はじめに
ChatGPTやGeminiといった生成AIが急速に普及する中、「プロンプト(指示文)の書き方」はもはや新たなリテラシーの一つとなっています。
しかし、「AIにどう指示を与えれば自分の望む結果を得られるか」は実際にAIを活用していく中で模索している人が大半ではないでしょうか。
そんな中、Googleが提供するGoogle Prompting Essentialsという生成AIとの対話をより効果的に行うための基本原則をまとめたガイドがあるのですが、今回キャンペーンで無料受講する事が出来たので要点をまとめてみました。
本記事では「具体的なプロンプトの構成手法」と「生成AIの特徴を利用したテクニック」の2構成でお伝えしていきます。
この記事が普段のAI活用の手助けになれば幸いです。
※Google Prompting Essentialsの実際のコースでは上記の内容を全て包括して解説しているので、この2構成でのまとめには違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
あくまで、コース内容を理解しやすいように筆者が分類しているに過ぎないのでその点はご了承ください。
具体的なプロンプトの構成手法
①「タスク」 "誰"からの立場で何をしてもらう?
プロンプトの中核は、AIにどんな「作業」をしてほしいのかというタスクの明示です。
タスク設計の最大のポイントは"誰"の視点で作業を行うか。つまりペルソナの指定です。
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例:
「あなたはプロのコピーライターです。
スキンケア商品のキャッチコピーを50文字以内の箇条書きで出してください。」
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このようにプロのコピーライターというペルソナを指定する事で求めている回答の精度を高めています。
また、「出力の形式」を指定する事も最適な結果を求める上で重要な項目となっています。
箇条書き?表形式?50文字以内?など回答イメージに近づける情報は惜しみなく与えましょう。
このタスクに関する詳細情報に関しては、文量を気にせず、前提や背景、期待する出力のスタイルなど、細かく伝えるほど精度が上がるとされています。
②「コンテキスト」 必要な背景情報を与える
指定したタスクに関して、「どんな状況」で使うものなのかを明確にする事が大切です。
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例:
「あなたはプロのコピーライターです。
スキンケア商品のキャッチコピーを50文字以内の箇条書きで出してください。
夏に販売される予定の日焼けケアに焦点を当てたスキンケア商品です。
営業会議で案の一つとして発表するのでキャッチコピーのターゲットも明確にして下さい」
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このように、出力された内容をどんな状況で利用するのか、また商品自体の詳細な情報を指定する事で出力の精度を高める事が出来ます。
③「参照」 参考情報を与える
関連するデータ・背景知識などを参照情報として提供すると、AIはより的確で一貫性のある出力ができます。
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例:
「あなたはプロのコピーライターです。
スキンケア商品のキャッチコピーを50文字以内の箇条書きで出してください。
夏に販売される予定の日焼けケアに焦点を当てたスキンケア商品です。
営業会議で案の一つとして発表するのでキャッチコピーのターゲットも明確にして下さい。
過去に採用されたキャッチコピーの例を以下に示します。
A商品・・・・・ B商品・・・・・ C商品・・・・・・」
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注意点として、参考情報として与える情報は2~5つの参照数が適しているという事です。
参考情報として例を挙げすぎると、結果の歪みやクリエイティビティに欠ける結果を出力する傾向が高くなります。
生成AIの特徴を利用したテクニック
ここからは具体的なプロンプトの構成手法からは外れた、生成AIを実際に利用していく上で「望む結果」を得るためのテクニックとなります。普段AIを活用している方々にとっては当たり前に身についている内容かもしれません。
①「反復」 情報を追加しながら改善していく
「望む結果」を得るためのプロンプトは必ずしも一発で完璧な出力をするとは限りません。
生成AIの特徴として、全体の関係性を把握して一度に解析するよりも、小さなタスクを繰り返し処理した上で解析する方が得意としています。
タスクを細かく細分化した上で、入力→出力を行い、その出力に対して新たなタスクを追加していく手法の方が望む結果が得られる可能性が高いという事です。
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例:
「あなたはプロのコピーライターです。
夏に販売予定の日焼けケアに焦点を当てたスキンケア商品の特長を、箇条書きで3〜5個、簡潔に整理してください。」
→
「先ほどのスキンケア商品の特性を踏まえて、この商品に最も適しているターゲット層(性別、年齢層、悩み、生活スタイルなど)を明確に定義してください。
箇条書きでお願いします。」
→
「以下の条件で、スキンケア商品のキャッチコピー案を3つ作成してください:
・50文字以内
・箇条書きで
・定義したターゲットに響く言葉選び
・日焼けケアの効果を伝える
・夏の使用シーンがイメージできること」
→
「営業会議で共有する資料にふさわしい表現に調整してください。ビジネスパーソンが理解しやすく、商品価値が伝わるようなトーンでお願いします。」
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このように段階的にタスクの入力を繰り返す事で、
・解析と出力の質向上
・不明瞭な点を都度確認できるというメリット があります。
また、場合によってはペルソナの視点を変えてみるという方法も有効です。
今回の例だと、「プロのコピーライター」の立場としてキャッチコピー案を作成していますが、実際に利用者側の立場で買いたい!と思いたくなる肌の悩み、商品の特性を導き出して、それを元にキャッチコピーを生成すればまた違った結果が得られるかもしれません。
まとめ
プロンプトは単なる質問ではなく、AIとの協働を成功させるための設計図です。
今回紹介した以下の4つの視点を意識することで、出力の質は大きく変わります。
✅ タスクとペルソナを明確に
✅ コンテキストを具体的に
✅ 適切な参照を活用(参照数は2-5個の範囲)
✅ タスクを分割して反復して指示を与える
また生成AIに関する気になる事があれば記事にしていきたいと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました。