Claude CodeのClaude.mdファイル完全ガイド(2025年7月時点)
最終更新: 2025年7月16日
はじめに
Claude Codeは、Anthropicが開発したターミナル上で動作するAIコーディングアシスタントです。この記事では、Claude Codeの中核機能である「Claude.mdファイルシステム」について詳しく解説します。
重要な注意点: Claude.mdファイルは会話の記憶を保持しません。これは多くのユーザーが誤解しやすい点です。
Claude.mdファイルとは
Claude.mdファイルは、Claude Codeが起動時に自動的に読み込む設定・コンテキストファイルです。プロジェクト固有の情報、コーディング規約、個人設定などをMarkdown形式で記述できます。
基本的な仕組み
プロジェクト起動時
↓
Claude.mdファイルを自動検索・読み込み
↓
AIアシスタントにコンテキストとして提供
↓
そのセッション中のみ有効
3階層メモリシステム
Claude Codeは以下の3つのレベルでメモリファイルを管理します:
レベル | ファイル名 | 場所 | 用途 | Git管理 |
---|---|---|---|---|
プロジェクトメモリ | ./CLAUDE.md |
プロジェクトルート | チーム共有の規約・アーキテクチャ | ✅ 推奨 |
ローカルプロジェクトメモリ | ./CLAUDE.local.md |
プロジェクトディレクトリ | 個人的なプロジェクト設定 | ❌ .gitignore |
ユーザーメモリ | ~/.claude/CLAUDE.md |
ホームディレクトリ | 全プロジェクト共通の個人設定 | ❌ 個人用 |
優先順位と読み込み順序
インポート機能
Claude.mdファイルは、@path/to/file
記法で他のファイルを取り込むことができます。
基本的なインポート例
# プロジェクト設定
@README.md
@docs/architecture.md
@~/.claude/my-preferences.md
## コーディング規約
- インデントは2スペース
- 関数名はcamelCase
インポートの制限事項
項目 | 制限 |
---|---|
最大深度 | 5レベルまで |
パス形式 | 相対パス・絶対パス両方可能 |
再帰インポート | 可能(深度制限内) |
コードブロック内 | インポート不可 |
❌ 重要な制限:会話の持続性がない
Claude.mdファイルができること vs できないこと
✅ できること | ❌ できないこと |
---|---|
プロジェクト設定の保存 | 過去の会話内容の記憶 |
コーディング規約の共有 | セッション間での会話履歴 |
チーム共通ルールの管理 | 前回の作業内容の自動継承 |
個人設定の永続化 | 会話コンテキストの継続 |
セッションごとの動作
セッション1:
起動 → Claude.md読み込み → 作業 → 終了 → **会話履歴削除**
セッション2:
起動 → Claude.md読み込み → **前回の会話は記憶なし** → 新しい作業
実用的な使い方
/memory
コマンド
# メモリファイルをエディタで開く
claude /memory
# 特定のメモリを追加
claude # この内容をメモリに追加したい
プロジェクト用Claude.mdファイルの例
# MyApp プロジェクト設定
## アーキテクチャ
- フロントエンド: React + TypeScript
- バックエンド: Node.js + Express
- データベース: PostgreSQL
## コーディング規約
- ESLint + Prettier使用
- インデント: 2スペース
- ファイル命名: kebab-case
## 作業フロー
1. feature/xxx ブランチで開発
2. プルリクエスト作成
3. レビュー後マージ
## よく使うコマンド
```bash
npm run dev # 開発サーバー起動
npm run test # テスト実行
npm run build # ビルド
注意事項
- APIキーは .env.local に配置
- テストデータは test/ ディレクトリ
---
## ベストプラクティス
### 📝 効果的な記述方法
| 良い例 | 悪い例 |
|--------|--------|
| `インデントは2スペース` | `適切にフォーマット` |
| `React関数コンポーネントを使用` | `Reactを使う` |
| `エラーハンドリングでtry-catch必須` | `エラー処理をしっかり` |
### 🎯 ファイル構成の推奨事項
project/
├── CLAUDE.md # チーム共有設定
├── CLAUDE.local.md # 個人設定(gitignore)
├── docs/
│ ├── coding-style.md # インポート用詳細規約
│ └── deployment.md # デプロイ手順
└── .gitignore # CLAUDE.local.mdを除外
---
## 技術的制約とパフォーマンス
### コンテキストウィンドウへの影響
Claude.mdファイルのサイズは、AIの利用可能なトークン数に直接影響します。
| ファイルサイズ | 推奨度 | 理由 |
|----------------|--------|------|
| < 1KB | ✅ 最適 | トークン消費minimal |
| 1-5KB | ⚠️ 注意 | 適度な消費 |
| > 5KB | ❌ 非推奨 | 作業領域を圧迫 |
### パフォーマンス最適化のコツ
1. **簡潔な記述**: 冗長な説明を避ける
2. **階層化**: 詳細は別ファイルにインポート
3. **定期的な見直し**: 不要な情報の削除
4. **テンプレート化**: 共通部分の再利用
---
## コミュニティソリューション
### 現在利用可能な回避策
| ソリューション | 概要 | 利用難易度 |
|----------------|------|------------|
| **MCPメモリサーバー** | 外部メモリシステム | 中級者向け |
| **ブートストラップツール** | Claude.md自動生成 | 初心者向け |
| **テンプレートライブラリ** | 設定ファイル集 | 初心者向け |
| **マルチエージェントシステム** | 複雑な記憶管理 | 上級者向け |
---
## まとめ
### Claude.mdファイルの本質
Claude.mdファイルは**「プロジェクト憲法」**として機能し、AIアシスタントに一貫したコンテキストを提供します。ただし、**会話の記憶機能ではない**ことを理解することが重要です。
### 成功のためのポイント
✅ **実行すべきこと**
- プロジェクト固有のルールを明文化
- チームで共有可能な設定を作成
- 定期的なメンテナンス
❌ **期待してはいけないこと**
- セッション間での会話継続
- 自動的な学習機能
- 過去の作業履歴の保持
### 今後の展望
Claude Codeは研究プレビューから正式版に移行しましたが、セッション持続性の問題は未解決です。コミュニティベースの解決策が活発に開発されており、今後のアップデートにも期待が集まっています。
---
*この記事は2025年7月16日時点の情報に基づいています。Claude Codeの仕様は今後変更される可能性があります。*
## 参考リンク
- [Claude Code 公式ドキュメント](https://docs.anthropic.com/en/docs/claude-code/memory)
- [Claude Code GitHub リポジトリ](https://github.com/anthropics/claude-code)
- [Claude 4 リリース情報](https://www.anthropic.com/news/claude-4)