Googleのクラウドサービスの年次カンファレンス「Google Cloud Next ’19」が4月9日(米国時間)から三日間にわたり米国サンフランシスコにて開幕されました。各種IT系のオンラインメディアで紹介されました。クラウドのサービスとしてはAWS, Azureに次いでの三番手であるGoogleの今後のクラウド展開として、データセンターの拡充やオープンソースプロダクトを開発している企業群との提携の発表、今回最も注目されたハイブリッドクラウドのプラットフォーム「Anthos」の発表がされたほか、Googleの強みであるAI関連の新しいサービスの発表など、オンラインメディアの記事をピックアップして紹介します。今年のGoogle Cloud Next in Tokyoは7月31日から二日間の開催。まだ3ヶ月ほどありますので、まずは概要をこれらの記事からつかんでください。
※下記サイトからの転載。ビッグデータ・AIなどに関するトピックを毎週取り上げています。
TechCrowd: https://www.techcrowd.jp/related/
「Google Cloud Next '19」が開幕--グーグルが描くハイブリッドクラウド戦略
ZDnet JapanのGoogle Cloud Nextの報告レポートで、全体の様子をわかりやすく伝えてくれる内容となっています。
Google Cloud Nextの初日の基調講演、まず冒頭はGoogle 最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏による講演。Pichai氏は、「Googleにとってクラウドは最も大規模に投資している分野のひとつだ」として、今回韓国ソウルと米国ユタ州ソルトレイクシティに、Google Cloudの新たなリージョンを開設すると発表しました。両リージョンは2020年にオープンする予定。また、Googleは日本で2カ所目となる大阪リージョンの開設を既に発表していますが、同リージョンは数週間以内にオープン予定とのこと。
Pichai氏に続いて登壇したのは、2018年12月にGoogle CloudのCEOに就任したThomas Kurian氏。これまでOracleの役員を務めてきた同氏がGoogle Cloudのトップに立ったことで、GCPのエンタープライズ分野での戦略がこれからどのように変わっていくのかも注目されていると紹介したのちにKurian氏が発表したハイブリッドクラウドプラットフォーム「Anthos」に関する発表や仮想マシンをオンプレミスや他のクラウドからGoogle Kubernetes Engine (GKE)のコンテナに自動的に移行できるクラウドへの移行ツール「Anthos Migrate」の発表などを紹介しています。
さらにコンテナ型アプリケーション向けのサーバーレスコンピューティングプラットフォーム「Cloud Run」の発表についても紹介。Cloud Runはフルマネージドのサーバーレス実行環境、オープンAPIとランタイム環境のKnativeがベースとなっているとのこと。これにより、ユーザーはワークロードをオンプレミスや複数のクラウド上で実行することが可能で、アプリケーションのポータビリティが実現されるとのことです。
Google Cloud Nextでもっとも注目された「Anthos」とは何か?
