📡観測範囲
- Paiza転職およびGreenを使用
- 2021年秋~2022年夏に、提示年収400万~のレンジで、フロントエンド/フルスタックエンジニア/クロスプラットフォーム系アプリエンジニア枠で募集かけてる(かけてた)会社
- ビジネス形態としてはSES/受託開発/自社サービスと幅広く
- 業務分野も医療系/建築系/不動産系/金融系/エンタメ系/その他諸々とこちらも幅広く
- 日本全国対象
面談だけで40社超えてるので求人に目を通したのは60社ぐらいは行ってるのでないかと思います。
またほぼ全部、スカウトメール経由で転職活動を行ったため、自分の技術スタックによるバイアスが入ってます。(RubyよりPHPの方が多い等)
偏りが大きいのでIT業界全体の現況などと口が裂けても言えませんが、逆にあんま表沙汰にならないようなベンチャー、中小零細、レガシー企業、非IT企業のIT部門採用等、色々見てきたので印象深いトピックを紹介していければと思います。
また前職が超レガシーな零細企業で、エンジニアながら経営/採用戦略も意識する機会が多く、転職活動を通して「ウチでエンジニア採用活動するんやったら、こうしないと絶対ダメだな~」と大いに考えさせられたので、会社側(採用側)から見たトピックも色々掲載していきます。
応募者側
面接まわり
❌数打ちゃあたる戦法せずに腕磨け!
いきなり自分の行動と矛盾したアドバイスになりますが、ホンマ止めた方がいいです。現在の業界の求人状況で、何十社も回る羽目になるのは根本的に実力不足以外の何物でもないので。(自己紹介)
どうしても転職活動中はオフで研鑽するリソースが相当もっていかれるので低成長にならざるを得ず、活動が長期化すると要求されている実力差を埋めることができず泥沼化します。
ちなみに何で自分はこの戦法を取ってしまったかというと、
- わりと最終面接(といってもコロナ禍で面談2~3回目がほとんどですが)までは辿り着いてて、現場サイドはOKだけど経営サイドがNG、もしくは逆と一定してなかったため、「母数を増やしたらなんとかならんかな~」と粘ってドツボにハマった。
- 現職が超がつくレガシーかつ、完全自前主義で他所のIT企業と繋がりが全くなく、面談を通して他社のやり方について学ぶこと自体に大きな価値を感じた。
ことが大きいです。まぁおかげ様でこんな記事書いてる訳ですが、年度末の繁忙期を挟んだりして心身共に相当やられたので、やらないにこしたことはないです。ハイ😑
😫面談は週2までにしといた方がいい
最初の頃、週3でやってたんですけど、面接対策とか課題で集中力がきつかったり、急遽日程変更することになった場合に調整が大変だったので、週2の方がおすすめです。
🗣️ 初対面の人と喋れるようになりましょう
自分は人見知りする方かつ、一方的にまくしたてがちなタイプの会話下手なんですけど、それでも「喋れますね~」と3分の1ぐらいの会社さんから明確に好評頂きました。いや嫌味とか揶揄抜きでホントに。喋れる方という自覚がなかったので正直驚きというか、「捲し立てるだけで、キャッチボールがぎこちない(出来てない)俺で普通に喋れる扱いって、世の中にはどんだけ喋れないエンジニア多いんだ😨」 とちょっと引きましたもん。
面接担当の方の言動から察するに「技術にしか興味ない」あるいは「社会人としてのコミュニケーションができない(下向いてごもごも言ってる?逆に自信ありすぎていきなりタメ口等、過度に馴れ馴れしい?コミュニケーション取る気がない態度出しすぎ?)」が多いっぽいんですが、思った以上に評価に差が出るポイントになるのかなと感じました。他業界からの転職の場合はそこらへん押していくのはありだと思います。
(もし自分の将来設計で許容できるのならば)将来的なPL/PM転向を匂わせるとプラス
各所で散々言われてる通り、どの会社もエンジニアがマネジメント系になりたがらず、不足してて困ってます。これはほんと面談してて感じましたね……。
このため 将来的にプロジェクトマネージャー転向も興味がある(できるとは言ってないし、できるようになるとも言ってない) と匂わせるだけで加点されると思います。「そんな口先三寸で加点される訳ないやろ」「PM/PL舐めんな」という意見はごもっともですが、ここまで枯渇状態だとマジでポテンシャル加点はあると思います。
もちろん前の職場で管理系業務をやってましたとか、大学でそういうのを学んでたとか、そういう説得力のあるバックグラウンドを説明できればなお良しです。ここは他業界からの転職組でも押せるポイントになりうるので武器にしていくこと。
フロントエンド関係
まだまだモノリスの方が圧倒だぞ、気をつけろ!
