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技術書典に初めてサークル参加するまで

Last updated at Posted at 2019-04-26

2019年4月14日に開催された「技術書典6」に初めてサークル参加(出展)しました。
技術書はおろか、同人誌作成自体が初めてだったので、後学のためにスケジュールや実際に行った作業、反省点といったことから、かかった費用や売上まで公開できるものはすべてさらけ出そうと思います。

技術書典では以下の本を販売しました。
Image from iOS.png

BOOTHでも販売していますので、応援して頂ければ幸いです。
https://usagi-tech.booth.pm/

技術書典とは

技術書典とは簡単に言えば技術書オンリーの同人誌即売会です。
以下、技術書典公式より引用。

新しい技術に出会えるお祭りです。
技術書典は、いろんな技術の普及を手伝いたいとの想いではじまりました。
技術書を中心として出展者はノウハウを詰め込み、来場者はこの場にしかないおもしろい技術書をさがし求める、技術に関わる人のための場として『技術書典』を開催します。

IMG_4832.JPG

スケジュール

技術書典6当日までのスケジュールをログをもとにまとめました。
印刷所は日光企画さんを利用しました。

日付 出来事
11/01 サークル参加を決める
11/06 ざっくりスケジュールと分担を決める
12/18 サンプルアプリ完成、執筆に入る
01/06 応募開始
01/08 サークル、書籍名を決める
01/09 サークルカット、表紙デザイン依頼
01/21 サークルカット、表紙デザイン完成
01/29 応募完了
01/31 応募締め切り&カタログ掲載用のサークルカット締め切り
02/05 当落発表
02/12 参加費入金締め切り
02/20 サークル配置発表
02/22 BOOTHショップ開設
02/23 最新バージョン追随終了
03/11 初稿PDF完成
03/12 完成
03/13 入稿
03/17 一般向けサイトオープン
03/19 BOOTHにDLカード用商品登録
03/20 電子版完成
04/02 DLカード入稿
04/10 見本誌の電子提出締め切り
04/12 正誤表作成、修正版PDF完成
04/14 技術書典6当日

※各入稿締め切りはこちらを参照ください。

11/06: ざっくりスケジュールと分担を決める

今回3人で共著したため、誰がどこを担当するのかと大まかなスケジュールを立てました。
スケジュール感としては、
年内: サンプルアプリ作成
2月中: 執筆完了
3月: 校正、入稿

くらいざっくりと決めました。

12/18: サンプルアプリ完成、執筆に入る

本の中で解説するサンプルアプリが一通り完成したので執筆作業に入りました。
この日から新しいバージョンがリリースされない限りはひたすら書き続けました。
今回はRe:Viewを使用せず、デザイナーさんに組版を依頼しました。組版にはAdobe InDesignを使用してます。
原稿はGitHubで管理し、フォーマットはマークダウンで統一しました。

01/06: 応募開始 〜 01/31: 応募終了

技術書典6から応募締め切りと同時にカタログ掲載用のモノクロ版サークルカットも締め切りとなったため、応募締め切り日までにサークルカットを用意する必要がありました(web掲載用はこの日以降も差し替え可能)。
費用の都合上、サークルカットと表紙で同じデザインを使用したかったため、サークル名と書籍名を決めた上で製作を依頼しました。

