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転職先選定時の注意点 - 看板と実態のギャップに要注意

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はじめに

転職活動において、企業の看板や親会社の知名度に惑わされて判断を誤ってしまうケースがあります。特に大手グループの子会社では、外から見える印象と内部の実態に大きな乖離がある場合があります。

筆者自身も過去に、親会社から切り離された子会社で働いた経験があり、その会社は親会社からの支援を失った2年後に倒産しました。その経験と、最近遭遇した別のケースを元に、転職先選定時の注意点をまとめました。

要注意パターン:「張り子の虎」企業の特徴

1. 看板と技術力のミスマッチ

外見的特徴

  • 有名企業グループの子会社
  • 「金融システム」「ミッションクリティカル」など重要そうな業務を担当
  • 公式サイトに立派な技術アピール

実態の見分け方

  • 技術認定が基礎レベルに留まっている
  • AWS認定なら「セレクトティア」レベル(年間3案件、月次売上$1,500程度で取得可能)
  • 企業規模に見合わない低レベルの認定しか持っていない

2. 内部の深刻な状況を示すシグナル

転職サイトの口コミで見つけられる危険信号

- 「プロジェクトがほとんどなくなってきており、待機社員が増えている」
- 「可もなく不可もなく、上昇志向がない人には合っている」
- 「競合他社との差別化が難しく、新たなマーケットを見出しにくい」
- 「業績・将来性に問題を感じる」

特に注意:矛盾する採用活動

  • 口コミで「待機社員が増えている」
  • しかし同時に積極的に求人募集を継続
  • これは以下の延命戦略の可能性:
    • SES化:社員を他社に派遣して売上確保
    • 技術力補完:古い技術の待機社員を抱えたまま新技術者を採用
    • 協業依存:技術力不足を外部パートナーで補完
  • いずれも根本的な解決策ではなく、さらなる経営悪化の前兆

3. 財務面の隠れた問題

一見健全に見える財務指標の罠

  • 「無借金経営」「自己資本比率70%以上」
  • → 実際は親会社からの資金注入で延命している可能性
  • 独立した事業として成立していない状況

転職前にチェックすべきポイント

技術力の実態調査

  1. 認定資格のレベル確認

    • 企業規模に見合った技術認定を取得しているか
    • 基礎レベルの認定のみで「技術力アピール」していないか
  2. プロジェクト実績の質と量

    • 具体的な案件数や規模
    • 直近の実績動向

組織の健全性チェック

  1. 口コミサイトでの評判

    • 複数のサイトで一貫した傾向があるか
    • 特に「将来性」「事業展望」への言及
  2. 採用活動の状況

    • 慢性的に求人を出し続けていないか
    • 「待機社員増加」と「積極採用」の矛盾がないか
    • 離職率や定着率の情報

事業の継続性評価

  1. 親会社との関係性

    • 100%子会社の場合、独立性があるか
    • グループ内での位置づけや重要度
  2. 市場での競争力

    • 同業他社と比較した技術力・実績
    • 独自性や差別化要因の有無

まとめ

大手グループの看板があっても、子会社の実態は千差万別です。特に以下の組み合わせが見られる企業は要注意です:

  • 立派な看板 × 基礎レベルの技術認定
  • 安定した財務 × プロジェクト不足
  • 重要な業務領域 × 競争力の欠如

筆者の実体験:親会社切り離しから倒産まで

筆者が以前勤務していた企業も、大手グループの子会社でした。表面的には:

  • 親会社は業界大手で安定経営
  • 「無借金経営」「財務健全」をアピール
  • 社内では「親会社がバックにいるから安心」という雰囲気

しかし実態は:

  • 独立採算では赤字続き
  • 親会社からの発注に依存した事業構造
  • 外部営業力や技術革新力の欠如

ある時期を境に親会社の方針が変わり、子会社への支援を段階的に縮小。最初は「合理化」「効率化」の名目でしたが、実質的には切り離し作業でした。

末期症状:SES化への転換
倒産前の1-2年間は、明らかにSES化が進んでいました:

  • 既存社員を次々と他社に派遣
  • 「未経験歓迎」「初心者OK」の求人を大量募集
  • 派遣要員確保が主目的の採用活動
  • 自社プロジェクトはほぼ消滅

この時期の求人を見ていた外部の人は「積極採用している成長企業」と勘違いしたかもしれませんが、実際は延命のための人材確保でした。

親会社からの支援を失った後、わずか2年で倒産に至りました。

振り返ると、倒産前の兆候は明確にありました:

  • プロジェクトの減少と待機社員の増加
  • SES化への転換:既存社員の派遣と初心者の大量採用
  • 新規事業開拓の失敗
  • 優秀な人材の流出
  • 経営陣の楽観的な発言と現場の危機感のギャップ
  • 退職者への復帰打診:倒産直前に社長から筆者にも復帰の打診が来たほど人材不足が深刻化

特に「未経験歓迎の積極採用」と「既存社員の社外派遣」が同時に起きている場合は、事業の根本的な問題を人材派遣で糊塗しようとしている可能性が高いです。また、既に退職した人材への復帰打診が始まったら、それは相当に追い詰められた状況の証拠と考えるべきでしょう。

転職は人生の重要な決断です。表面的な情報に惑わされず、多角的な調査を行って慎重に判断することをお勧めします。特に親会社依存の強い子会社については、独立した事業基盤があるかどうかを重点的に確認することが重要です。


この記事は実際のケーススタディを基に作成していますが、特定の企業を指すものではありません。転職活動の参考程度にお考えください。

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