最近、さまざまなオンラインメディアで、ブロックチェーン技術の可能性についての記事が
目につくようになっている。ビットコインを支える技術「ブロックチェーン」。しかし、ビットコイン、仮想通貨に限らず、国際間をまたがる少額決済を可能にしたり、スマートコントラクトなど取引や契約などの正当性・信用性を第三者に証明してもらうような業務はなんでもブロックチェーンの技術によって置き換えられて、手軽に便利に低コストとなって、これまでにない用途にも利用可能となるとされています。さまざまな用途への波及がメディアで注目されているブロックチェーン技術。オンラインメディアからピックアップして紹介します。
※下記サイトからの転載。ビッグデータ・AIなどに関するトピックを毎週取り上げています。
TechCrowd: https://www.techcrowd.jp/related/
「ビットコイン」の終わりから「ブロックチェーン」の時代へ
中島真志麗澤大学経済学部教授。日本銀行から金融研究所、国際決済銀行など長く金融の中枢にいて
『アフター・ビットコイン 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』の著者。その中島教授への新潮社フォーサイトのインタビュー記事です。
冒頭、中島氏も毎年参加していた金融関係の国際会議での注目分野の変遷にふれています。2013年、14年にはビットコインが話題になっていたのが、2015年になると、ブロックチェーンに注目が変化したとのこと。「金融の世界を根底から覆すかもしれない」と金融のプロたちの集まりで注目されている技術で、今年のその会議では、バーナンキ元FRB議長も、ロックチェーンは、潜在力が高く、今後発展するだろうと述べたとのこと。
ブロックチェーンは金融以外でも利用分野がいろいろ議論されていますが、金融分野では、特に国際送金や証券決済の分野で大きく期待されており、とうとう中央銀行がブロックチェーン技術を使って、「デジタル通貨」を発行しようと動いているとのこと。その最もホットなニュースが、11月13日に報道された、南米のウルグアイが法定デジタル通貨「eペソ」の試験運用を開始というもの。
また、キャッシュレスが進んでいるスウェーデンでも、スウェーデン中央銀行が2016年にデジタル通貨「eクローナ」の発行計画を発表しています。「デジタル通貨の発行は、やるかやらないかというwhether(どちらか)の問題ではなく、いつやるのかというwhen(時期)の問題なのだ」― スウェーデン中央銀行の人のことばとのこと。
ブロックチェーンは仮想通貨以外に広がるか 「有効性」問われる2018年
IDC Japanが2018年の国内IT市場の主要10項目を発表しましたが、その発表会の中ではブロックチェーン技術の可能性について言及されました。ITmedia NEWSのレポート記事です。
「2018年はブロックチェーンが仮想通貨以外の領域に広がるかが問われる」。IDC JAPANの中村智明リサーチプレジデントが発表会の中で強調していたとのこと。ブロックチェーン技術の可能性はさまざまな分野で注目されていますが、この発表会の中で中村氏でふれていたのは、ブロックチェーン技術のデータ保護への有効性です。
2018年5月に施行が予定される欧州連合(EU)の「一般データ保護規則」(GDPR)。GDPRは、個人情報の取り扱いやプライバシー保護を厳格化するもので、個人情報漏えい時に72時間以内の報告義務を課すもの。
日本企業で対応している企業は少なく、IDCは「対策を怠って賠償金を支払うことになる企業が日本でも出てくる」と考えているという。対策案の1つとしてブロックチェーンの活用があるとのことで「GDPRでは、個人情報をどう管理するかが問題になるが、ブロックチェーンはそれらを全て記録し、トラッキングできる。具体的なサービスには至っていないが、実現する見込みはあると考えている」とのこと。ブロックチェーン技術が仮想通貨以外の領域に広がるかの試金石ともなると考えていると述べています。
『信頼せず検証する』ブロックチェーン技術で金融インフラを見直そう」
「信頼」の概念の再定義こそが、ブロックチェーン技術に注目が集まっている理由とのこと。さまざまな用途への可能性が議論されているブロックチェーン技術ですが、なぜブロックチェーンは大きな可能性とさまざまな用途への適用ができるのか、感じさせる講演です。TechCrunch Tokyo 2017のGuest Session「ブロックチェーン技術で『信頼』を再考する」で語った、カナダBlockstream社CSO(Chief Strategic Officer)であるSamson Mow氏の講演内容についてのTechCrunchの解説記事です。
Mow氏が列挙したブロックチェーンの特性とは「検証可能性、リアルタイム監査、公開された取引台帳、セキュアな暗号学的トークン、インターネット上で動作、全ノードがデータの複製を持つこと」。これらの特性を活用することで、金融インフラを合理的に再構築することができるとのこと。また金融分野の取引にあたり会社組織や制度を信用して全面的に任せるのではなく、自動的、機械的、暗号学的に検証するアプローチを採ることで、より良いシステムを作ることができるという提案でもあるとのこと。
ブロックチェーンによるイノベーションの中心は「信頼できる仲介者が発行したIOU(借用証書)」を用いるやり方から、「デジタルな資産」を直接交換するやり方に移行できることであり、「破壊的イノベーションが、ブロックチェーン技術の分野でも起きている。世界中のインフラを再構築するチャンスだ」。と述べ講演をしめくくったとのことです。
仮想通貨技術「ブロックチェーン」で消える仕事
日経ビジネスオンラインが、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏に、ブロックチェーンがもたらす社会変革について聞いたインタビュー記事です。インターネットは情報の民主化を進めたが、ブロックチェーン技術は、マネーや価値を民主化するものと見ているとのこと。
ブロックチェーン技術によって可能となることとして、国際間の送金のコストが大幅に下がるとともに即時に送金できるようになることにふれるとともに、少額送信・少額決済のコストも下がり、これまでにないビジネスが広がる可能性について言及しています。ウェブ上の少額のサービスが広がり、個人によるサービス提供だけでなく、広告収入主体だったウェブのコンテンツ提供も変わる可能性があるとのべています。
また、取引の正当性・信用性を証明するような仕事も不要となり、「スマートコントラクト」が実現すること、それによって、これまでその信頼度から大企業がビジネス上有利であったものが、ブロックチェーン技術が何が正しいのかを立証してくれるようになることにより、個人でも仕事の受発注がしやすくなり、起業・フリーランスの増加にもつながる可能性について解説しています。