※サークルカットとは、サークルリストやカタログに掲載されるサムネイル的な画像です。
サークルカットのテンプレートはこちら

番外編: サークルカットができるまで

STEP1: キャラクターのラフからイメージに近いものを選ぶ

サークル名「うさぎてっく」に合ったうさぎのキャラクターを複数用意してもらい、その中からイメージに近いものを選びました。
Image from iOS.jpg

STEP2: 服の色や顔の感じ等細かな部分を選ぶ

服の形や色、目やヒゲの有無等、キャラクターの細かな部分を詰めました。
Image from iOS copy.png

STEP3: キャラクターのサイズ、書籍名の位置関係、背景等を選ぶ

実際にサークルカットのテンプレートに当てはめて、

  • キャラクターのサイズ
  • サークル名のフォント
  • タイトルの色、装飾
  • 背景色

を選びました。
Image from iOS (3).png

STEP4: カラー版のサークルカットからモノクロ版を用意する

完成したカラー版のサークルカットをそのままモノクロにした場合、黒が濃すぎる部分が出てきてしまったため 色調を調整してもらいました。

カラー版 モノクロ版
circle_cut.png Image from iOS (4).png

02/05: 当落発表 〜 02/12: 参加費入金締め切り

公式サイトのマイページから抽選結果を確認します。
技術書典6は過去最高の申し込み数で、落選サークルも多数あったようです。

マイページ上の当落状況が 入金待ち となっていた場合は当選ですので、速やかに参加費を入金しましょう。
未入金による落選は次回以降の参加にペナルティがあるだけでなく、別サークルさんが参加できたかもしれない枠を無駄にしてしまうので、絶対に止めましょう。
入金が確認でき次第、当落状況が 当選 に変わります。
入金はPayPalかStripeで行います。

02/20: サークル配置発表

サークルの配置が決定します。
気が向いたら、Twitterの表示名やサークルカットに配置番号を入れましょう。

02/23: 最新バージョン追随終了 〜 03/12: 完成

技術書典当日まで新しいバージョンが出る可能性はあるのですが入稿の都合上、期限を決めなければなりません。
入稿日を3/13と決めていたので、新バージョンでの検証と原稿の修正にかかる時間を考慮して2/23時点でのバージョンにしました。

すべてを書き上げた後、校正をします。
校正では、

  • 誤字脱字
  • 表記揺れ
  • わかりにくい表現

を中心にチェックしました。
校正はPCでもいいですが、紙に印刷して赤ペンを入れていくのをおすすめします。

本文の仕上げで最も重要で難しい作業がページ数の調整です。
電子版の場合は気にすることなく何ページでも問題ないのですが、書籍にする場合は印刷の都合上4の倍数ページに調整する必要があります。
1ページ足りないくらいであれば最後に白紙ページを入れればいいのですが、そうでない場合は4の倍数ページになるように増やすか削るかしなければなりません。

すべての原稿が書き上がったのでデザイナーさんに渡し、仕上げてもらいました。
事前にレイアウトのイメージを伝えてすり合わせを行っていたのと、原稿の途中経過分を3回くらいに分けて共有していたので、2日くらいで差分修正と全体的な調整を行ってくれました。

番外編: 表紙データとページ数

表紙データとは正確には「表紙+背表紙+裏表紙」が合わさったデータのことです。
そして、当然ですが本文のページ数によって背表紙の幅が変わります。
なので、ページ数が確定しないと表紙データを完成させることができません。

自分で表紙データも作成する場合はそこまで気にする必要はありませんが、デザイナーさんに依頼する場合は早めにページ数を確定させる必要があります。

背表紙の幅の計算方法は、
表紙込みページ数 * 本文用紙の厚さ
です。
表紙込みページ数とは、本文のページ数に加えて「表紙+表紙裏+裏表紙+裏表紙裏」の4ページを足したページ数のことです。
B5hyousi_ver8.png

番外編: 組版のこだわり

組版を依頼するに際して、いくつかのこだわりに対応してもらいました。

小見出し

章中の小見出しを「1.1.1」ではなく、アイコンにしてもらいました。
さらに、それだけではなく、内容がKotlin/NativeなのかAndroidなのかiOSなのかでアイコンも変えてもらっています。

Kotlin/Native
Screen Shot 2019-04-25 at 17.16.57.png

Android
Screen Shot 2019-04-25 at 17.17.13.png

iOS
Screen Shot 2019-04-25 at 17.17.24.png

コードブロック

本文に登場するソースコードにもちょっとしたこだわりがあります。
よく見る形式としては、背景に薄いグレーを引いたり、「▼リスト1: 〇〇」のような書き方があります。
しかし、今回はそれらの形式にはしませんでした。
レイアウトを検討する上で重視したのは、

  • コードブロックを見ただけでどのファイルかが分かる
  • コードとファイル名が改ページでバラバラにならない

この2点で、それを満たすものとして以下のレイアウトにしました。
Screen Shot 2019-04-25 at 17.21.28.png

改ページ

様々な書籍を読んでいると、最後の一行だけ次のページにあるといったことがあるかと思います。
組版してもらった初期段階では結構ありました。
読む側としてはそこまで気にはならないかもしれませんが、できる限りそういったことがないように文字を削ったり、スペースを調整してあります。

