ディープラーニングのブレイクスルーであることを示す例としてもよくとりあげられる画像認識による認識率の向上。GoogleやAWS (Amazon Web Services)などがツールとしてコンピュータビジョン技術を利用できるようにしてくれていますが、ビジネス現場での利用例がだんだんと見えてきました。コンピュータビジョンがこれまでとは異なるレベルで工場のほかでもいろいろ利用されるようになるのか。オンラインメディアの記事の中からピックアップして未来のコンピュータビジョン利用の可能性が感じられるものを紹介します。
※下記サイトからの転載。ビッグデータ・AIなどに関するトピックを毎週取り上げています。
TechCrowd: https://www.techcrowd.jp/related/
[LINX Days 2018 - マシンビジョンが切り開くものづくりの未来] (https://news.mynavi.jp/article/20181122-727661/)
マイナビニュースの、11月22日に大阪にて開催されたリンクスのプライベートカンファレンス「LINX Days 2018」レポート記事です。
リンクスはこれまで、コンピュータビジョン、特にマシンビジョンを用いて工場内の画像処理の高度化を可能とするソリューションの提供を積極的に進めてきた会社です。現在、工場の外も含めた5つのポートフォリオでのビジネスの拡大を目指しているという話を同社取締役社長である村上慶氏がしてくれています。
まずは現在のマシンビジョンの技術サイクル上の段階として、2018年の現在は、3Dのマシンビジョンが成長期を迎え、そして5年後に羽ばたかせたい技術を仕込む段階にあるという話から入ったようです。そこを踏まえて5つのホートフォリオの説明をしています。
1つ目は工場内での「マシンビジョン」の活用。2Dから3Dへ、そして2017年にはAIやスペクトルカメラの活用などが始まったといいます。二つ目がPLC。3つ目は、ロボット分野への参入。ロボットは画像処理技術が貢献できる部分が多いことから参入を決めたとのこと。
4つ目となるのが工場外でのロボットの活用に向けた取り組み。例えば物流では、箱に入っているさまざまなものを、それがなんであるかを気にすることなく、ベルトコンベアに流すといったニーズがあるほか、海外メーカーを中心に、ホテルでのデリバリなども可能とするロボットが登場してきており、こうした動きを受けて、これから5年でさまざまなロボットが工場の外で活用されるようになるという見通しをしています。
そして5つ目がエンベデッドビジョンの工場外での活用への対応。これまでのコンピュータビジョンの処理は、PCクラスの処理能力が求められていたが、スマートフォンのSoCのパフォーマンスが向上。また、AI機能も搭載できるようになったことから、画像処理が工場の外にものすごい勢いで出ていこうとしているとのことです。
[なぜインテルはコンピュータビジョンに注力するのか、エッジへの分散処理が鍵に] (http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1809/12/news053.html)
ITmediaの製造業向けメディア”MONOist”の記事です。インテルが2018年9月11日、東京都内で会見を開き、AI(人工知能)技術の1つとして注目されている「コンピュータビジョン」への取り組みについての説明会を行った様子をレポートしています。
2018年5月に発表した無償のコンピュータビジョン開発ソフトウェア「OpenVINOツールキット」がさまざまな企業に採用されており、「日本でも複数の産業でアクティブにつかつてもらっている」とのこと。
コンピュータビジョン市場規模が2023年までに173億8000万米ドルに、動画解析の市場規模が2022年までに111億7000万米ドルになるなど、コンピュータビジョンに関わる市場が急成長していることを紹介してくれました。その要因として、監視カメラなどのアナログからデジタルへの移行と、それによって画像がデータとして扱えるようになったことを挙げています。また、インテルが2013年ごろからグローバルで注力してきたスマートシティー分野においても、セキュリティや交通監視をはじめコンピュータビジョンの活用が進んでいるようです。
クラウドで学習したアルゴリズムを用いてエッジで推論を行うことが当たり前になり、分散型のコンピュータアーキテクチャに移行していくという認識のもと、この分散型コンピュータアーキテクチャに対応可能な、クラウドからエッジに至るまでの幅広い製品ポートフォリオを有しているのはインテルだけであり、だからこそインテルはコンピュータビジョンに関わっているとのこと。
OpenVINOツールキットは、「Caffe」や「TensorFlow」をはじめ100以上のディープラーニング開発用のフレームワークをサポートしており、さまざまなインテル製品上で最高のパフォーマンスを発揮するコンピュータビジョンの推論アルゴリズムを容易に開発することができるようです。
