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Google スプレッドシートの関数だけで和暦変換

Last updated at Posted at 2019-02-21

作った経緯

 平成が終わり令和が始まりました。
 いま社内でExcelからGoogleスプレッドシートへの移行を進めています。この中、困ったのがスプレッドシートでは和暦表示をしてくれないこと。
 他の記事を参考に、最初はスクリプトによるユーザー関数を作り和暦表示させていたのですが、そのままだとこうなっちゃいます。

 1989年1月7日 → 平成1年1月7日 
 ※ほんとは 昭和64年1月7日(昭和最後の日)
 
 また、ユーザー関数ではスプレッドシートの強力な関数ARRAYFORMULAが使えず、各セルにユーザー関数を貼っていくことになります。表示も遅くなる。

 そこで、スプレッドシートに和暦変換用のテーブルを作り、それを参照する形にしてスプレッドシートの関数のみで和暦変換を実現してみました。

※sachiya3さんからのご指摘を受けてVer.2、Ver.3を追加しています。(2020/1/22)

##作成手順
1.各元号開始日のDATEVALUE(シリアル値)をキーにした和暦変換用テーブルを作る
2.元号名はVLOOKUPで和暦変換用テーブルを検索して取得する。この時、近似値検索をかける(ここがミソ!)
3.元号年は対象年月日をDATEVALUEに変換させた上で元号開始年を求め、年差で求める。
4.月日はMONTH関数とDAY関数を使って取得する。

##実装
1.和暦変換用のテーブルの作成

シリアル値 元号開始年月日 元号漢字 元号A
-11662 1868/1/25 明治 M
4595 1912/7/30 大正 T
9856 1926/12/25 昭和 S
32516 1989/1/8 平成 H
43586 2019/5/1 令和 R

このテーブルに「GENGO」という名前付き範囲を付けます。

2.元号名の取得
変換対象の年月日(西暦)がA1セルに入っているとします。

元号漢字の場合 :
VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,3,TRUE)
元号A(アルファベット)の場合 :
VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,4,TRUE)

第4パラメータ(並べ替え)はTRUEとし近似値検索で元号名を取得します。

3.元号年の取得
対象年月日をシリアル値に変換し、同じく近似値検索で元号開始年月日を取得します。
VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,2,TRUE)
対象年との差を求めて元号年を求めます。
(YEAR(A1)-YEAR(VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,2,TRUE))+1

4.月と日の取得
 月はMONTH(A1)、日はDAY(A1)で取得します。
##最終形
1.元号漢字○年○月○日の場合
=VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,3,TRUE)&(YEAR(A1)-YEAR(VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,2,TRUE))+1)&"年"&MONTH(A1)&"月"&DAY(A1)&"日"

2.元号アルファベット○.○.○の場合
=VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,4,TRUE)&(YEAR(A1)-YEAR(VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,2,TRUE))+1)&"."&MONTH(A1)&"."&DAY(A1)

##使い方
・そのまま貼り付けて使用できると思います。あとは適当に加工してください。
・当社の場合、元号管理用のスプレッドシートを作り、各シートにIMPORTRAGEで和暦変換テーブルを取込んで参照する形をとっています。改元時も1カ所の修正で済みますし。もっともGOOGLEさんが和暦対応してくれたら一番なんですが。
・西暦がA1セル~A10セルに入っている場合、関数ARRAYFORMULAを使って以下の関数式をB1セルに入れてみてください。この関数式ひとつでB1セル~B10セルに和暦が表示されます。
=ARRAYFORMULA(VLOOKUP(DATEVALUE(A1:A10),GENGO,3,TRUE)&(YEAR(A1:A10)-YEAR(VLOOKUP(DATEVALUE(A1:A10),GENGO,2,TRUE))+1)&"年"&MONTH(A1:A10)&"月"&DAY(A1:A10)&"日")
##注意点
・1912/7/30(大正最初の日)以降の対象年月日で使用できます。私を含めて大半の方はこれに該当すると思われます。
・1912/7/29(明治最後の日)以前の対象年月日がある場合、関数エラーになり使えません。sachiya3さんのご指摘通りです。すいません・・・。

 それで以下を追加します。
##和暦変換 Ver.2 簡易版
 1912/7/29以前の対象データがある場合については、以下のようにすれば実装できます。

1.和暦変換テーブル

シリアル値 元号開始年月日 元号漢字 元号A 元号開始西暦年
-12661 1865/5/1 慶応 K 1865
-11662 1868/1/25 明治 M 1868
4595 1912/7/30 大正 T 1912
9856 1926/12/25 昭和 S 1926
32516 1989/1/8 平成 H 1989
43586 2019/5/1 令和 R 2019

テーブルに元号開始西暦年を5列目に追加します。

2.元号の取得
 近似値検索を使用する点は同じ。

3.元号年の取得
 年差を「対象年月日の西暦年 - 元号開始西暦年 + 1」で求めますが、ここにYEAR関数を使うとエラーになるので次のようにします。
LEFT(A1,4)-VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,5,TRUE)+1
対象年月日の方はLEFT関数で先頭4文字を取り出し、元号開始西暦年は近似値検索のVLOOKUP関数で取得します。

