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Build 2018から見えてくるマイクロソフトのインテリジェントエッジ戦略

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クラウドで成長していくことを標榜しており、「インテリジェクトクラウド/インテリジェントエッジ」を将来戦略の軸としているマイクロソフト。マイクロソフトの開発者会議「Build 2018」が5月7日からアメリカ・シアトルで開催されました。もうWindowsの会社ではなく、最大売り上げはOffice365からあげており、成長株は昨年93%の売り上げ増をはたしたクラウド事業”Azure”であるマイクロソフトは、AI関連でも存在感を発揮していますがクライアントハードウェア上のソフトである「エッジ」をAIでインテリジェントにしていくところを次には目指しているようです。さまざまなオンラインメディアでとりあげたBuild 2018の記事からピックアップして紹介します。

※下記サイトからの転載。ビッグデータ・AIなどに関するトピックを毎週取り上げています。
TechCrowd: https://www.techcrowd.jp/related/

「AIが変える社会」に本気のマイクロソフト、ナデラCEOが語る“矜持と責任”

Business InsiderのBuild 2018のレポート記事です。
マイクロソフトCEOのサトヤ・ナデラ氏の基調講演では、「去年初めてインテリジェントエッジの話をしたが、いまやあらゆるところで見ることができる。インテリジェントエッジが、クラウドを構成する本物の存在になっている」というインテリジェントエッジの話からマイクロソフトの戦略の話を始めました。

増え続けるデータをすべてクラウド側に渡して処理するのは、インターネット回線の帯域に限界がある以上、現実的できなく、まずはエッジ側でデータを処理として必要な情報だけをクラウド側に送る仕組みを作らないと効率が上がらないというのが、インテリジェントエッジという考え方です。

クラウドにAIが入るのは大前提。その上で、ユーザー側に近い「エッジ」にもマイクロソフトが開発したAIを広げ、データであふれる時代のコンピューティングモデルを作り、そのインフラ提供や開発者支援を収益源とする。それが、マイクロソフトの戦略のようです。

施策としては、インテリジェントエッジを作るための環境である「Azure IoT Edge Runtime」がオープンソース化されました。開発の透明度をあげて開発者の支持を得ることを目指しています。またAzure IoT Edge上で画像認識AIである「Custom Vision」が動くようになりました。従来、画像認識には画像をサーバーに転送する必要がありましたが、今回発表された仕組みを使うと、その必要がなくなります。

提携発表もありました。一つ目は、中国のドローンメーカーDJIとの提携です。DJIのドローンの中にマイクロソフトの画像認識機能を組み込めるようになります。また画像認識IoTデバイスを開発するためにクアルコムと共同開発したカメラデバイスが年内に登場し、奥行きを含めた高度な空間認識を実現する「Project Kinect for Azure」も発表されました。

ナデラCEOは基調講演の中で「あらゆる企業は、『ブランドエージェント』を持つようになる」とも予言しました。「Bot」とも呼ばれるものですが、より賢いものになり、消費者との接点になっていき、企業のブランド価値そのものを支えるものになることを、ナデラCEOは「ブランドエージェント」と称しているようです。そしてブランドエージェントが構築されるには、AIの技術が必須。企業の求める要素に応じ、個性を持って役に立つAIを構築するフレームワークの提供も、同社が狙う市場のひとつのようです。

そしてナデラCEOのプレゼンの最後に発表されたのは、社会貢献プログラム「AI for Accessibility」。AIの力を使って様々な人々の持つハンディを克服し、能力を増幅することを目的としています。この活動に、マイクロソフトは5年間で2500万ドル(約27億2700万円)を投じるとのことです。

10分でだいたい分かるMicrosoft Build 2018(1日目)まとめ

マイナビニュースのBuiild 2018レポート記事です。
MicrosoftのAIに関する具体的な発表のひとつとして、「Kinect for Azure」を発表しています。低ノイズと広い視野角を持つKinectのアーキテクチャとMicrosoft AzureのAIサービスを連携させるものであり、ナデラCEOも「多くのアプリ内で統合することで、コンシューマーや産業用途で使われると考えている」と語っています。