Qiita,Zennとか見てるとサーバーサイド言語やテンプレートファイルを使ってjQuery入りHTMLを吐く、いわゆるモノリススタイルはオワコンみたいな空気感もあります。しかし実際のところフロント-バックエンドを分離してて、フロントエンジニアはSPAだけ作れればいいという会社さんはベンチャーの一部、僕の受けた中だと1~2割ぐらいでしたね。残りの会社は主軸がモノリスだったり、プロジェクトごとにバラバラだったり、ベンチャーでも受託で資金稼ぎしてるところはモノリスの面倒を見てたりとかあるので、大半のフロントエンジニアはまだまだ対応を求められると考えておいた方がいいです。
またバックエンドを触ったことないと中々判別つかないと思うんですが、RailsやLaravelからjQuery入りHTMLを吐き出してたのを、Vue入りJSとかに変えたパターン等があるので確認しといた方がいいです。実はフロントエンドのフレームワーク戦争の盛り上がりに対抗するように、RailsやLaravelでも同一サーバー内にnode.jsも置いちゃってRuby/PHP経由でwebpackを叩いて今時のSPAを作る……みたいな超力技のアプローチをする進化の仕方があって、そっち方面に行った会社さんもまぁまぁあるので。WebpackerとかLaravel BreezeとかLaravel Jetstreamとかそのへんですね。特にLaravel-blade-Vueパターンはそこそこ見ました。
このため初心者エンジニアがTypeScriptだReactだと集中的に勉強して、当たり前のようにフロント-バック分離スタイルだと思い込んで、めでたく入社したら実は…… というパターンが結構ありそうだと感じました。これは採用側としても注意した方がいいだろうなと思います。
9割がたReact,Vueが求められてるので絶対やる
Reactが優勢で全体の5割、次点Vueが4割というところでしょうか。残りの1割はAngularだったり、バックエンドからjQuery入りHTML吐き出してたりその他ライブラリ系だったりとか。
TypeScriptは(残念ながら)優先度低い
Qiita,Zenn周りだと使ってて当たり前感が出てますが、今回の観測範囲の層での採用率は3割前後。 移行コストや教育コストの問題で数年がかりでReact,Vueだけ何とか導入(移行)した/し始めたって会社さんが多く、今後の導入予定も見通しが立ってない空気感が半端なかったですね。個人的にはめちゃくちゃ残念です😑
……とはいえ型付き言語の経験はプラス評価にしかならないし、実利が大きいので初心者エンジニアは是非セットで学びましょう。
むしろ自動テストの経験の方が評価高い
今回お話させていただいた中にはSIer寄りの受託開発の企業さんも多かったので、 型付き言語の経験より自動テストの経験に対する需要の方が強いように感じました。
フロントだとまだまだ普及率低いし、余程規模が大きくならない限りは無しでも何とかならなくもないという背景もあり、ちゃんと自動テスト書く習慣を持ってるのか、自動テストを書けるような書き方ができているのか、という点をかなり気にする会社さんが多かったですね。これは妥当だと思います。
どうしてもTypeScript、Reactの学習優先になりがちだと思いますが、早めにJestあたりで慣れておきましょう。
バックエンド関係
観測範囲内の勢力図
PHP(Laravel) > Ruby(Rails) >>> Python(Flask) >= Java(SpringBoot) >= node.js(Express,NestJS) >= Go >> PHP(CakePHP) >= その他