[コンピュータビジョンの要素技術と応用範囲] (https://news.mynavi.jp/article/cv_future-2/)
マイナビニュースに掲載されている、樋口未来さんのコンピュータビジョンに関する連載記事です。コンピュータビジョンの応募事例について、取り上げている記事がありますので、その中からピックアップして紹介します。
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デジタルカメラやスマホのカメラ
人間の顔を検出して、自動的にピントを合わせる -
自動車の自動運転
カメラ、ミリ波レーダ、レーザレーダのいずれか、またはそれらの組み合わせで、周囲の車両、歩行者、車線を認識し、車を自動で制御。衝突の可能性がある場合には自動でブレーキをかける機能はすでに製品化されています。また、車両前後左右に取り付けられたカメラ映像の視点を変換、結合することで、車を真上から見た映像を生成し、駐車を支援するシステムが製品化されています。 -
Google Earthの三次元地図
空撮した複数の画像から建物の3次元形状を自動で計測することで、地図の3次元化に成功。一部地域で3次元地図に対応しており、視点を変えて建物などの構造物をいろいろな角度から見ることができる。 -
ドローンの自動飛行
カメラを用いてユーザを自動で検出・追尾しながら、映像を撮影することができるLilyという製品が発表されています。
5)掃除ロボット
Dysonの掃除ロボットは、360度カメラを用いて部屋の地図を作成して現在位置を把握し、部屋の中をくまなく掃除することができます。
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セキュリティゲートでの認証
空港の税関を通過する際に、ブラックリストに載っている人物を、監視カメラ映像から自動で検出するシステムが導入されつつあります -
監視カメラ
一部の監視カメラでは、映像を単に録画するだけでなく、侵入者を自動で検知する機能や、録画した膨大な映像から人が映っているシーンのみを検索する機能などが搭載さています -
ナンバープレート読み取り
一部の大型スーパーの駐車場では、精算機で事前に精算しておくと、駐車券を挿入することなく駐車場出口で自動的にバーがあがります。これは、入庫時に駐車券を発券すると同時にナンバープレートを撮影します。そして、出庫時にそれらのデータをもとに清算済みの車か否かを判定してゲートを開けるシステムです -
工場の自動化
・食品の異物自動選別
・半導体の不良品検査
10)医療
CTやMRIにより人体内部を可視化する技術や、撮影した画像から患部を見つける技術などが研究開発されています
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スキャナー
スキャナーには、印刷物を画像データとして保存するだけでなく、文字を読み取ってくれるものがあります。また、郵便局では郵便物の宛名の自動読み取り機械が昔から使われていますし、企業の文書の自動読み取りなどにも画像からの文字認識はOCRと呼ばれ、いろいろ利用されています。 -
Adobe Photoshop
物体を消す、背景を消す、色調を変える、写真を合成する、顔や体の輪郭を修正する、といったさまざまな機能が組み込まれています。これからはいずれもコンピュータビジョン技術を利用した機能です。 -
AR(拡張現実感)
ARはリアルのカメラ画像から位置・姿勢を検出することにより、コンピュータグラフィックスなどの画像をカメラ映像に合わせて表示する技術です。コンピュータビジョンの物体認識・三次元位置姿勢の検出などの技術が用いられています
[天井にカメラを設置するだけでどんな店舗にも導入できるレジレス買い物ソリューション] (https://techable.jp/archives/87754)
海外・国内のベンチャー系ニュースサイト「TECHABLE」に掲載された記事です。
米サンフランシスコで2017年に創設されたスタートアップ企業「Standard Cognition(スタンダード・コグニション)」は、人工知能(AI)をベースとするコンピュータービジョンを活用した店舗向けレジレス買い物ソリューションを開発したと紹介しています。
「Standard Cognition」のレジレス買い物ソリューションは、天井にカメラを設置するだけで、様々な店舗に導入できるのが特徴。利用者の外形と動作、商品の移動状況をリアルタイムで追跡し、利用者が購入する商品を特定する仕組み。
2018年9月には、独自のソリューションをデモンストレーションする実店舗「Standard Store(スタンダード・ストア)」をサンフランシスコ中心部に開設しています。