またMicrosoft HoloLensに関連した発表として「Microsoft Remote Assist」「Microsoft Layout」を発表しています。いずれもMicrosoft HoloLens用アプリですが、Microsoft Remote Assistは現場作業員の安全性や効率性向上を目的に、空間や対象物を上級者と共有するものです。インクや矢印を用いた注釈、画像などを挿入し、現場の問題を解決するソリューション。後者のMicrosoft Layoutは、3Dモデルをインポートし、実世界で室内レイアウトを容易に作成・編集するソリューションとのことです。

靴のフラグシップショップをレイアウトするとき、Microsoft HoloLensを用いて加工やレイアウトを行うマイクロソフトのアピールビデオを目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。Microsoft Layoutは対象物の配置を仮想現実上で共有することで、意思決定に要する時間を大幅に短縮します。これらMicrosoft Hololensに関連した2製品は2018年5月22日から早期アクセスを開始する予定です。

10分でだいたい分かるMicrosoft Build 2018(2日目)まとめ

こちらもマイナビニュースのBuiild 2018レポート記事です。
まずは「Timeline on Phone」の発表。iOS版はMicrosoft Edgeベース、AndroidはMicrosoft Launcherベースで動作し、Windows 10のタイムラインと同じデータを提示します。

またスマートフォン内の写真やテキストメッセージ(SMSと思われる)へアクセスするアプリを今後用意することを明らかにしました。スマートフォンに着信したテキストメッセージがWindows 10でも通知され、スマートフォン上のアプリが発する通知確認も行えます。Windows 10 Mobileの開発が中断(?)した今、MicrosoftはスマートフォンとPCの垣根を崩す取り組みに本腰を入れたようです。

Office 365関連でもさまざまな発表がありました。。Microsoft Graphを活用した数々の機能をMicrosoft Principal Program Manager, Yina Arenas氏が紹介。ExcelはAzure Machine LearningとJavaScriptのカスタム関数を利用して、独自の機能拡張を追加し、Office 365 Admin Center経由で特定ユーザーに配布する機能を追加しています。

Microsoft製品・サービスの基盤となるMicrosoft Graphの活用がカギとなる内容だったようです。デバイスの垣根を越える「One Windows」は、Windows 10 Mobileの不遇で座礁したようにも見えていましたが、iPhoneやAndroidデバイスを招くことで維持し、Microsoftはクラウドを含めたサービスプラットフォーム企業を目指すようです。

Microsoft Build 2018:キーワードはAIとエッジ――Azure IoT Edgeを大幅アップデート

TechCrunchのbuild 2018レポート記事で、特にAzure IoT Edgeにフォーカスしてレポートしています。AI、Azure、IoTデバイス向けカスタムアプリ各種からなるAzure IoT Edge。Build 2018で大幅なアップデートが発表されました。

Azure IoT EdgeはMicrosoftのIoT Hubサービスをベースとしていますが、Event Grid やKubernetesコンテナのサポートと同時に同社のCognitive Services APIのサポートが発表されました。 加えてMicrosoftはAzure IoT Edgeのランタイムをオープンソース化。つまりデベロッパーは必要に応じてランタイムをカスタマイズすることができるようになります。

今回のハイライトは、エッジ・コンピューティングに対するCognitive Servicesのサポート開始。現在このサービスは限定版となっており、Custom Visionの視覚サービスのみが利用できます。しかし将来は他のCognitive Servicesに範囲を広げる計画。その結果、大型の産業用機器からドローンまで各種のデバイスがインターネット接続なしに機械学習を応用したサービスを利用できるようになります。

AIに関しては、エッジ・コンピューティングをリアルタイムAI化する新しいBrainwave深層ニューラルネットワーク・アクセラレータ・プラットフォームが発表されました。

Microsoftのイベント・ルーティング・サービスであるEvent Gridがエッジでサポートされましたがサービスを協調動作させるためにいちいちリデータセンターのサーバーを経由するのでなしに、エッジで直接ルーティングができるようになりますのでレイテンシーははるかに少なくなるはずです。

IoT Edgeではマーケットプレイスの開設も計画されているようです。このマーケットプレイスではMicrosoftパートナー、デベロッパーがエッジ・モジュールを共有し、収入を得ることができるようになるようです。

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