Rubyアプリで静的なデータを管理する

値が変更されないような静的なデータは、MySQLやMongoDBなどのDBに格納するより、起動時にメモリにロードするとパフォーマンスが向上し、管理も簡単になります。

ここで紹介する方法はRailsプロジェクトのみに限らず、Sinatraプロジェクトやその他のRubyプロジェクトでも使用できます。

settingslogicのインストール

settingslogicはYAMLファイルから設定をロードするgemです。Railsアプリだと Rails.env の値（development、production、test など）に応じた設定も簡単にロードすることができます。

プロジェクトで使用するには、Gemfile に追加します。

Gemfile

gem 'settingslogic' 

データの準備

データをYAMLで用意します。例として部屋番号とIPアドレスのペアをデータとして格納します。このYAMLファイルでは、全ての環境で defaults の値を継承します。

config/room_and_ip.yml

defaults: &defaults
  ip_addresses:
    room101: 10.0.0.1
    room102: 10.0.0.2
    room201: 10.0.0.3
    room202: 10.0.0.4

development:
  <<: *defaults

test:
  <<: *defaults

production:
  <<: *defaults

データを読み込む

先ほどのYAMLファイルをプロジェクト起動時に読み込むように設定します。Railsアプリの場合は initializers にファイルをロードするスクリプトを追加します。

config/initializers/room_and_ip.rb

class RoomAndIp < Settingslogic
  source Rails.root.join('config', 'room_and_ip.yml');
  namespace Rails.env
end

Settingslogic を継承して、ロードする設定を記述します。source メソッドでロードするパスを指定します。また namespace メソッドで、ロードする名前空間を指定できます。

Railsアプリからデータを参照するのは、クラスメソッドを呼び出します。

RoomAndIp.ip_addresses["room101"]    # => "10.0.0.1" 

Settingslogicは参照するキーが文字列なので、もっともらしいデータアクセスをするには、新たにメソッドを定義すると良いでしょう。

def ip_by_room(number)
  RoomAndIp.ip_addresses["room#{number}"]
end

ip_by_room(101)    # => "10.0.0.1" 
ip_by_room(999)    # => nil 

関連するActionModelのクラス（この例だと Room や IP モデルなど）のメソッドに追加すると、より自然にデータを関連付けることができます。