manager テスト管理ツール。ALM(Application Lifecycle Management)との連携機能を提供。
Autopilot AI を活用したタスク自動化エクスペリエンス。Autopilo for Testers でテスター向け機能を提供。
Agents 生成AIを活用した エージェンティック テスト オートメーション を実現。ローコード/コード化されたエージェントを Test Cloud で運用可能。

詳細に関しては、以下のページをご参照ください。

本記事の概要

この記事では、UiPath Test Cloudを使ったテスト自動化の基礎を、ハンズオン形式で分かりやすく解説します。

まずは、UiPathのテスト自動化がどのような全体構成で成り立っているかを理解し、各ツールの役割を掴みます。

次に、開発ツールであるUiPath Studioを使い、具体的なテストケースを作成する手順をステップ・バイ・ステップで学びます。

最後に、作成したテストケースを管理サーバーであるOrchestratorへパブリッシュし、ジョブとして実行・管理するまでの一連の流れを、実際に手を動かしながら体験します。

image.png

本記事を読み終える頃には、UiPathによるテスト自動化の基本的なサイクルを、一人で実践できる知識が身についているはずです。

本記事で利用する製品は、Communityプランでも利用可能です。詳細は以下のページの[プランの内訳]をご参照ください。
ライセンス プランのフレームワーク

また、ご参考までに、本記事でのワークフローと関連ファイルは、こちら よりダウンロードしてください。

UiPath Studio を使ったテストケースの作成

これからUiPath Studioを使用して、UiBankというデモサイトというデモサイト上でローン申請機能のテストケースを作成します。

具体的には、年齢・年収・ローン申請額といった申請内容に基づき、UiBankのウェブシステムが返すローン申請結果が正しいかどうかを検証します。

  • ケース1:承認
    image.png

  • ケース2:拒否
    image.png

テストケースの作成

UiPath Studioを起動し、新しいプロジェクトを作成する際には、[テスト オートメーション]を選択します。

image.png

本記事では、作成手順をステップ・バイ・ステップで解説するため、テストケースをゼロから構築していきます。もちろん、既存のRPAプロジェクトを基にテストケースを作成することも可能です。

ローン申請自動化ワークフローの作成

開いているテストオートメーションプロジェクトに、UiBank_CreateLoanという名前のワークフローを追加します。

このワークフローでは、[Loan application]画面に対して、入力引数で受け取った情報(メールアドレス、年齢など)を入力し、[Submit Loan Application]ボタンをクリックします。その後、表示された申請結果を出力引数に保存します。

  • 引数(入力・出力)
    image.png

  • 作成済のワークフロー(*クリックして別ページで画像を拡大して確認できます)
    image.png

ローン申請テストケースの作成

作成した[UiBank_CreateLoan.xaml]を右クリックして、[テストケースを作成]をクリックしてください。
以下の画面で、一旦全ての設定をデフォルトのままで作成をしてください。
image.png

作成したテストケースで外部のテストデータを受け取るために、以下のような入力引数を定義します。

image.png

該当テストケースでは、「...When」には、ローン申請自動化ワークフローの呼び出しをします。「... Then」には、ローン申請の実行結果と期待される結果を比較し、検証を行います。

以下はその構成のイメージです。
image.png

  • [UiBank_CreateLoan.xaml] の呼び出しでは、テストケースで定義された引数を使用してローン申請を行い、その結果(out_loanStatus)を 引数 [Result_LoanStatus] に格納します。

[ディクショナリ内の6個の項目] の詳細は以下の通りです。
image.png

  • [Verify Expression with Operator] アクティビティでは、実際の申請結果(Result_LoanStatus) と 期待される結果(LoanStatus) を比較して、結果の正当性を検証します。

Studioでテストケースの実行

このテストケースで用いるデータは、以下の引数に設定されている既定値となります。ローン申請の期待される結果は [Approved] です。

image.png

ワークフローの実行時と同様に、[TestCase_UiBank_CreateLoan.xaml] というテストケースを選択して実行してください。実行結果は、出力欄に表示されます。

