皆さんこんにちは。
税理士・中小企業向けクラウド会計・給与・税務システム「A-SaaS(エーサース)」を提供するMikatus株式会社でプロダクト責任者を務めている上村です。
50人規模の開発組織を統括しています。
この記事は[Mikatus Advent Calendar 2020](Mikatus Advent Calendar 2020)の最終日の記事となります。
2020年に実施して成果が出た施策
事業戦略にフォーカスし、俊敏に動ける開発組織を目指し、今年もいろいろな施策を社内で実施しました。
そのなかでうまくいったことを3つご紹介したいと思います。
組織や職種の壁を壊す
3月に大掛かりな組織再編を行いました。
それまで、「企画」「開発」「QA」という職種ごとに分かれた機能別組織だったものを、「既存事業グループ」「新規事業グループ」というように事業別組織に改めました。
機能別組織と事業別組織にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
職種ごとの専門性を高めるうえでは機能別組織のほうが優れており、事業ごとの生産性を高めるうえでは事業別組織のほうが優れています。
今年は、事業戦略にフォーカスする形で事業別組織に振り切りました。
そして、その際に組織や職種の壁をなるべくなくす取り組みをしました。
これまで10年間機能別組織でやってきたので、今回の組織再編ではメンバー全員に大きな意識変革が求められました。「自分はピッチャーだから守らない、打たない」ではなく、「ピッチャーだからこそ、空いたベースのカバーのために走り回るし、バントもきっちり決めて攻撃にも貢献する」ように心がけよう、といった話をして、理解を求めていきました。
意外なことに、この意識は組織に急速に浸透し、企画や開発が下流工程のQAのテストを手伝ったり、自分の所属するチーム以外で困っている人がいたら助けるということが普通に起きるようになりました。
この下地として、Mikatusではチームワークを大事にする価値観が浸透していたことが成功要因の一つだったかもしれません。
Mikatusにはカリスマ技術者もスタープレイヤーもいませんが、チームワークで開発を進めることができる非常に良い組織になったと思います。
OKRを導入
組織再編後、OKRを試験的に導入しました。
開発チームに売上責任を負わせられるほどには組織が成熟していないため、一旦、開発計画やシステム稼働率に対してチームがコミットするような形としました。
これまでは、顧客の声(Voice of Customer)を拾って優先度の高いものから開発してリリースする、ボトムアップ型の開発計画の立案手法を採っていました。
ビジネスや技術が安定している局面においてはこれでいいと思います。しかし、技術進化のスピードが早まり、競争環境がダイナミックに変化していくなかで、より戦略的な開発が求められるようになり、顧客の声を拾って開発するスタイルを続けていては時代に乗り遅れる危機が生まれてきました。
そこで、OKRを導入し、短期と中長期の目標を明確にして、トップダウン型で開発計画を立案する手法に切り替えました。
OKRの試験導入に際しては、戦略に沿った形で開発計画を立案する重要性や、チームメンバー全員で戦略への意識を統一して開発しよう、といったことをメンバーに話しました。
OKR自体もいきなり全メンバーに導入するのではなく、まずはマネージャー層から導入する形で、クッションを入れました。
試験導入期ということもあり、戦略とは関係性が薄い開発に時間を使ってしまうケースもありましたが、時間とともに、そういうケースは減っていき、半年たった今ではほぼ100%戦略に沿った開発計画の立案と実行ができるようになってきました。
メンター制度の導入
本記事でご紹介する施策の最後となります。
メンター制度を導入し、メンターとメンティの関係を明確にしました。
これまでもなんとなく徒弟制度のようなものはありましたが、より強く組織全体で成長と育成への意識を持ちたかったので、正式にメンター制度を導入しました。
メンターとメンティのバランスについては、特定のメンターの負担が増えすぎないよう、メンター1人がメンティ1〜2人を見る形にしました。
また、メンター各人に活動方針を立案してもらい、メンティとのコミュニケーションを密に行ってもらいました。
結果的に、若手のメンティが成長するだけでなく、ベテランのメンター側の育成意識が高まり、当初狙っていた組織全体の意識の高まりを実現することができました。
Mikatusは社員の成長を何よりも大事にしています。
メンター制度の導入によって、社員の成長がより促進される方向に進化できたことを大変うれしく思います。今後も運用を続けていきたいと思います。
最後に
本記事は以上となります。
開発組織のマネジメントはうまくいくこともいかないことも多々ありますが、今年は大きな改革を行い手応えを感じられた1年でした。
日本全国の技術者の皆さん、2020年もお疲れさまでした。良いクリスマスを。そしてまた来年、ともに高め合いましょう。