上の図はちょっと見辛いですが、Laravel,Railsの2強→Flask,SpringBoot,node.js,Go→少し離れてCakePHP等というイメージです。もっと2強が強いのかなと思っていたのですが思った以上に群雄割拠で驚きましたね。ただ僕の経歴バイアス(PHP/Laravelユーザー)が入ってるので、実態としてはRailsがダントツトップかと。
あと Java SpringBootの存在自体知らなくて、転職活動してて初めて存在を知ったんですが、シェアの強さ、信頼の強さを感じました。お話聞いてると悉く元SIer出身のCTOなりリーダーが採用したという話でしたね。
クロスプラットフォーム系アプリ関係
観測範囲内の勢力図
ネイティブアプリ(ガワネイティブ含む)/クロスプラットフォーム系がほぼ50%ずつで均衡してるイメージを受けました。ただこれも自分の経歴バイアスがあるので実際はネイティブが優勢だと思います。クロスプラットフォーム系に関してはFlutterがトップで僅差でReactNative、ちょっと離れてMonaca(Apache Cordova)という感じです。
福利厚生周りについて
🌃Web系業界を中心に謎の「みなし残業」文化がある
これずっともやもやしてたんですが、著名エンジニアの方が触れてたので引用します。
転職活動始めてから、長いことそういう文化があるの気づかなくて 「何でみなし残業45時間ついてるとこ多いんだ?ウチも零細で繁忙期に60~100時間行ったことあるし、仕方ないのは分かるけど、お金はキッチリ出してもらわないと……🙄」 とずっとボヤいてましたもん。
で、一回最終面接でそこらへんの齟齬が出て
ワイ「今の職場がみなし残業なしなんで、みなし残業45時間ありならこれぐらいにしてもらわないと……」
社長「いや、そんな働かせないし、それは高すぎるわ」
というやりとりがありまして、ようやく空気が掴めたというか。会社サイドからしたら「何故信用しないのか。ブラック企業扱いとは失礼だぞ🤬」ってなもんでしょうが、いや~……🙄
ちなみに私の転職先はみなし残業45時間設定ですが、繁忙期でもないのに残業約60時間が常態化しており、足出た分踏み倒されてます 🤬
採用側
🤡他所の採用活動のやり方を学んで、できるだけ変なことしない
求人資料を見てて2~3社、印象深かった所がありまして。
- 一切Web面接しない
- 面談時間が平日10-17時まで
- 地方とはいえ給料が200万台&環境がレガシー
な ん で こ れ で 人 取 れ る と 思 っ た 。
現状Web面接メイン&面談時間は平日19時スタートぐらいなら対応&「1人前のエンジニア」なら最低400万出して当たり前状態なので、対抗できないでしょうね……。
🗾地方は狙い目か?
自分の地元が大阪で、面談した会社の7割がた(体感)が東京なんですよね。最初5割ぐらいかなと思ってたので、思った以上の偏りぶりが色々とショックでした。ただ転職活動を進める中で経営者目線として、
- 地方住まい
- (東京の相場との比較で)能力の割に給料貰ってない
- 成長チャンスと金に飢えてる🐺
エンジニアをフルリモートで狙う戦略はアリだという確信を持ちました。実際、実行してる企業さんも1社だけあってかなり景気いいみたいでしたし。 業界ニュースとかTwitterのマネージャー系アカウントとか見てると「やっぱリアル交流もいるわ」的な揺り戻しの流れ来てますけど。
自分が起業するんだったら、自分の性格や思想のこともあり、絶対地方勢の掘り起こししますね。😎
🌃みなし残業どうなん?
