7月24日~7月26日の3日間にわたり、「Google Cloud」の戦略や技術、開発ツールなどについての説明を行うイベントとなる「Google Cloud Next ’18」が、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市にあるモスコーン・センター・サウスで開催されました。Google Cloud Platform (GCP)は、AWSやMicrosoftのAzureに大きく差をつけられた三番手のクラウドサービスですが、BigQueryだけでなく、Hadoop、Kubernetes、それからTensorflowとデファクトとなる基盤技術を開発してきた企業です。Googleのクラウド事業のCEOであるDiane Greeneの言葉をかりると、準備が整ったGoogleのクラウド事業の戦いはこれからなのか、オンラインメディアの記事をピックアップして紹介します。
※下記サイトからの転載。ビッグデータ・AIなどに関するトピックを毎週取り上げています。
TechCrowd: https://www.techcrowd.jp/related/
[「Google Cloud Next '18」で見えた、エンタープライズ分野でのグーグルの可能] (https://japan.zdnet.com/article/35123323/)
ZDnet japanのGoogle Cloud Next 2018のレポート記事です。Googleのエンタープライズ分野での取り組み、伸びしろの可能性に視点をあてています。
たとえばAI製品の対象顧客をデータサイエンティスト以外にも広げようとしていること。最新の各社の発表を比較すると、あらかじめ調整された機械学習のサービスに関するGoogle Cloudのアプローチは、依然としてAmazonやMicrosoftとは異なっています。しかし同社は、開発者に提供中のAPIを利用して、「Cloud AutoML」をマシンビジョンのサービスから、自然言語テキスト処理と言語翻訳のサービスにも拡張しました。
興味深かったのは、「BigQuery ML」とのこと。この機能は、「BigQuery」の内部で、データを移動させることなしに機械学習のルーチンを実行できるようにするもの(現時点では、線形回帰分析と二項ロジスティック回帰分析に対応している)。
Googleのエンタープライズ市場に対するもう1つのメッセージは、同社があらゆるクラウド事業者の中で、もっとも大きくオープンソース界に貢献してきたということ。「Hadoop」の基礎はGoogleが構想したもの、Apacheのコミュニティに育て上げるのにはほかの企業の貢献が大きかった面も強かったが、「Kubernetes」と「TensorFlow」で(これらはどちらもデファクト標準になっている)、今では同社がオープンソースに全力投球しているという明確なシグナルを送っています。
またエンタープライズ水準のプロバイダーになるためには、ツールを統合してシンプルにし、開発チームや運用チームが、個別の独立したツールを別々に使って、画面のあちこちを行き来しなくても済むようにする必要がありますが、「Cloud Services Platformの発表」では、Googleが同社のツールを統合し、一体化し、時には1つにまとめて1つの画面に収めるための作業を始めたことを明らかにしたようです。
[グーグル技術部長が語る、「Google Cloud Next '18」で発表された重要事項] (https://japan.zdnet.com/article/35123555/)
ZDnet Japanの、グーグルが8月3日、米国で7月下旬に開催した「Google Cloud Next ’18」の発表内容をダイジェストで紹介するメディアセミナーのレポート記事です。
説明に当たったGoogle Cloud カスタマーエンジニア 技術部長の佐藤聖規氏は、100を超える発表項目の中から重要なものを5つに分類。「G Suite」「セキュリティと信頼」「機械学習とAI」「AIとIoT」「Cloud Services Platform」として、それぞれを解説したとのことです。
機械学習とAIについて紹介したものの中のひとつが、「Cloud AutoML」。機械学習やAIのシステム構築リソースが限られていても、独自の機械学習モデルが構築できるというものです。ベータ版として、画像解析の機械学習機能を持つ「Cloud AutoML Vision」、自然言語処理APIの「Cloud AutoML Natural Language」、独自のカスタム翻訳モデルが構築できる「Cloud AutoML Translation」が公開されました。
Cloud AIソリューションとしては、AIを使ったコンタクトセンター「Contact Center AI」のアルファ版が登場。Virtual Agent機能でAIが自動的に質問に答えるほか、オペレーターに引き継ぐ場合も企業のナレッジベースに基づいて解答や文書を推薦し、オペレーターが効率的に課題に対処できるよう支援するとのことです。