03/13: 入稿

初めての同人誌製作だったので、オンラインではなく店舗での入稿にしました。
入稿は日光企画お茶の水店さんで行いました。
予約は不要なので、営業日や営業時間を確認した上で来店すれば大丈夫です。
同人誌の入稿に来た旨を伝えると受付場所に案内してもらえます。

作成する同人誌について、店員さんがヒヤリングしながら印刷申込書を埋めてくれます。
わからないことは店員さんに質問しながら決めることができました。
自分で記入する必要があったのは、

  • 書籍名
  • 住所氏名等の連絡先
  • サークル名
  • 配置番号

で、店員さんがデータチェックしている間に記入します。
入稿内容は、

  • 書籍名: ゼロからはじめるKotlin/Native
  • サイズ: B5
  • 表紙込みページ数: 44ページ
  • 印刷部数: 300冊
  • トジ方向: 左トジ
  • トジ種類: 平トジ
  • 遊び紙: なし
  • 表紙用紙: NPホワイト200kg
  • 本文用紙: 上質90kg

用紙の種類や加工についてはサンプルが置いてあるので、実際に触ってから決めることができます。
用紙や加工の種類によっては+○円/冊のものもありますが、店員さんがサンプルを見せながら全部教えてくれたので納得の行く選択ができました。

また、日光企画の技術書典新刊応援企画として、ポストカード(300枚を上限に発行部数と同数)かA2ポスター(1枚)が無料で印刷できました。
さらに、pixiv提携サービス利用でクリアファイルが印刷できました。

入稿に必要なデータは事前にUSBに入れておきます。
今回入稿データをAdobe CCで作成していたのですが、Adobe製品で作成している場合はCS4で保存する必要があったので注意が必要です。

気になる印刷料金ですが、通常61,600円に

  • 早割20%OFF(▲12,320円)
  • pixiv連携サービス5%OFF(▲3,080円)
  • 現金払い還元(▲2,310円)

で43,890円でした。

04/02: DLカード入稿

DL版はBOOTHで無料のパスワード付きzipを配布し、DLカードのQRコードのパスワードで解凍する方式を採用しました。
印刷はラクスルさんにお願いしました。
DLカードは当日までに用意できればいいので、受付日から7営業日後の出荷と一番安いのを選んだので、300部1620円で印刷できました。

04/12: 正誤表作成、修正版PDF完成

サンプルプロジェクトをGitHubで公開するために最終動作確認をしていると、ビルドができない事態に直面しました。
どうやら最新バージョンにして確認したときにちゃんと動作しておらず、古いビルドで実行していたため、ちゃんと動作していると勘違いしてしまっていました。
そのため、各種バージョンを動作していた頃のものに戻しました。
また、使用していたAPIに変更があったようでその対応も行いました。

各修正を行い再度動作確認を行った上で、その内容の正誤表を作成しました。
また、PDF版はデザイナーさんに協力してもらい、正誤表の内容を本文に反映してもらいました。

入稿前にはちゃんと一から内容に沿って作成し直して確認しないと、今回のような結果を招く可能性があります。

04/14: 技術書典6当日

入場

サークルの入場は10:00-10:40ですが、運営の準備が整い次第入場させてもらえます。
技術書典6では9:30過ぎには入場できました。

技術書典6では一般参加の入場が最初の2時間(11:00-13:00)は有料になりました。
10:00からその入場券の販売が始まるのですが、9:00過ぎに現地に着いたときにはサークル参加者よりも多かったです。

設営

入場したら自分のサークルスペースに行き、届いているダンボールを開けて印刷に問題がないことを確認します。
別納で事前に自宅等に送っていなければ、このときに初めて完成品を目にします。

設営は事前にリハーサルしておくとスムーズに設営できます。
事前リハーサルした結果、ポスタースタンドを追加で購入しました。
IMG_4831.jpg

また、今回は正誤表を作成したので、それを300冊すべてに挟み込む作業を行いました。

片付け

残った本はBOOTHのダイレクト入庫サービスで預けました。
BOOTHでは、荷物が倉庫に届き次第7-16営で販売が可能になるようです。

不要なダンボールは運営が回収してくれるので、指定の場所に持っていきます。

サークルスペースを設営開始前の状態に戻したら終了なので、荷物をまとめて撤収します。
撤収後は打ち上げに行くなり、帰って休むなりして自分を労ってください。

被チェック数推移

毎日チェックしていたわけではないので、ログとして残っていた分のみです。
ちゃんと記録しておけばよかったです。

日付 被チェック数
03/19 16
03/27 33
04/09 63
04/12 83
04/14 130

制作物一覧

技術書典6での制作物一覧です。
デザイナーさんに依頼したものと、自前で用意したものがあります。

依頼したもの

  • サークルカット
    • カラー(.png)
    • モノクロ(.png)
  • 物理本の表紙、裏表紙(.psd)
  • 物理本の入稿用PDF(.pdf)
  • 電子版のPDF(.pdf)
  • 特典のポストカードの入稿データ(.ai)
  • 特典のクリアファイルの入稿データ(.ai)

