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【AtCoder解説】PythonでABC254のA,B,C,D,E問題を制する!

Last updated at Posted at 2022-06-04

ABC254A,B,C,D,E問題を、Python3でなるべく丁寧に解説していきます。

ただ解けるだけの方法ではなく、次の3つのポイントを満たす解法を解説することを目指しています。

  • シンプル:余計なことを考えずに済む
  • 実装が楽:ミスやバグが減ってうれしい
  • 時間がかからない:パフォが上がって、後の問題に残せる時間が増える

ご質問・ご指摘はコメントツイッターマシュマロ、Discordサーバーまでお気軽にどうぞ!

Twitter: u2dayo
マシュマロ: https://marshmallow-qa.com/u2dayo
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Discordサーバー(質問や記事の感想・リクエストなどどうぞ!) : https://discord.gg/jZ8pkPRRMT
よかったらLGTM拡散していただけると喜びます!

目次

ABC254 まとめ
A問題『Last Two Digits』
B問題『Practical Computing』
C問題『K Swap』
D問題『Together Square』
E問題『Small d and k』

アプリ AtCoderFacts を開発しています

コンテストの統計データを見られるアプリ『AtCoderFacts』を作りました。
現在のところ、次の3つのデータを見ることができます。

  • レート別問題正解率
  • パフォーマンス目安
  • 早解きで上昇するパフォーマンス

今後も機能を追加していく予定です。使ってくれると喜びます。

ABC254 まとめ

全提出人数: 10002人

パフォーマンス

パフォ AC 点数 時間 順位(Rated内)
200 AB------ 300 40分 6815(6608)位
400 AB------ 300 16分 5487(5280)位
600 AB------ 300 4分 4468(4261)位
800 ABC----- 600 49分 3383(3185)位
1000 ABC----- 600 20分 2444(2256)位
1200 ABC-E--- 1100 110分 1691(1506)位
1400 ABCDE--- 1500 95分 1150(972)位
1600 ABCDE--- 1500 55分 779(605)位
1800 ABCDEF-- 2000 97分 517(352)位
2000 ABCDEF-- 2000 67分 328(188)位
2200 ABCDEF-- 2000 49分 205(89)位
2400 ABCDEF-- 2000 34分 121(42)位

色別の正解率

人数 A B C D E F G Ex
3577 98.0 % 83.6 % 20.6 % 3.0 % 2.1 % 0.3 % 0.0 % 0.0 %
1622 98.7 % 98.1 % 64.9 % 12.6 % 8.5 % 0.7 % 0.1 % 0.0 %
1268 98.1 % 97.5 % 88.1 % 32.6 % 33.7 % 2.7 % 0.0 % 0.2 %
687 97.8 % 97.7 % 96.1 % 68.3 % 74.4 % 18.6 % 0.0 % 0.9 %
418 96.4 % 95.9 % 95.7 % 88.0 % 90.9 % 62.9 % 1.0 % 6.7 %
159 85.5 % 85.5 % 85.5 % 83.7 % 83.7 % 76.1 % 3.8 % 18.2 %
35 82.9 % 82.9 % 82.9 % 82.9 % 82.9 % 85.7 % 22.9 % 48.6 %
22 90.9 % 90.9 % 86.4 % 90.9 % 90.9 % 90.9 % 54.5 % 72.7 %

表示レート、灰に初参加者は含めず

A問題『Last Two Digits』

問題ページA - Last Two Digits
コーダー正解率:98.0 %
コーダー正解率:98.7 %
コーダー正解率:98.1 %

入力

$N$ : $3$ 桁の整数

考察

$N$ を int(input())で整数型として受け取るより、input()で文字列型として受け取ったほうが楽です。

コード

N[0]が 百の位、N[1]が十の位、N[2]が一の位ですから、N[1]N[2]を出力すればいいです。

N = input()  # 文字列で受け取りましょう
print(N[1:])

整数で受け取った場合

下二桁は $100$ で割った余りで得られますが、十の位が $0$ のとき困るので、結局文字列に戻して、$2$ 桁の $0$ 埋めをする羽目になります。

N = int(input())
print(f"{N % 100:02d}")

B問題『Practical Computing』

問題ページB - Practical Computing
コーダー正解率:83.6 %
コーダー正解率:98.1 %
コーダー正解率:97.5 %

入力

$N$ : $1$ 以上 $30$ 以下の整数

考察

深く考えずに、書いてあるとおりに丁寧に実装しましょう。

ちなみにこれは、 動的計画法(DP) である関数の値を求める問題です。

コード

N = int(input())
A = [[0] * (i + 1) for i in range(N)]

for i in range(N):
    for j in range(i + 1):
        if j == 0 or j == i:
            A[i][j] = 1
        else:
            A[i][j] = A[i - 1][j - 1] + A[i - 1][j]

for i in range(N):
    print(*A[i])

補足

この問題で求めた数列たちは、ある関数の値です。

サンプル $2$ の出力を眺めてみましょう。もしかしたら、見覚えのある方もいるかもしれません。

1
1 1
1 2 1
1 3 3 1
1 4 6 4 1
1 5 10 10 5 1
1 6 15 20 15 6 1
1 7 21 35 35 21 7 1
1 8 28 56 70 56 28 8 1
1 9 36 84 126 126 84 36 9 1

これは『パスカルの三角形』と呼ばれるものです。$i$ 行目の $j$ 列目は、${}_i\mathrm{C}_j$ と等しいです。($i,j$ は $0$ から数え始めます)

問題では、$a_{i,j}=a_{i-1,j-1}+a_{i-1,j}$ という漸化式を計算させられました。

これをコンビネーションに置き換えると

${}_i\mathrm{C}_j={}_{i-1}\mathrm{C}_{j-1}+{}_{i-1}\mathrm{C}_{j}$

となります。この漸化式には様々な説明付けができるので、興味がある方は調べてみてください。

私は、 $i$ 人から $j$ 人を選ぶ場合の数は

『$i-1$ 人で $j-1$ 人グループを作っているところに、人 $i$ が入って $j$ 人グループになる』+『$i-1$ 人で $j$ 人グループを作っていて、人 $i$ が入る余地はない』

という説明が好きです。

その他、グリッドの経路数などでも説明ができます。

つまり、nCrを全部出力すれば……

この問題で求めた数列は、${}_i\mathrm{C}_j$ の表です。ということは、${}_i\mathrm{C}_j$ を直接計算して出力しても正解になるはずです。ということでやってみましょう。

from math import comb  # combはPython3.8で追加された関数なので、Python3.8で提出してね
N = int(input())
for i in range(N):
    print(*(comb(i, j) for j in range(i+1)))

適当に $N=6$で出力してみます。

1
1 1
1 2 1
1 3 3 1
1 4 6 4 1
1 5 10 10 5 1

確かにパスカルの三角形です。この問題で一体何を求めていたのか、よくわかると思います。

C問題『K Swap』

問題ページC - K Swap
コーダー正解率:20.6 %
コーダー正解率:64.9 %
コーダー正解率:88.1 %

入力

$N$ : 数列の長さ
$K$ : 操作でスワップできる要素同士の距離
$a_i$ : 数列 $A$ の $i$ 番目の要素

考察

初項を $a_0$ として、$0$ 基準で考えます。

$0\le{i}\lt{K}$ として、添字を $i+jK$ の形で表します。すると、$i$ が同じ要素同士は、バブルソートの要領で操作を繰り返すことで、自由な順番に並び替えることができます。

  • $a_{i+0K}$ は $a_{i+1K}$ とスワップできます。
  • $a_{i+1K}$ は、$a_{i+2K}$ とスワップできます。
  • $a_{i+2K}$ は、 $a_{i+3K}$ とスワップできます。
  • 一般化すると、$a_{i+jK}$ は、$a_{i+(j+1)K}$ とスワップできます。
  • 操作は何度でもできるので、左から順に並べたいものをバケツリレーのように渡していけば、好みの順番に並び替えることができます。

例えば $a_{i+3K}$ の要素を $i+0K$ 番目に持っていくためには、$i+3K$ 番目と$i+2K$ 番目をスワップ、$i+2K$ 番目を $i+1K$ 番目をスワップ、$i+1K$ 番目と $i+0K$ 番目をスワップすればいいです。同様のことを繰り返すと、他の要素も同じグループ内の好きな場所に持っていけます。