応募者側でも触れましたが、やっぱ一部Web企業みたく「形だけの福利厚生制度」みたいな文脈で使うのは止めといた方がいいと思います。オーバーした分を踏み倒す働かせ放題制度として使ってる企業がいるので疑われるし、給料計算の簡略化にしたって、会社規模が小さいうちは45時間に納められず、足出た分の個別計算が必要になるので意味ないのでは。
🤔Backend Engineer's Pride
転職活動中、「バックエンドエンジニアしか雇いません」みたいな企業がぼちぼちいるのは分かるにしても、フロント界隈を疎んじる空気すらあったのは驚きました。自分は一応フルスタックなので「いざとなったらフロントもやりまっせ」的な売り込み方をしている流れで、そういう空気を感じたことが何回かあったんですよね。
そもそも「モノリススタイルで間に合ってる」、「専門で雇う必要性を感じてない」とか、「ミーハーな初心者が応募してきて嫌」とか事情はあると思うんですけど、対外イメージ最悪なんで、あんま堂々と言うの止めといた方がいいと思うんですけどね……。
ちなみに転職先もそういう感じなので、よう拾ってもらったなというのは😅
💡転職サイトに関する要望
どのサービスも、「主な取り扱い言語・FW」の欄はあるんですけど、見せ方が弱かったり(フロントとバックとインフラが混在してる等)や検索機能が弱くて不満を感じることが多かったです。 ここ強みにするだけで、新規転職サイトとしてワンチャンあると思いますね。
そういう意味で作者さんがQiitaで記事上げてた、IT企業の採用言語・FWの検索サイト「what we use」なんてまさにドンピシャのアイデアなので頑張ってほしいです。
一方、この手の情報を扱う上で厄介なのが信用の問題だと思います。「会社として転職希望者に見せたいもの」と「実態」が異なるケースですよね。「レガシー扱いされたくない」的なマーケティングの意味合いもそうだし、「古いシステムからの移行のために新しい言語、FW使える人材を本気で求めてるんだけど、現状のメインとしては古い言語、FWと言わざるをえない」みたいな。流石に面接段階だと腹を割って話してくれるんですけどねw なかなか実態を強制開示させるような仕組みを設けないと、ここらへんの解決は難しそうです。
最後に
普通、就職とか転職するのに何をやったかとか、ポートフォリオをどうしたかとか書くと思うんですけど、こういう記事の方が面白くないですか?落とされまくった人間にしか見えない風景だと思うので(白目)
正直そんじょそこらのIT企業の採用担当どころか、転職サービスの会社の営業より知見が溜まった感じがしてますね……。
続編
スペシャルサンクス
当時、カジュアル面談させていただいた企業の一覧になります。一部記録残ってなかったりするので全部じゃないです。
ここにスカウトメールで目だけ通した分が入りますが、やはり面談した企業さんの方が印象深いので、この記事の内容はこれらの会社さんによってると思います。
印象論レベルまで希釈されてるので訴訟やクレームリスク等も無いという判断で掲載します。
- 株式会社ビットエー
- 株式会社エムディーピー
- Zenmov 株式会社
- 株式会社運動通信社
- 株式会社 BookLive
- 株式会社 OKAN
- 株式会社ライトカフェクリエイション
- 株式会社 GEEKLY
- 株式会社ソニックムーブ
- 株式会社アウトソーシングテクノロジー
- 株式会社クラベス
- 株式会社 Scene Live
- バルテス・モバイルテクノロジー株式会社
- CAPS 株式会社
- テックファームホールディングス株式会社
- 株式会社 GAUSS
- 株式会社エビリー
- 株式会社ドーン
- タカラベルモント株式会社
- 株式会社 SHIFT
- 株式会社まえびー
- iYell 株式会社
- 株式会社 CRI・ミドルウェア
- 株式会社ネットオン
- チームラボグループ
- KAI-YOU
- クリプトンフューチャーメディア
- iChain 株式会社
- エコナビスタ 株式会社
- ナッシュ 株式会社
- アシアル 株式会社
- アドグローブ
- 株式会社 ICS
- cocone fukuoka 株式会社(現:cocone v)
- Greeting Works
- ソリューションソフトウェア