この記事の概要
この記事では、応用情報技術者試験のストラテジ分野に含まれる、
- 委任(契約)
- 準委任(契約)
の 2 つについて、それぞれの違いや意味をまとめ、最後に過去問を 1 つ解いて確認とする。
補足
あくまで応用情報技術者試験プラスアルファ程度のものを意識してまとめることにしたので、法律的に厳密な表現ができていない可能性もあるが、ご理解いただきたいです。
調べていて苦戦した点
法律の知識が必要になってくる分野なので、法律用語に苦戦することがあった。ただ、一つずつ理解し、メモしていく中で違いを把握し、問題は解けるようになった。
委任、準委任とは
その前に...法律効果・法律行為とは
法律効果とは、ルールとして存在する法律が持つ一定の効力であり、法律で規定されている一定の条件(法律要件)を満たしたときにその効力を発揮する。法律効果が生じることを、「法律が適用される」と表現することもできる。例として、「xxx をした人は o 年の懲役に処する」といった法律があるが、この法律において 法律要件は、「xxx をした」ということであり、法律効果は、「o 年懲役」ということになる。
遊戯王のカードで例えるとわかりやすいと思うので例えてみると、
- 法律要件:カードの発動条件
- 法律効果:カードの効果の内容
のようになる。
法律行為とは、意思表示によって構成される、一定の法律効果を発生させる行為、別の言い方では、私法上の権利・義務を発生させる行為を指す。具体的には、「契約」 が挙げられる。契約が成立すると、契約内容に沿った権利・義務が帰属し、契約は正に法律行為であるといえるだろう。
最後に必要な用語として紹介するのは、債務不履行についてである。債務不履行とは上述したような、契約によって生じた契約義務を果たさないことである。具体的には「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」の三つがあるが、ここまでの理解は応用情報技術者試験の合格には必要がなさそうなので、これ以上深掘りをすることはやめる。
重要なことは、債務不履行では、損害賠償を請求されてしまうということである。つまり、契約義務を果たさないと何らかのマイナスの影響を受けてしまうことになる。
以上をまとめると
- 法律行為では、権利や義務が発生すること
-
契約は法律行為であること
- 委任契約,準委任契約は全て法律行為
- 契約義務を果たさなければ、債務不履行となり、損害賠償を請求されること
ということになる。
委任契約・準委任契約とは
委任契約、準委任契約はここまでで説明した用語で述べることができる。共通点と相違点についてそれぞれ述べていく。
両者に共通していることは以下のようになる。
- 契約の一種であり、契約義務が生じる
- 決められた期間に定められた業務を誠実にやれば、成果が発注者の期待に及ばなくても債務不履行となることはない
- 請負契約では成果が不十分だと債務不履行になり、損害賠償が請求される
- 瑕疵担保責任がない
- 請負契約では、瑕疵担保責任が生じる
続いて、両者の相違点について述べる。
- 委任契約では、法律行為を委託するのに対し、
- 準委任契約では、法律行為でない行為を委託する。
ここで、再度法律行為という言葉が出てくるのがややこしくなるのだが、契約の説明のときに出てきた法律行為とは一旦関係ないので、ここで再度説明する。
少し曖昧になるが、委任契約において委託する法律行為とは、弁護士や医師など、法律に関わる行為を主とする行為を委託する場合は、委任契約になり、その他の事務作業などを委託する場合は準委任契約を結ぶという理解で差し支えはないと思われる。
ここまでの内容は、次の表のようにまとめることができる。
共通点 | 相違点 |
---|---|
契約行為であり、義務が生じる。 瑕疵担保責任がない 誠実にやれば成果によらず債務不履行にならない |
法律行為を委託するかどうか |
委任契約 | 準委任契約 | |
---|---|---|
例 | 弁護士に訴訟行為代理を委託 税理士に確定申告を委託 |
事務スタッフとしての契約 ソフトウェア開発における要件定義の委託 セミナーの委託 |
注意
経済産業省の「モデル契約書」によれば、ウォーターフォール型開発では、各工程(要件定義、システム外部設計、システム内部設計・ソフトウェア設計・プログラミング、システムテスト、受入・導入支援)において準委任契約と請負契約のどちらを行うのが良いか、推奨がされているので参考にされたい。実際に過去問でも出ている。
まとめ
委任契約と準委任契約は比較的成果に対しての責任が(請負契約より)緩い契約であることがわかった。契約である以上、権利・義務が発生し、債務不履行となるような契約も存在する。
両者の違いとしては、委任契約が法律行為の遂行を義務とするのに対し、準委任契約では非法律行為の遂行を義務とする。ソフトウェア開発において、委任契約が結ばれることはほとんどなく、大体が準委任契約か請負契約に該当する。
過去問
実際に過去問をやってみる!
ぜひ本記事を読み返したり調べ物をしたりして、正解に自力でたどり着いてみてください!
答えは
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アになります!
解説:
ア:準委任契約は完成義務はないので正しい。
イ:リース契約(必要な備品のレンタル)
ウ:派遣契約である。派遣社員は派遣先の指示に従って行動する。
エ:請負契約である。請負契約では、提供するものは労働力ではなく、仕事の完成形、いわば労働成果物である。
最後に
初めての記事であったが、いきなりから非エンジニアの内容になってしまったことを後悔している。本来はバリバリにコーディングや設計などをしているので今後にご期待ください、、。
実際に調べていく中で、理系学生だから仕方はないが、知らない法律用語が多く存在することに気が付き、学びが多く、楽しくなった。そのため、ページが長くなってしまった、、。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました!!