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補足説明:検証アクティビティ

希望した動作や希望したデータかどうかを検証するために、以下の検証アクティビティが使えます。

image.png

これらのアクティビティは、テストケースワークフローの 「Thenブロック」 内に配置し、テスト実行結果の検証に利用します。

この種のアクティビティでエラーが発生しても、ワークフローの実行は停止せず、失敗した内容が[出力] パネルに記録される点が特徴です。

詳細については、以下のオフィシャルページもご参照ください。

外部テストデータを活用した繰り返しテスト

作成したテストケースは、外部のテストデータを追加することで、繰り返し実行することが可能です。

今回は、以下のテストデータ(UiBankLoanApplication_RandomData.xlsx)を準備し、テストケースに追加してみましょう。

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  • [EmailID] から [Age] までのカラムは、UiBank のローン申請画面に入力するためのものです。
  • [LoanStatus] カラムは、上記の入力データに対する期待される結果(期待値)が記載されています。

テストケースを選択して右クリックし、表示されるメニューから [テスト データを追加] をクリックしてください。

image.png

データソースは複数のパターンから選択できますが、今回は [ファイル] を指定して、先ほど準備したテストデータ(UiBankLoanApplication_RandomData.xlsx)をインポートしていきましょう。

image.png

インポートが成功したら、右側の [テスト エクスプローラー]パネル を開いてみましょう。

次に、[テスト エクスプローラー]左上にある実行アイコンから [すべてのテストを実行] を選択して、テストを開始してください。

image.png

テストの実行が完了するまでしばらくお待ちいただくと、テスト結果が表示されます。

この結果画面では、個々のテストの成否はもちろん、どのテストデータで失敗したのかも詳細に確認できます

これにより、問題の特定とデバッグを効率的に進めることが可能です。

テストケースをOrchestratorへのパブリッシュ

次は、作成したテストオートメーションは、Orchestratorにパブリッシュしましょう。Studioでのパブリッシュ操作は通常のワークフローのパブリッシュと同じなので、ここでは詳細な説明は割愛します。

テストケースとテストセットの作成

パブリッシュ後、Orchestratorのフォルダを選択し、[テスト]タブの [テストケース] から、パブリッシュしたテストケースを確認できます。

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テストケースは単体で実行することも可能ですが、複数のテストケースをまとめて実行する際は、テストセットを利用するのがおすすめです。テストセットとは、特定の目的に応じて複数のテストケースをグループ化したものです。

以下の画面より関連するテストケースを選択し、[テスト セットを追加] をクリックしてください。。

image.png

テストセットの設定画面では、[カバレージの計算を有効化] を「はい」に設定しましょう。また、必要に応じて引数の既定値もここで再設定することができます。

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テストセットの実行

作成したテストセットを実行しましょう。

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実行後、[テスト実行]画面よりその結果を確認できます。

image.png

詳細画面からは、実行時のスクリーンショットや、実行後のカバレージ結果も確認することが可能です。

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定期的なテスト実行:テストスケジュール機能

手動でテストを実行するだけでなく、UiPathではテストセットを特定の時間に自動で実行させることができます。これを実現するのがテストスケジュール機能です。

この機能を使えば、「毎晩深夜2時にリグレッションテストを実行する」「毎週月曜の朝にシステム全体のスモークテストを行う」といった、定期的なテストの実行を完全に自動化できます。これにより、日々の開発で発生した不具合(リグレッション)を早期に発見し、アプリケーションの品質を常に高く保つことが可能になります。

設定はOrchestratorから行い、実行したいテストセット、実行タイミング(毎日、毎週、CRON式など)、そして使用するロボットを指定するだけで、後はOrchestratorが自動でテストを起動してくれます。

image.png

最後に

これまでの記事では、UiPathにおけるテスト自動化の基礎から実践までを解説しました。

具体的には、テストケースの作成方法から始まり、検証アクティビティを使ったデータ検証、そして外部テストデータを活用した繰り返し実行の方法、さらにはOrchestratorへのパブリッシュとテストセットの作成・実行までをご紹介しました。

次回の記事では、今回学んだテスト実行をさらに高度に管理するためのツール、UiPath Test Managerについてご紹介します。Test Managerを活用することで、テスト計画の立案から実行、結果の追跡、不具合管理までを一元的に行うことができ、テストプロセス全体の可視性と効率を大幅に向上させることが可能です。

どうぞお楽しみに!

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