AWSが毎年開催しているテクノロジーカンファレンス「AWS Summit Tokyo 2019」が今年は6月12日~14日に幕張メッセで行われました。初日の基調講演ではAWSの長崎社長が今年も登壇しましたが、AWSの引き続きの成長についてふれるほかに、今年は、AWSが行なっているクラウド移行へのサポートの体制の充実や、クラウド移行にあたってよくぶつかる障害、それに対応するソリューションとしてAWSが提供しているものなどについてアピールしていました。その他に、今年もさまざまな事例発表がありましたが、大企業がクラウドに詳しい担当者がいるわけでもない中でクラウドに移行していく様子がよくわかる発表をピックアップして紹介します。
※下記サイトからの転載。ビッグデータ・AIなどに関するトピックを毎週取り上げています。
TechCrowd: https://www.techcrowd.jp/related/
[長崎社長が語る、AWSが選ばれ続ける理由とは―― AWS Summit Tokyo 2019 基調講演レポート] (https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/event/1190124.html)
クラウドWatchのAWS SUMMIT 2019のイベントレポートです。初日のAWS長崎社長の基調講演の全体像をわかりやすくレポートしてくれている記事です。
AWSジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏の基調講演では、AWSのビジネス状況やデジタル変革の最前線で選ばれ続けている理由、カスタマーサクセスを起こすためのポイントなどを語るとともに、ゲストスピーカーとして、三菱電機株式会社 リビング・デジタルメディア事業本部 リビング・デジタルメディア技術部長の朝日宣雄氏、ニフティ株式会社 取締役 兼 執行役員 兼 CIO 兼 ITシステム統括部長の前島一就氏、株式会社シナモン CEOの平野未来氏が登壇し、各社のAWS活用事例を紹介した内容をレポートしています。
AWSの2019年第1四半期の年間想定収益はグローバルで308億ドル(約3.3兆円)、前年同期比で41%の成長を達成したとのこと。グローバルインフラストラクチャは、現在21リージョン、66アベイラビリティゾーンを運用。また、165を超えるサービスを提供しておりイノベーションはさらに加速していると述べたようです。
AWSを利用している顧客はグローバルで数百万を超え、公共機関でも4000以上、教育機関でも9000以上の採用実績があり、日本でも、数十万の顧客がAWSを活用、国内のAPNパートナー数は、2017年の521社から2018年には750社まで拡大したとのこと。
ゲストスピーカの講演としては,三菱電機の朝日氏は、AWSを活用して「グローバルIoT基盤」を構築した事例について紹介、ニフティの前島氏は、AWSを活用して、レガシーシステムを新たなクラウド環境にマイグレーションした事例を紹介、そしてシナモンの平野氏は、機械学習を用いたサービス開発に「Amazon SageMaker」を導入した事例を紹介してくれました。
シナモンの平野氏の講演では、100人のAIリサーチャーがオフシォアで開発している中で存在していた課題、AIリサーチャーがそれぞれ別々の開発環境を使っていること、GPUインスタンスを人力で管理していること、グローバルコラボレーションが非常に難しいことをAmazon SageMakerを導入することにより解決できた事例を紹介してくれたようです。
[「AWS」サービスローンチから13年、そのアドバンテージとは] (https://internet.watch.impress.co.jp/docs/event/1190490.html)
INTERNET WatchのAWS Summit 2019のイベントレポートです。初日のAWS長崎社長の基調講演のレポートですが、その中から、政府のクラウド・バイ・デフォルト原則、AWSがクラウド導入の支援のために行なっている施策、それからクラウド移行の際に障壁となる代表的な課題とそれに対するAWSの提供するソリューションについてピックアップして紹介します。
日本政府は2018年にクラウド・バイ・デフォルト原則を発表していますが、AWS Summit 2019ではIT・科学技術担当大臣の井卓也衆議院議員がビデオメッセージも寄せたようです。政府機関の情報システムの構築においてクラウドサービスの利用が優先される方針が示されていますが、長崎社長もこれからクラウドサービスの採用が政府・公共機関、民間企業問わず、日本全体でますます加速していくことに期待感を示したようです。
現在は、クラウドを活用する先端IT技術分野におけるIT人材不足が課題ともなっていますが、解消には人材育成が不可欠であることから、AWSはそうした面からも支援を始めているということで長崎社長が例として挙げたのが、スタートアップ企業やデベロッパーに対する学びの場提供のために2018年に開設した、無料で利用できるワークスペース「AWS Loft Tokyo」。さらに、どこでも学べるオンラインのデジタルカンファレンス「AWS Innovate」もオープンしている。 また、教育機関や学生向けには、「AWS Educate」を通じてクラウドコンピューティングの実習環境を無償提供しており、すでに日本国内でも50箇所以上の教育機関、3500人の学生らが活用していると紹介していました。
