はじめに
最近「TIC-80」でゲーム制作というものに手を出しました。
仮想のレトロゲーム機ということもあり、ファミコン関連の書籍や記事などを以前より読むようになったのですが、思うところがあり記事にしました。
アセンブラでFCソフト開発などはやったこともない素人ですので、間違っている箇所もあると思います。
事実と異なる点などありましたら、ご指摘おねがいします。
概要
- ドラクエ枠の文字横(左)のフォントは1ドット削ったもの
- 初代ドラクエのカタカナは20文字
- 「分かりやすさ」と共に「見やすさ」も優先度は高かった(感想・ポエム)
ドラクエ枠の文字横(左)のフォントは1ドット削ったもの
これは、見てもらった方が早いと思いますので、載せてみます。
下図のファミコン版ドラクエ1の背景用パターンの赤で囲んでいる部分です。
並んでいて少しわかりにくいですが、右は右端1ドットが削られたフォントになっています。
※ 画像は以下のページからお借りしています。
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Bingo/2392/3syou.html
初代ドラクエのカタカナは20文字
こちらはかなり有名ですね。
ファミコンハードの限界に挑んだ制作者たち
ファミコンのグラフィック表示のしくみはグラフィックを司るPPUがあってそこに
カセット内のBGやスプライトパターンデータを入れたCHR-ROMがつながってて、
2画面分のネームテーブルに登録、属性テーブルが‥とか色々あるのですが、
ざっくり背景表示のイメージは以下のような感じです。
(敵モンスターはスプライトという別の仕組み)
詳しくは
[NES研究室 - グラフィック](http://hp.vector.co.jp/authors/VA042397/nes/ppu.html
https://qiita.com/bokuweb/items/1575337bef44ae82f4d3)
ファミコンエミュレータの創り方 - Hello, World!編 -
辺りをご参考ください。
背景(メッセージや枠も)で一度に表示できるのは基本的には256パターンでやりくりしています。
街、ダンジョン、フィールド、戦闘ウインドウの背景、メッセージ等すべてを256種類に
収めるのは無理があります。そのしわよせがカタカナに行ったということでしょう。
「分かりやすさ」と共に「見やすさ」も優先度は高かった
初代ドラクエが「分かりやすさ」「プレイしやすさ」に重きを置いていたのは「ドラゴンクエストへの道」や以下の記事などで語られています。
技術的な観点からのハードの制限、容量の制限、その中での工夫や苦労などは「ファミコンの驚くべき発想力」などに記されています。
ただ、カタカナを1文字けずってまで、見やすさのために1ドット削った枠フォントを確保していたことに関してはあまり語られていません。
ドラクエのフォントを作成されているサイト(「ドラクエフォント」や「DQフォント」など)の使用例ではきちんと確保、使用されているので、気づいている人が少ないという訳ではありません。(ただ注意や強調はされていませんでした)
昔のゲームはこんなに容量少なかったんだよ、だからこんな苦労や工夫があったんだよ、という話は自分も好きですし面白いです。ただ「見やすさ」に関しても最大限の配慮、重要視していたということはもっと強調、主張されてほしいと思います。
まあ一番いいたいことは「ゲームの文字、もっと見やすく大きくして」です。(一時期よりはマシですが)
補足
初代ドラクエは背景用パターンは、上記の256種類だけではなく、もう一組あったようです。
(画像は以下のサイトからお借りしています)
https://www.wizforest.com/OldGood/ntsc/famicom.html;p2#dqfont
このパターンはおそらく「タイトル画面」「エンディング」そして「変身後のりゅうおう戦」で
使われていたものだと思います。
(文字など2色でいいパターンに関しては、パレットの適応で2種類を表現可能)
上の画像では112パターンですが、残りの144でタイトルロゴと「りゅうおう」の一部を収めてたんじゃないかと思います。
(りゅうおうは背景とスプライトの組み合わせ)
りゅうおう戦で**「ミ」「キ」「ト」「コ」「ン」「シ」「ホ」のフォントが通常と異なる**のはこのためでしょう。
これも「見やすさ」のため、開発中もフォントをぎりぎりまで変更していた、ことの現れだと思います。
※ 通常と異なるフォントに「キ」「ト」「コ」「ン」「シ」「ホ」を追記。
~さらに蛇足
「風来のシレン」で「キャラクターが表示される真ん中の部分には、絶対にマップが来ない」などを読むとこのような「見やすさ」への細かい配慮は中村さん由来だったのかも?とも思います。
ドラクエシリーズ全体でももちろん共有、重要視はされているようです。
(こんなこともありましたが)
ひらがなフォント自体はPC6001のものを参考にしているようなので、堀井さん由来でしょうか。