クラウドWATCHのGoogle Cloud Nextのレポート記事です。今回のGoogle Cloud Nextで各種メディアでももつとも注目された発表として一番とりあげられている「Anthos」にフォーカスして紹介してくれている記事です。
「Anthos」は、Google Kubernetes Engine(GKE)およびそのオンプレミス版のGKE On-Prem、さらには他社のクラウドまでわたってKubernetesクラスタを統合的に管理するプラットフォーム。Google Cloud Next ’19会場で開かれた日本のプレス向け説明会で、グーグル・クラウド・ジャパンの佐藤聖規氏(カスタマーエンジニア 技術部長)は、Anthosが開発された理由として「ハイブリッドは正しい姿。企業は多数の既存のシステムがあり、すべてクラウドというのは現実的ではないという考え」と説明したとのことです。
Anthosは、2018年に発表された「Cloud Services Platform」をリブランディングしてGA版にしたもの。佐藤氏によると、Cloud Services Platformはアルファ版の申し込みが数分で満員になるほどの反響だったとのこと。
Anthosには日本で(アジアで)唯一、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)がパートナーとして名前が挙がっている。NTTコミュニケーションズの角守友幸氏(クラウドサービス部 ホスティングサービス部門 部門長)によると、同社のEnterprise Cloudサービスの中で、ベアメタルサーバーにGKE On-Premを載せた形でサービスを提供する予定とのこと。
「AutoML」の強化から「AI Platform」まで、Google Cloudが機械学習/AIで多数の発表
@ITのGoogle Cloud Nextのレポート記事です。4月10日に行われた、機械学習/Aiに関する多数の発表にフオーカスして報告してくれている記事です。今回のGoogleの機械学習/AIに関する新しいサービスは、大きく「ビジネスユーザーのAI活用支援」と「貴重な社内データサイエンティスト/データエンジニアの生産性向上支援」の2つに向けたものとのこと。
まずは「Document Understanding AI」のβ版の発表について。紙やPDF、Wordドキュメントなどの形で蓄積されているデータにおけるフォーム項目やテキスト、表、グラフなどを識別、情報を「構造化」した形で抽出して、自然言語分析や構造化データに基づく予測などができるサービス。
次に、AIエージェント(チャットボット)を活用してコールセンター業務を自動化する「Contact Center AI」の発表。2018年のGoogle Cloud Nextで発表されたサービスのβ版の提供開始の発表です。
Google Cloudは業種に特化したソリューションにこれまでも力を入れてきましたが、Google Clooud Next ‘19では、特に小売・流通業向けの具体的なサービスが複数発表されました。「Vision Product Search」(GA)は、モバイルアプリで撮影した商品に対して、登録カタログの中からにている製品を見つけて表示してくれるもの。また、「Recommendations AI」(β版)は、顧客ごとにリコメンデーションを行う作業を自動化してくれるようです。
「AI Platform」(β版)は、「貴重な社内データサイエンティスト/データエンジニアの生産性向上支援」を目指したサービス。Google Cloud AIのエンジニアリング担当バイスプレジデント、アンドリュー・ムーア氏によると、AI Platformは「熟練したAI開発者を対象とし、こうした人々がモデルの構築と適用を迅速に行えるよう支援するサービス」。チームとして単一のユーザーインターフェースを通じ、モデルの共有、訓練、推論のスケーリング管理まで、一連の機械学習/AIプロセスを管理し、実行できるようです。
Cloud AutoMLは、機械学習の専門知識がなくともカスタムの機械学習モデルを構築、利用できるサービス。これまでも画像解析の「AutoML Vision」などを発表してきましたが、今回新たに発表したのは「AutoML Tables」(β版)と「AutoML Video」(β版)。AutoML Tablesは表形式/構造化データに基づく需要予測などがコーディングなしに行えるようです。
Cloud Nextカンファレンス開幕、Googleはオープンソース提携でAWSに挑戦
TechCrunchのGoogle Cloud Nextのレポート記事です。今回の発表の中で、オープンソース企業との連携に関する発表にフォーカスした記事です。
今回、Googleはオープンソースのデータマネジメントとアナリティクスのトップ企業多数と提携したことを発表しました。パートナー企業として発表されたのは、Confluent、DataStax、Elastic、InfluxData、MongoDB、Neo4j、Redis Labsなど。これらの企業はプロダクトをGoogle Cloudプラットフォームに統合させ、マネージドサービスとして顧客に提供していきます。
TechCrunchの記事では、今回のカンファレンスの内容を見ていくと、Googleは明言こそしていないが、オープンソース・コンピューティングをめぐる方向性としてAmazonとまったく異なることが鮮明になったとのこと。AmazonのAWSクラウドは最良のオープンソースプロジェクトを取り上げ、独自のプロダクトにフォークさせてAWSブランドのパッケージとして提供していますが、この際AWSはオリジナルのオープンソースプロジェクトに対してほとんど何も貢献しないのが普通です。これに対してGoogleはオープンソースプロジェクトを開発してきた企業と提携し協力していく道を選んだとのこと。Googleも提携企業も財務面の詳細に関してはコメントを避けたが、売上の共有、配分に関してなんらかの取り決めが行われたものと推定されるとTechCrunchは解説しています。