オンプレミスなどの従来型のシステムからクラウドへの移行へと至る「クラウドジャーニー」は、一筋縄ではいかないことも多いわけですが、なかでも大きな課題として挙げられる要素が「データベース」と「Windows」であるということで、AWSで提供しているそれらに対するソリューションも紹介していました。
データベースに関しては、1つの種類のDBで全ての顧客の要望を満たすのはもはや現実的ではないと述べ、企業が目的とするワークロードに最適なデータベースを選べるのがAWSの特徴だと語っていました。Windowsについては、同社は10年以上もの長い年月をかけて環境整備に取り組んできた中での成果のひとつとして2019年3月から東京リージョンでも利用が可能になった新たなサービス「Amazon FSx for Windows File Server」を紹介。Windowsファイルストレージに複数のEC2からマウントが可能なうえ、SMB互換、ハードウェア/ソフトウェアの管理が不要なマネージドサービスです。
[「君、今日からクラウド担当ね」 未経験者が1人で始めた、ファミマのAWS移行の舞台裏] (https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1906/24/news046.html)
ITmediaのAWS Summit 2019のレポート記事です。ファミマは2017年末から段階的にクラウド(Amazon Web Services)に移行しているが、その移行の責任者である土井さんの講演レポートです。
土井さんは17年末にファミマがAWSの導入を決めたタイミングで、前任者が退職、突然後任に選ばれましたがインフラの経験なし、担当はひとり、しかもほかの業務との兼務だったので、悩んだ末に「一人では何もできない」と悟り外部リソースをフル活用することにしたとのこと。
アマゾン ウェブ サービス ジャパンから、クラウド導入を支援するコンサルタント兼アドバイザー「AWSプロフェッショナルサービス」を2人呼んだ他、普段から取引のあったベンダーのインフラエンジニア2人に協力を要請。土井さんを含む5人体制でチームを組み、移行に臨むことにしたとのこと。
体制が整うと、ファミマの社内向けにクラウド移行の方針説明会を開催。クラウド以外の開発を担うIT部門へ周知。その後は、AWSプロフェッショナルサービスから他社の導入事例を学びつつ、ファミマに適したクラウド移行後の運用ルールを策定。監視などの共通インフラは既存の仕組みを使いつつ、AWSの運用は内製し、ノウハウを蓄積することにしたようです。
土井さんはチーム内のファミマ社員を増やすため、社内の優秀な人物をクラウド部隊に異動させるように根回しもしたとのこと。ベンダーからもクラウドに詳しいメンバーが参加し、心強い仲間を迎えた土井さんたちは、部内の役割分担を明確にした上で、AWS移行に備えてPoC(概念実証)を実施。そしていよいよ、18年半ばからAWSへの移行を段階的に開始。19年には「クラウド推進グループ」という社内部門として独立し、正社員を計4人、派遣社員を計2人に増やした。同部門は現在、ベンダーと共同で、AWSを利用した新システムの開発も進めているようです。
[AWSを使って問診票作成、薬剤師の接客改善――盛り上がる「クラウド×医療」] (https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1906/26/news120.html)
ITmediaのAWS Summit 2019レポート記事です。少子高齢化や生活習慣病患者の増加を背景に、テクノロジーを駆使して医療を効率化・高度化する「ヘルステック」の分野が活性化している中で「クラウド×医療」ビジネスを手掛けるベンチャー2社の登壇を取り上げています。
インテグリティ・ヘルスケア(東京都中央区)は09年に創業し18年からはAWSベースの診療支援システム「Yadoc」(ヤードック)を提供しています。同システムは、ビデオ通話によるオンライン診療に対応する他、診療の予約や、疾患に応じた問診票の作成などができます。iOS端末の「ヘルスケア」アプリと連携し、患者が睡眠時間、栄養状態、運動量などをクラウド経由で医師に共有できる機能なども搭載。体調を効率よくモニタリングできる仕様にしています。お医者さんは診察次に「お加減いかがですか」と聞きますが数値化することで実態を把握できるようにするとともに、患者側も主体的に参加する意識づけもつながる面があるようです。
一方で、16年に創業したカケハシは、AWSベースの薬局向けSaaS「電子薬歴 Musubi」を開発・提供しています。患者の既往歴、服用中の薬、生活習慣などのデータを入力すると、個々人に応じた服薬指導と生活習慣のアドバイスを自動生成し、タブレット上に表示するサービスです。薬剤師は患者に画面を見せながら質の高い指導ができる他、患者の薬歴を記した書類(電子版)の下書きを自動作成できるため、働き方の効率化にもつながるものです。将来的には“医療のプラットフォーマー”となり、電子カルテとの連携や、遠隔からの利用などに対応したいとのことです。