自前で用意したもの

  • DLカードの入稿データ(.pdf)
  • A3サイズポスター(.png)
  • POP(.png)

自前で用意したものは、デザイナーさんが作ってくれた表紙データを流用して作成しました。

当日持って行ったもの

  • ゴミ袋
  • 飲み物
  • 軽食
  • サークルリスト
  • モバイルバッテリー
  • 机に敷く布
  • 付箋
  • ボールペン
  • マジック
  • ハサミ
  • マスキングテープ
  • お札入れ
  • 小銭入れ
  • お釣り
  • 領収書
  • POPスタンド
  • POP
  • 見本誌に貼るシール
  • 裏紙
  • DLカード
  • 名札

ゴミ袋は当日コンビニで軽食を買ったときのものを使ったのですが、小さくてすぐにいっぱいになってしまったので、それなりの大きさのものか複数枚用意するとよさそうです。

机に直接何かを貼りたい場合はマスキングテープか養生テープが必須ですが、布を敷く場合にはマスキングテープは無力でした(全然くっつかない)。なので、布を敷いた上で何か貼りたい場合はガムテープ等、粘着力のあるテープ類を持参した方がいいです。

今回は幸いにもありませんでしたが、一万円や五千円といった高額紙幣での支払いの可能性もあるので、お釣りの準備は欠かさずしておきましょう。
また、イベントの特性上、領収書を求められることもあり得るので用意しておくとお互い幸せになれるかもしれません。

振り返り

良かった点

  • 今回のサークルスペースが出口寄りだったこともあり、開始時はそこまで人が来なかったのでワンオペでまわして、売り切れる前に目的の本を買ってきてもらえました。
  • お釣りが不足することがなかった。五百円50枚、千円10枚用意しました。
  • 販売価格を500円にしたのでお金の授受が楽でした。
  • かんたん後払いに対応してよかった。現金:後払い=2:1くらいでした。
  • DLカード用のPDFに直接パスワードをかけなくてよかった。直接かけてしまうと開くたびにパスワードを求められてしまい不便。
  • パスワード付きzipの解凍テストをwindowsでも行ってよかった。zipcloakでパスワードを付けたらwindowsで解凍できませんでした。

改善点

  • 見本誌が2冊では足りないことが時々ありました。
  • デスク上に在庫を置いておくと、見本誌があるにも関わらずそれを勝手に読む人がいました。
  • サンプルコードの動作確認が甘く、直前に正誤表を作成する事態になってしまった。
  • A5サイズだともう少しページ数が増えて値段相応に思ってもらえたかもしれない(せこい考えですが)。
  • ゴミ袋が小さくてすぐに一杯になってしまった。
  • 布にマスキングテープは無力でした。ガムテープを持参すると、在庫があったときの梱包にも使えるので便利です。

費用と売上(2019年4月26日時点)

最後に気になるトータルの費用と売上のまとめです。

費用: 114,050
内訳
イラスト(サークルカット、表紙)、組版費: 60,000
書籍印刷費: 43,890(300冊)
DLカード印刷費: 1,620(300枚)
サークル参加費: 7,000
一般参加費: 1,000
pixiv会員費: 540

売上: 71,800
内訳
物理本: 58,000(116冊)
DLカード: 8.000(16枚)
BOOTH: 3,500(5冊) + 2,300(Boost)

参考サイト

初参加だったため各サイト大いに参考にさせて頂きました。

【保存版】 #技術書典 初出展マニュアル【表紙入稿データサンプル付き】
技術書典4で出すDNS本を40部から400部に増やしてみた
技術書典5でチャレンジしたあれこれ
技術書典の被チェック数と部数と金の話
技術書典6っていつ?どこでやるの?何時にいけばいいの?混むの?

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