BigQuery MLのベータ版も紹介されました。BigQuery MLは、「機械学習やプログラミングの知識が必要なTensorFlowと、少しコーディングスキルがあれば簡単に利用できるAutoMLの中間的位置付けで、機械学習の基礎を理解しSQLを作成するスキルがあれば機械学習モデルの構築が可能」になるもののようです。
Cloud Services Platformとは、クラウドとオンプレミス環境において高度な運用管理機能を提供する基盤サービスとテクノロジを合わせたクラウドプラットフォーム。今回の発表で注目されたのは、アルファ版として登場した「Google Kubernetes Engine On-Prem(GKE On-Prem)」。これにより、GCP上で動作するKubernetesのマネージドサービスが、オンプレミス環境でも稼働できるようになるとのことです。
[Google Cloud CEOのDiane Greeneインタビュー:準備が整った私たちの戦いはこれからだ] (https://jp.techcrunch.com/2018/07/28/2018-07-24-google-cloud-wants-enterprises-to-think-beyond-infrastructure/)
TechCrunchが、Googleのクラウド事業のCEOであるDiane Greene氏から、Google Cloudの現状と近い将来に期待できることについてインタビューしたレポート記事です。
Greene氏が指摘したものは、多くの企業が初めはクラウドコンピューティングをインフラストラクチャーのための道具として扱ったこと。コストを低減しリソースに対する柔軟なアクセスを得るために採用した。「それがいまや、それ以上のものになり始めています。誰もが、それがより安全な場所であることに気が付いていますが、私がさらに感じているのは、企業をより成功させるためには、情報密度を上げることが大切だということです」Greene氏のコメントです。
GreeneがGoogle Cloudにやってきたときに気が付いたことは、Googleが大企業が必要とする多くの機能を持っていないことだったとのこと。総合監査ログを持っておらず、きめ細かなセキュリティ制御の手段も持っていなかったようです。
現在Google Cloudを選択している企業には、3つの異なるカテゴリがあるとGreeneは考えている。まずクラウドの中で生まれた企業群。「そうした企業がGoogle Cloudを選ぶのは、技術的な観点からみて私たちが最高だということを知っているからです」とGreene氏は言う。
つぎにインターネットで先行してはいるものの、いまでも大量のデータを中心的に扱っている大企業たちの中に、クラウドへの移行を始めているものが沢山あるとのこと。Googleが今年のCloud Nextで、Cloud Services Platformの開始によって本当に訴求していた相手は、そのようなハイブリッドなクラウド適用プランを欲している或いは必要としているビジネスたちのようです。
[Google、Cloud Next'18でAIの大衆化を実現する「AutoML」の新API、「G Suite」の拡張などを発表] (https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/event/1134528.html)
クラウドwatchのGoogle Cloud Next 2018のレポート記事です。
まずは、AutoML。AutoMLは発表時点では「AutoML Vision」という画像認識に特化したAPIが提供され、既に利用できるようになっていましたが、今回のNext ’18ではそれに加えて自然言語向けの「AutoML Natural Language」、翻訳向けの「AutoML Translation」という2つのAPIが追加されたことが明らかにされました。Googleによれば、日経新聞がこのAutoML Translationを利用し、日経新聞の日本語の記事を英語版に、そして傘下のファイナンシャルタイムズの英語記事にする自動翻訳サービスを自前で構築し、検証したとのことです。
またGoogleは、第3世代のTPUに基づいたアルファ版の提供開始を明らかにしました。第3世代のTPUは5月に開催されたGoogle I/Oで概要は発表されていましたが、従来世代に比べて高い学習性能を持っていると明らかにされており、Google CloudのMLの学習性能が今後飛躍的に向上していくことになるとGoogleでは説明しています。
Googleが企業や個人事業主向けのビジネスプラットフォームとして提供している「G Suite」においても、拡張が発表されました。特に法人ユーザーにとって注目したいのは、「データリージョン」と呼ばれる新しい管理機能が追加されること。
今回発表されたデータリージョンでは、管理者が明示的にデータをどこに置くかを選ぶことができる。最初の段階ではグローバル(これまでと同様どこのサーバーに置かれているかは分からない設定)、米国、欧州の3つの中から選ぶことができる。この中に日本という選択肢はまだないため、日本のリージョンを明確に指定して、というわけにはいかないが、グローバル企業であれば、米国に社員が多いから米国を明示的に選ぶ、といった選択が可能になるようです。