目的は $A$ を昇順に並び替えることです。そのためには少なくとも、$i$ が同じグループの中で、昇順になっていない要素の組があってはいけません。したがって、$i$ が同じグループの要素は昇順に並び替える必要があります。

すべての $0\le{i}\lt{K}$ について、グループを昇順にソートします。こうしてできた数列、、全体として昇順になっているか確認すればいいです。

コード

def judge():
    N, K = map(int, input().split())
    A = list(map(int, input().split()))
    B = [[] for _ in range(K)]  # i を Kで割った余りごとに管理
    for i, x in enumerate(A):
        B[i % K].append(x)
    for i in range(K):
        B[i].sort()  # ソートする

    SA = [0] * N
    for i in range(N):
        SA[i] = B[i % K][i // K]
    return SA == sorted(A)


print("Yes" if judge() else "No")

D問題『Together Square』

問題ページD - Together Square
コーダー正解率:3.0 %
コーダー正解率:12.6 %
コーダー正解率:32.6 %

考察

平方数とは、すべての因数の次数が偶数である数のことです。

$i$ を固定して、$1\le{i}\le{N}$ で全探索します。

$a,b,c$ を正の整数とします。$i$ を平方数で割れるだけ割って、$i=a\times{b^2}$ の形で表します。$i\times{j}$ が平方数になるには、$j$ の因数に $a$ が含まれていなければなりません。そうでないと、次数が $1$ の素因数が存在することになり、$i\times{j}$ が平方数になりません。

つまり、$j=a\times{c^2}$ と表される必要があります。このとき、$i\times{j}=(abc)^2$ になり、たしかに平方数です。

$i$ を決めると、$a,b$ は一意に定まります。よって、$j=a\times{c^2}$ の $c$ を $1$ から全探索して、$j>N$ になったら打ち切ればいいです。

$c$ は最大でも $\sqrt{N}$ 程度にしかなりませんから、全体の計算量は $O(N\sqrt{N})$ です。

コード

from itertools import count


def calc_odd_factor_prod(n):
    """次数が奇数の素因数の積を得る(わかりづらかったら、普通に素因数分解して、次数が奇数のものをかけ合わせてください"""
    for i2 in (i * i for i in count(2)):
        if i2 > n: break
        while n % i2 == 0: n //= i2
    return n


def main():
    N = int(input())
    ans = 0
    for i in range(1, N + 1):
        odd = calc_odd_factor_prod(i)
        for j in range(1, N + 1):
            if odd * j * j > N:
                break
            ans += 1
    print(ans)


if __name__ == '__main__':
    main()

E問題『Small d and k』

問題ページE - Small d and k
コーダー正解率:2.1 %
コーダー正解率:8.5 %
コーダー正解率:33.7 %

考察

重要な制約があります。

  • 各頂点の次数は $3$ 以下(つながっている辺は $3$ つまで)
  • クエリで答える距離 $k_i$ は $3$ 以下

この制約より、距離 $k_i$ より大きい頂点には訪れないようにBFSをして、訪れた頂点番号を足し合わせるだけで解けます。$1$ クエリのBFSで見る頂点数は$O({k_i}^{3})$ で、これは非常に小さいです。

ですので、$Q$ 回のクエリごとにBFSで答えを求めるだけでこの問題は解けます。

実装

ただし、クエリごとに訪問済みかどうかを管理するのに、長さ $N$ のリストを作ってしまうと、リストの生成の計算量が $O(N)$ なので、全体で $O(NQ)$となりTLEになります。

set, dict, defaultdictなどで必要な部分だけを記録するようにしましょう。

コード

from collections import deque, defaultdict


def solve(x, k):
    ret = 0
    que = deque((x,))
    dist = defaultdict(lambda: 4)  # 距離が4なら未訪問です
    dist[x] = 0
    while que:
        u = que.popleft()
        ret += u
        cost = dist[u]
        if cost == k: continue  # この先の距離k+1以上の頂点は見ません
        for v in G[u]:
            if cost + 1 < dist[v]:
                que.append(v)
                dist[v] = cost + 1
    return ret


N, M = map(int, input().split())
G = [[] for _ in range(N + 1)]
for _ in range(M):
    a, b = map(int, input().split())
    G[a].append(b)  # a <-> b
    G[b].append(a)

Q = int(input())
for _ in range(Q):
    x, k = map(int, input().split())
    print(solve(x, k))

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