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今年、キューブパズルの技術同人誌を制作して頒布しました。その振り返りを書きます。

僕はこれまでは、主にiOSアプリ開発やプログラミングについて執筆してきました。しかし今年は、これまでと少し違ったジャンルに取り組んでみました。なお、これまでの執筆は次のページにまとめています。

制作した本

今年制作したのは、Square-1(スクエアワン)というキューブパズルについての本です。このパズルはルービックキューブに似ていますが、立方体以外の形状に変形するという特徴があり、解き方も異なっています。そんなSquare-1の解き方を本書で解説しています。

電子版をBOOTHで頒布しています。ぜひご覧ください。

頒布履歴

各イベントのリアル会場でSquare-1の紙の本を頒布した履歴です。また、あわせてオンラインで電子版を頒布しています。

各イベントでの言葉の定義

僕としては初めてのジャンルだったので、この本が技術系あるいは情報系と呼べるかは気になるところでした。そこで、参加を考えていたイベントそれぞれの説明を改めて確認しました。その結果、どれも定義の幅が広くて、当てはまると言って良さそうです。

ただ、本の概要では少し補足的なことも書きました。とくに、プログラミング技術的に興味をひく点があること、数学的な興味をひく点があることを述べておきました。

以下、イベントごとの言葉の定義を紹介します。

おもしろ同人誌バザール

情報系同人誌って? | 情報系同人誌即売会おもしろ同人誌バザール

読者に伝えたい「情報」をテーマにまとめられた同人誌

を情報系同人誌、とします。
いわゆる「評論・情報」のジャンルに属する同人誌を中心に、ほかのジャンルでも「情報っぽいもの」であればOKです。

情報という言葉がふわっとしている印象がありますが、それがこのイベントの特徴をあらわしているという側面もありそうです。

実際にイベントに参加してみると、いろいろなジャンルが混ざっている雰囲気がありました。むしろ、プログラミング本でなくパズル本だったのが、雰囲気に合っていて良かったですね。

技書博

サークル向け重要説明事項

技書博では、あなたが信念をもって解説可能なものを「技術」と定義します。

なかなか意外な感じの、興味深い定義です。正直、本を書いているときにこの視点は意識していませんでした。しかし、実際にできあがった本を振り返ると、問題なく定義に当てはまっています。

説明事項の続きでは、参加者の多くはITエンジニアであることが述べられています。しかし、本のジャンルをIT周辺に限定してとらえる必要はないでしょう。

技術書典

技術書とはなんですか? – 技術書典ヘルプセンター

技術書典における「技術書」とは、「ITや機械工作とその周辺領域について書いた本」を指します。ソフトウェア、ハードウェア、開発環境、コンピュータサイエンスから、その他科学・工学全般などのジャンルを対象としています。

情報通信やコンピュータサイエンスに限らず、数学、化学、法学など各種専門分野、通信、アルゴリズムなど各種工学分野も技術書の範疇と考えています。

IT寄りな感じがありつつも、幅広くとらえることもできる定義です。実際にこれまでの出展内容を見ても、幅広くとらえておいて良さそうです。

技術書典はヘルプが読みやすく整備されていると感じます。また、オンラインマーケットが継続的に展開されているおかげで、これまでの出展内容がだいたい分かるのは安心感があります。

パズル体験コーナー

Square-1本を頒布するにあたって、そもそもSquare-1というパズルが世間一般に認知されていないという課題がありました。そこで、各イベントのリアル会場ではパズル体験コーナーを設置しました。パズル体験コーナーは4回実施しましたが、いずれも好評でした。

パズル体験コーナー

Square-1の実物をいくつか置いて、実際に操作してもらえるようにしました。足を止めて試してくださる方が多く、興味を持っていただけました。準備した甲斐があって嬉しいです。各イベントには子連れで来場される方もおられましたが、お子さんが楽しく遊んでくれるのも良かったです。

予想通り、ブースに来られた方で事前にSquare-1パズルを知っていたという人はとても少なかったです(何人かは知っている方もおられました)。このパズルは自分で考えたのか、という質問も何度かいただきました。Square-1はWCA(世界キューブ協会)による世界大会が開催されているパズルで、展示したものも市販の製品です。

一方、ルービックキューブは皆さんご存知のようでした。世界的なブームを起こしたパズルの認知度はすごいですね。ただ、ルービックキューブが解けるという方はあまり多くありませんでした。逆に言えば、ルービックキューブが解けなくてもこの機会に多くの人がSquare-1に興味を持ってくれたということで、嬉しいです。

制作ツール

組版システムとしては、Vivliostyleを採用しました。僕はこれまで個人誌はRe:VIEWで作成していたのですが、合同誌の「ゆめみ大技林」を始めたときにはみんなにMarkdownで書いてもらえるのが良いと考えてVivliostyleを採用していました。いずれ個人誌も乗り換えるつもりで考えていて、それが実際に実現したのが今回の本でした。

なお、ゆめみ大技林の制作については、同僚が記事を書いてくれているのでぜひご覧ください。

作図ツール

組版とは別に工夫を必要としたのが、作図ツールでした。たとえば、今回のSquare-1本には次のような図があります。こんな感じの図をたくさん作る必要がありました。

Square-1本の図の例

そのための作図ツールとして、LaTeXのTikZパッケージを採用しました。TikZの紹介や、それを使って実際にどう書くかについては、以前に日曜数学会で話をしました。

これのおかげで、Square-1本のために図をたくさん作ることもある程度やりやすかったと思っています。面倒な作業ではありましたが、プレーンテキストで図を作れるのが自分の性分に合っていて良いです。

ただ、次にこんな感じの作図の必要に迫られたら、そのときにはTypstのCeTZパッケージを作図ツールとして採用することも考えています。

月刊I/Oの記事執筆

参加したイベントがいくつかありますが、その中でも技書博10では良い出会いがありました。

技書博10でSquare-1本を頒布していたブースに、月刊I/Oなどを出版されている工学社さんが来てくださりました。そこで興味を持っていただき、その縁から月刊I/Oにいくつか記事を掲載していただきました。ありがとうございます。

技術同人誌の制作活動がこうして他の活動につながっていくのは嬉しいですね。今後もこんな機会があれば挑戦したいと思っています。

まとめ

  • Square-1本を制作して頒布しました
  • 各イベントの言葉の定義を確認しました
  • パズル体験コーナーを設置しました
  • 組版システムにはVivliostyleを、作図ツールはTikZを利用しました
  • 技書博で縁があって、月刊I/Oの記事を執筆しました
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