4.月と日の取得
 MONTH関数とDAY関数を使ってしまうと同じくエラーになるので次のようにします。
 月:INDEX(SPLIT(A1,"/"),2)
 日:INDEX(SPLIT(A1,"/"),3)
 つまり、西暦の年月日をSPLIT関数を使って"/"で分割し、2番目の月、3番目の日をINDEX関数で取り出します。 

##最終形(Ver.2)

1.元号漢字○年○月○日の場合
=VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,3,TRUE)&(LEFT(A1,4)-VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,5,TRUE)+1)&"年"&INDEX(SPLIT(A1,"/"),2)&"月"&INDEX(SPLIT(A1,"/"),3)&"日"

2.元号アルファベット○.○.○の場合
=VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,4,TRUE)&(LEFT(A1,4)-VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,5,TRUE)+1)&"."&INDEX(SPLIT(A1,"/"),2)&"."&INDEX(SPLIT(A1,"/"),3)
##注意点(Ver.2)
・年月の取得にSPLIT関数を使用しているため、西暦の対象年月日が"/"(スラッシュ区切り)でないと使えません。"/"以外の区切り文字であれば、その区切り文字に置換してください。
・ARRAYFORMULA関数が使えません(INDEX関数がうまく評価されない)。個々に関数を貼ってください。
・西暦1873年1月1日(明治6年)以降の対象データは年月日まで正確に変換できます。
・西暦1872年12月31日以前の和暦変換(・・、慶応、~明治5年)には厳密な意味では使えません(理由はコメントで後述します)。

 それでもう一つ追加します。
##和暦変換 Ver.3 厳密版
 1872/12/31(明治5年)以前の対象データがある場合については、以下のようにすれば実装できます。
 西暦1865年(元治2年、慶応元年)を例に説明します。ちょうど改元、閏月もありますので・・。

1.和暦変換テーブル

シリアル値 元号開始年月日 元号漢字 元号A 元号年 元号月 元号日計算用
-12755 1865/1/27 元治 G 2 1 -12755
-12725 1865/2/26 元治 G 2 2 -12725
-12696 1865/3/27 元治 G 2 3 -12696
-12667 1865/4/25 元治 G 2 4 -12667
-12661 1865/5/1 慶応 K 1 4 -12667
-12637 1865/5/25 慶応 K 1 5 -12637
-12608 1865/6/23 慶応 K 1 閏5 -12608
-12578 1865/7/23 慶応 K 1 6 -12578
-12549 1865/8/21 慶応 K 1 7 -12549
-12519 1865/9/20 慶応 K 1 8 -12519
-12489 1865/10/20 慶応 K 1 9 -12489
-12460 1865/11/18 慶応 K 1 10 -12460
-12430 1865/12/18 慶応 K 1 11 -12430
-12400 1866/1/17 慶応 K 1 12 -12400
元号年月単位のテーブルを作成します。月途中で改元が行われるケースがあるため、元号日計算用シリアル値の列を別途持たせます。

2.元号の取得
 Ver.2と同じです。

3.元号年の取得
 年:VLOOKUP(DATEVALUE(A1),Gengo,5,TRUE)

4.月と日の取得
 月:VLOOKUP(DATEVALUE(A1),Gengo,6,TRUE)
 日:DATEVALUE(A1) - VLOOKUP(DATEVALUE(A1),Gengo,7,TRUE)+1

 年月はお馴染みの近似値検索です。日ですが、シリアル値同士であれば引き算ができるので「対象年月日のシリアル値 - 元号日計算用シリアル値 +1」で求めます。 

##最終形(Ver.3)

1.元号漢字○年○月○日の場合
=VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,3,TRUE)&VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,5,TRUE)&"年"&VLOOKUP(DATEVALUE(A1),Gengo,6,TRUE)&"月"&(DATEVALUE(A1) - VLOOKUP(DATEVALUE(A1),Gengo,7,TRUE)+1)&"日"

2.元号アルファベット○.○.○の場合
=VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,4,TRUE)&VLOOKUP(DATEVALUE(A1),GENGO,5,TRUE)&"."&VLOOKUP(DATEVALUE(A1),Gengo,6,TRUE)&"."&(DATEVALUE(A1) - VLOOKUP(DATEVALUE(A1),Gengo,7,TRUE)+1)
##注意点(Ver.3)
・ARRAYFORMULA関数が使用できます。
・和暦変換テーブルを作りこめばどんな元号でもOKですが、ただ・・・大変です。

##最後に
 私の会社で扱っているデータは大正7年(1918)が最古でしてバージョン1で十分に要件を満たすので、sachiya3さんに指摘されるまで気付きませんでした。
 今回、バージョン2、バージョン3を公開します。みなさんのデータの性質に応じて関数を使い分けられてください。
 それでは令和も1年1年頑張っていきましょう!

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